22日の会見にて、運転による人身事故を起こした木下富美子都議が、一転して辞職を表明。
なぜ頑なに辞職しないと言い続けてきた彼女が、辞める判断をしたのでしょうか。
かつて都議選で木下都議を応援した若狭弁護士が語る”急転辞職”の理由。さらに、”謝罪のプロ”鈴鹿久美子氏が見た辞職会見の評価とは?

辞職の“判断の遅さ”…元支援者「自分がまいてしまった種なのではないか」

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木下都議は、運転免許停止中に人身事故を起こし書類送検され、
7回にわたって無免許運転をした罪で在宅起訴されています。

木下都議の会見を見た街の人々に話を聞くと、

板橋区民:
これだけのことをして、あれだけ騒がれてね、辞職するのは普通当たり前だと思いますけどね。

板橋区民:
やはり都議としては見本になっていただく側だと思うので、
むしろ遅かったくらいじゃないかなっていう。判断は遅かったのかなって。

会見を見た人が感じた「判断の遅さ」。
その判断の理由について、木下都議はこう語りました。

木下富美子都議:
小池都知事とお話をする機会を得ました。
ここは一旦退いて、今回の交通事故の解決に専念されたらどうか、とのご助言をいただき、また、これで人生が終わるわけではなく、今回の不祥事を反省し、
再出発する時には相談に乗るというお話もいただきました。小池都知事のご助言も踏まえました上で、深く考え、今回、都議会議員の職を辞する決断に至りました。

さらに、最後にはこんな“発言”も。

木下富美子都議:
今回、私が刑事訴追の可能性との間で充分な説明責任を果たせなかったために、大切な両親、
そして、齢85になる父の安全が脅かされる事態となりました。これ以上家族を巻き込むことはできない。これも辞職の決断に至る理由となりました。
私としては、有権者の方々に選んでいただいたことを最も大切に考え、法律による議員の身分保障は民主主義の根幹であり、4年間の任期を都民の皆様にご奉仕するとの考えのもとで、都議を続けたいと申し上げてまいりました。仕事がしたくて、議員継続を望んでいるにもかかわらず、仕事をさせてもらえないという現実が、先日の委員会開会拒否で明らかになりました。議員として充分に仕事をさせてもらえない。理不尽な現実に悩みました。

この発言について、2021年7月の都議選で、木下都議の選挙の手伝いをしたという元支援者の女性はこう語ります。

元支持者:
途中で理不尽に妨害されたみたいな話が出てきたと思うんですけど、
あれはちょっとなんか違うかなと思って。
多分本人は都議を続けたかったけど、それが思うようにできなかったっていう内容だったと思うんですけど、それはちょっと自分がまいてしまった種なんじゃないかなと思いました。

元支援者もがっかりしたという今回の会見。
では、多くの政治家の会見などをサポートしてきた謝罪のプロはどう見たのでしょうか。

「残念ですとても」“謝罪のプロ”が木下都議の会見を低評価

“謝罪のプロ” 政治家コンサルタントの鈴鹿久美子さんに今回の会見の印象を聞くと、

政治家コンサルタント 鈴鹿久美子氏:
どうして白を着てこなかったかなと思います。
パリッとした物を着ることで白さ潔白さ、ウソをついていないという印象を作るのには
最高なんですけれども、白い襟付きのシャツを着るのが基本中の基本ですから。

できれば、白シャツの方が良かったという鈴鹿氏。

11月9日、およそ4カ月ぶりに都議会に現れた際には赤いワンピースにジャケット姿、11月22日は、黒のインナーに紺色のジャケット姿でした。

政治家コンサルタント 鈴鹿久美子氏:
よわい85になるお父様。ここは情状酌量を求めてるような、そんな印象でしたね。
大変だったと思いますけど、ここで最初にこれを言うのかなというのが違和感がありました。

会見の中身について違和感を感じた部分があったと指摘しました。
さらに、気になったというのが、会見の中で語った“自身の実績”。
木下都議は、およそ5分間これまでの議員生活で行った過去の実績について語ったのです。

政治家コンサルタント鈴鹿久美子氏:
自分の功績をずっと言っているところは聞いててまだ言うのっていう気にはなりましたね。こんなにアピールするのかとちょっとげんなりしました。木下さんの今後の人生のための記者会見だったとしたら0点だったと思います。残念ですとても。
私は謝罪会見というのは次の人生の新しい一歩を築くためのチャンスの場だと思ってます。ここチャンスなんです。きちんと謝ることが出来たら聞いてる人たちもそういうことだったのかと納得するのと同時に、そういう失敗をすることもあるよねって思ってもらえたら、許してもらう土壌がつくれるんです。それを作るための記者会見であるはずなんですけど今回は失敗したと思います。

様々な声が上がっている今回の辞任会見。
木下都議は、きのう22日の会見を前にした午後2時ごろ、小池百合子都知事と面会しました。ここが最終決断の場となったのでしょうか。

かつての応援者 若狭勝弁護士が語る「急に辞職した2つの理由」

かつて都議選で木下都議を応援した若狭勝弁護士に話を聞くと、

若狭勝弁護士:
辞任会見前日の21日、小池都知事が木下議員は出処進退についてはきちんと決められるものと確信していると。確信って言葉を使ってるんですよね。
強い確信って言葉を使ったってことは、すでに21日の時点で何らかの働きかけをして、
少なくとも木下議員の方で強い働きかけに対して、よく考えますっていうようなことが、
21日の時点で既になされているとか、もう辞めるという方向にかなりなびいてきてるということ。

“確信”という小池都知事の言葉に注目し、辞任への動きを説明しました。
さらに、小池都知事との22日の面談についても、

若狭勝弁護士:
21日の時点でほぼほぼ辞めた方がいいと強く知事が言うなどして、電話かなにかでですね、それで心がかなり動いてわかりましたというような感じになっていて、22日の面談
というのは最後のもう一回確認で、あるいは今後のフォローについての約束というようなことで最終的にしっかりと落ち着いたということではないかと思うんですよね。

小池都知事は木下都議の会見が行われている時間に姿を見せましたが、何も答えず都庁を後にしました。

そして、木下都議が会見で語った辞職理由ではない2つの理由が実は背景にあったのではないかと若狭弁護士は指摘しています。

まず1つ目は在宅起訴(11月19日)になったことが大きかったのではないかという内容。
木下都議は略式起訴を想定していたのではないか、そこで在宅起訴になり懲役刑の裁判になったことが大きいのではないかと指摘しています。

さらに2つ目は、24日に行われる予定の東京都議会の議会運営委員会にて、「除名」処分が検討されるということ。それを避けたかったのではないかとみています。

(めざまし8 11月23日放送)