あなたは何回かき混ぜる?

あなたは納豆を食べる時、何回かき混ぜるか覚えているだろうか。
かき混ぜることで甘みが増し、よりいっそうおいしくなるという納豆だが、一体何回かき混ぜると、一番おいしくなるのだろうか。
今、納豆を424回かき混ぜて、「究極の納豆」を作る製造機が話題となっている。

先週、東京台東区で行われた、「クリスマスおもちゃ見本市」の会場にあったその商品。
その名も「究極のNTO」という究極の納豆製造機だ。
食通としても知られる芸術家・北大路魯山人の「納豆はかき混ぜるほどに旨くなる」という教えを元に、この「究極のNTO」を作ったタカラトミーアーツ。何回混ぜれば納豆が最もおいしくなるか独自で検証したところ、その回数はなんと“424回”とのことだった。

この製造機に納豆を入れ、ハンドルを回してかき混ぜていくと、305回転目になったとき、入り口が開く。タカラトミーアーツの村田素子さんは「“305回転目”になると、醤油を投入するタイミングになりますので、醤油を入れ、再びかき混ぜていくと究極の回数、424回転目で扉が開きます」と説明する。この“424回”という数字については、「424回混ぜると、旨みが納豆のコクが109%アップするといったデータが出ております」と解説した。
納豆の本場では?

混ぜるほどコクが増すという納豆。
では、納豆の本場、茨城県の人たちは何回混ぜるのだろうか。
水戸市の80代の男性は、「混ぜてこれぐらいだな。最初は100回、タレを入れてから50回。納豆の粘りを大切にしているから」と納豆を混ぜる実演をしながら答えてくれた。さらに60代の女性は「3~4回。私は納豆をご飯と完全に混ぜるから、これくらいの粘り気がいい」との答え。
水戸市民50人に取材したところ、「10回」「20回」「100回」と、毎日納豆を食べるという水戸市民でも、混ぜる回数はバラバラだった。

一方、水戸市で納豆を生産して70年の老舗「だるま納豆」の高野正巳社長に何回混ぜているのかを聞いたところ「タレ・からし入れて、20回前後よく混ぜて食べる」と、意外に少ない答えが。
「究極のNTO」が導き出した一番美味しいという424回という回数について聞くと、「豆の形が崩れることもありうるかな。糸の引き具合も弱くなるのでは?」と予想した。そこで実際に納豆を424回かき混ぜて、普段の20回かき混ぜたものと比較して実食してもらったところ、424回のものは美味しいが、20回のもののほうが歯ごたえを感じるとの答えが。
それぞれの好みで変わってくる納豆の混ぜ方。
スタジオでも実食して比較してみることにした。
全国平均は25.98回

スタジオで「究極のNTO」で424回混ぜた納豆を食べた出演者は、「納豆の周りにしっかりした粘り気の層がある感じ」「まろやか」などの声を上げていた。
一方で、普段納豆を食べる時にかき混ぜる回数を実演すると、女優の中江有里さんは30回、MCの小倉智昭さんは8回、笠井信輔アナウンサーは3回と、三者三様の答えが。

『納豆サイエンスラボ』が、日本人が納豆を混ぜる回数を男女別・エリア別に集計したデータによると、九州・沖縄エリアの男性が一番多く、35回以上。東北エリアの女性が一番少なく、約17回。地域によって倍以上の開きがあるという驚きの結果が出た。
そして全国平均は25.98回と、30回弱しかかき混ぜないというのが平均のようだった。

では、全国納豆協同組合連合会の会長は、何回混ぜているのか聞いたところ、まずは何も入れずに、そのまま40回かき混ぜ、その後薬味を入れて20回~30回かき混ぜ、最後に醤油などタレを入れて軽くかき混ぜる、という答えが。
醤油も「先に入れる」「後に入れる」など人それぞれあるが、後から入れたほうがネバネバ感が強くなるという説もあるそうだ。
混ぜると本当に美味しくなるの?

そもそも納豆が混ぜると本当に美味しくなるのか調べたところ、混ぜることで舌触りの部分で「旨み」が増し、さらに納豆の糸に含まれる旨味成分であるアミノ酸の表面積が増えることが分かっている。実際に、納豆を混ぜる回数と旨みの関係を調べたデータでは、確かに400回で「旨み」がピークになっていた。

理想の混ぜる回数は、実際には何回が正解なのだろうか。
全国納豆協同組合連合会によると、過去に混ぜる回数を組合の推奨として提示したことがあったが、反対意見が多く取り下げたという。そこで彼らが出したのは、「日本人は納豆にロマンを持っているので、混ぜる回数はお客様の自由にやって欲しい」という結論だった。
みなさんも一度真剣に納豆をかき混ぜる回数と向き合い、自分ならではの回数を導き出してはいかがだろうか。
(『とくダネ!』ヤマサキ調べました・9月11日放送分)