岩手県金ヶ崎町では今、昔ながらの茅葺屋根に使われるススキの収穫作業が行われている。いつまでも残したい晩秋の風景を千葉匠カメラマンが取材した。

秋の風に揺れるススキ。ここは金ヶ崎町にある千貫石茅場(せんがんいしかやば)。
10月末から茅葺屋根に使うための収穫が行われている。

茅とは細長い葉と茎をもつイネ科の植物の総称で、ススキは代表的な茅の一種だ。
11月18日は10人ほどが刈り取りに汗を流していた。

金ヶ崎町産業開発公社 佐藤誠 茅主任
「1日最低でも2万歩歩くので足腰が丈夫になります。ここはとにかく歩くのが仕事という感じ。2mくらいの茅を刈り払い機で刈り取っている。雪が降るまでが勝負なので、なるべく降る前にたくさん刈り取りたい」

元々は牧草地だった千貫石茅場。
2000年からススキの栽培が始まり、現在は約35ヘクタールの茅場になった。
南部茅と名づけ、金ヶ崎のブランドとして育てている。

金ヶ崎町産業開発公社 佐藤誠 茅主任
「緑色から黄金色に変わっていく過程がきれいに見えますね」

刈って、集めて、また刈って…。すべてが手作業だ。
千貫石茅場のススキは芯が固くて丈夫なのが特徴。
今では貴重な資材として県内外の茅葺屋根に使われている。

毎年この時期に、ここで作業をしている小野寺辰一さん、81歳。

小野寺辰一さん(81)
「力がかかることばかりだから、なかなか思うように引っ張れないもんだ」

刈り取ったススキの余計な葉を落としたり、長さを整えたり。

小野寺辰一さん(81)
「やりがいは腕が良くなって、仕上げを良くできることが魅力だね」

千葉匠カメラマンもお手伝いさせてもらった。
一見、簡単そうに見えたが…

千葉匠カメラマン
「引っ張るのが大変。81歳でこれをやってるのは凄いですね」

葉を落としたら束ねて乾燥のため立てかける。
冬を茅場で越し、春先まで自然まかせ。

金ヶ崎町産業開発公社 佐藤誠 茅主任
「(かつて)茅葺屋根があったあたりは地域で茅を刈っていたが、茅を使って民家をつくるという地域が無くなってしまった。そのおかげで茅場そのものが無くなってきている。それでもなんとかここを維持して、いつまでも茅を供給したい」

いつまでも残したい茅文化。
収穫作業は雪が積もるまで続く。