大阪の各地で台風21号の被害

最大瞬間風速58.1mを観測した、今世紀最強とされる台風21号。
大阪の都市部にも大きな被害をもたらした。
 

視聴者提供
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ゴミ吹雪が宙に舞う大阪市摂津市。
4日午後2時半ごろには、畳半分くらいのパネルのようなものが、際限なく空中を飛び続けていた。

 
 

大阪市西区の解体中のビルの足場も崩壊。

豊中市では自転車ごと吹き飛ぶ自転車置き場、そして守口市ではビルの頂上から見えるクレーンが真っ二つに折れ地上に落下。
各地でスーパーの看板や、住宅の屋根が吹きとび、観覧車もまるで風車のように回っていた。

 
 

この台風の影響による全国の死者は10人で、その内少なくとも7人が大阪で亡くなっている。

 
 

こうした中、大阪府内で特に目立った被害は、車の横転だった。大阪南港では確認できるだけでも8台もの車が横倒しになり、大破している車もあった。

被害は街中でも多く見られ、太い木が折れて歩道をふさぎ、電信柱が真横に倒れてしまうなどの被害も相次いだ。

この台風の影響で、大阪府内では一時約100万軒が停電。
すべての地域での送電再開までには、何日もかかる見込みだという。
 

関西国際空港で3000人が孤立

 
 

交通インフラにも甚大な被害が出た大阪府。

関西国際空港では大規模な高潮が発生し、海水が逆流、一面が海水で覆われた。
さらに午後1時45分ごろ、空港と陸を結ぶ連絡橋に、漂流していた長さ89メートルのタンカーが衝突。橋の一部が大きく壊れ、通行止めとなった。

 
 

この影響で、利用客ら約3000人が空港内で孤立する事態となった。

第1ターミナルの一部は午後1時半ごろから停電し、復旧のめどが立たない中、空調もストップ。空港内のコンビニエンスストアには長蛇の列ができ、航空会社は機内食用とみられるビスケットや水を希望者に配るなど、対応に追われていた。

 
 

4日午後11時ごろ、空港内に取り残された利用者に話を聞くと、「まだ停電しているので、真っ暗な状態ですね。一部電気はついているところはあるんですけど、空調がない中で、蒸し暑さとか過ごしにくさというのは感じています」と辛い現状を吐露した。

空港では、5日午前8時過ぎから乗客をバスに乗せ空港の外へ運び始めたほか、船で100人ごとに乗客をピストン輸送で移送するなど、徐々に孤立状態は解消され始めている。
 

道頓堀に人が集まっていた理由

 
 

この強風が大都市・大阪を襲った瞬間、市内有数の繁華街・道頓堀では何が起きていたのだろうか。

道頓堀のメインストリートでは、横殴りの打ち付けるような雨が降り、たこ焼店の機械が倒れ、道には風に飛ばされたガレキが散乱していた。

 
 

人が歩くのもやっとなほどの大雨と強風が吹き荒れる中、道頓堀には意外にも多くの観光客の姿があった。大阪では、地下鉄以外の鉄道が一時全線で運休し、移動もままならず、逆に多くの人が道頓堀周辺で途方に暮れていた。

話を聞くと「今日の予定が全部ダメになっちゃって、悲しいです」という観光客や、「今日帰る予定だったんですが、飛行機が飛ばなくて。なので連泊したんですけど、このあたりはどこもお店が開いていなくて…。どうしようかと困っています」と悩む人など、世界各国から観光客があつまる大阪は、混乱に陥っていた。
 

「吹き下ろし」と「剥離風」が要因か

 
 

大阪の都市部での被害が広がった要因として、防災システム研究所の山村武彦所長は「高層ビルが多い場所では上空から壁に沿って勢いよく吹く『吹き下ろし』という風と、地上を流れる『剥離風』という2つの風で、風の威力が1.5倍程に増し、被害が大きくなったのでは」と、分析する。

大阪で猛威を振るった、台風21号。
被害の全貌は、一夜明けた今も明らかになっていない。
 

(「めざましテレビ」9月5日放送分より)