外出自粛は「他人の命を救い続ける」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出の自粛が呼びかけられている現在。
都市部での感染拡大を受け、安倍首相は7日、東京・大阪など7都府県を対象に、緊急事態宣言を出した。

本来であれば晴れやかな新生活を送っているところ、鬱屈とした日々を過ごしている人も多いだろう。そんな中、外出自粛の重要性をとある“ヒーロー”が呼びかけて話題となっている。

「発想の転換な。まず自分は『既に無症状感染している』という前提で考えてみる。何をしてはいけないかが掴めてくるはずだ。外出しただけで他人の命を奪ってしまうかもしれない…。

つまり『不要不急の外出を控えることで、他人の命を救い続けている』という訳だ。これはもはやヒーローだべ?へばな。​」



この投稿をしたのは、秋田の“地産地消型ヒーロー”「超神(ちょうじん)ネイガー」。ちなみにツイート文末にある「へばな」は、 秋田弁で「さらば」「じゃあね」を意味する。

構えているのはきりたんぽ型の剣「キリタン・ソード」
構えているのはきりたんぽ型の剣「キリタン・ソード」
この記事の画像(5枚)

その名もナマハゲの「泣ぐ子は居ねがぁ!」という声からつけられたというヒーロー。ナマハゲが持つ出刃包丁型の肩プロテクターや手桶型のニーパッド、きりたんぽ型の剣「キリタン・ソード」などを装備しているのが特徴だ。

そして呼びかけたのは、外出の自粛に対する「発想の転換」。外出ができないことで不満やストレスを抱えている人は多いはず。

しかし、そんな時だからこそ「自分は健康なのに、不自由な生活をしていてつらい…」と思うのではなく、「気付いていないだけで、すでに感染している」と考えることで、自然と他人を危険にさらしてしまう行動を省みることができる、というのだ。

この投稿には、「まんずその通りだ!」「それでこそヒーロー!」と賛同の声が続々。「外出しないことで世界を救おうぜ!」「みんながヒーローになる時が来た」と、決意を表明するコメントにあふれた。

多くの人が心を動かされた、“ヒーロー”からの呼びかけ。やはりヒーローはかっこいい姿を見せる。この投稿に込めた思いについて、ネイガー・プロジェクトにお話を聞いた。

普段から「ヒーローになるための方法」を発信

――なぜ外出自粛に関する呼びかけを?​

ネイガーは普段から子どもたちに向けた養育的なメッセージを発信する活動を行っております。

例えば「ヒーローになるための方法」として、健康な体づくりや、安全注意を促すための「食育活動」や「交通安全運動」の実施などです。

ヒーローに憧れる子供たちに対し「ヒーローは体が大事→朝ご飯をちゃんとたべよう→きみもヒーローだ」といった、肯定的なイメージを伝えることで子どもの意欲や達成感を支える、というスタンスを大事にしています。

ですから、今回も「外出自粛」が持つネガティブなイメージに対して、逆にそれを肯定的に捉えられるような考え方や、皆に胸の張れる「かっこいい行為」として互いに推奨しあえるような提案や励ましができたら…との思いからです。

交通安全運動の様子
交通安全運動の様子

交通安全運動やあいさつ運動、不法投棄の撤去作業や時には田植えや稲刈りなどの活動を行っているという、超神ネイガー。

普段から「ヒーローになるための方法」を通して、子どもたちにメッセージを発信しているということで、今回の投稿はネガティブなイメージを持ちがちな「外出自粛」を「かっこいい行為」として肯定的にとらえ、推奨していく手助けとなるため、このような形で発信したのだという。

子どもたちと触れあう「健全育成あいさつ運動」
子どもたちと触れあう「健全育成あいさつ運動」

さらに、公式Twitterアカウントからは4月3日に改めてこんな呼びかけが。

「コロナを憎んで人を憎まず。

とはいえ、やるせない気持ちも分かるが、非難や攻撃で事態は解決しない。誰も罹患したくてした者はいないし感染してる事も知らなかったべな。

みんな徹底的に自分の身を守ってけれ。そして自分も既に感染してるつもりで他者の命を守ってけれ。頼む。へばな。#去れコロナ」



この投稿にも、「勇気づけられます」「無意識の行動より、意識ある行動」とコメントが寄せられるなど、一連の投稿は大きな反響を呼んだ。


――投稿には多くの反響がありましたが…

これほどの反響があったことにこちら自身が驚いておりますが、現在の危機を乗り越えるために、皆さんの意識・行動に少しでも良い影響が与えられたらば幸いに思います。

田植えや稲刈りをすることも…
田植えや稲刈りをすることも…

収束が見えない、新型コロナウイルスの脅威。
この先も“外出自粛”の生活は続きそうだが、自分ひとりの健康の問題ではなく、家族や友人をはじめとした「誰か」を救うことにつながると意識を変え、少しでも前向きに立ち向かっていくことが大切になっていくはずだ。

【関連記事】
「自宅滞在チャレンジ」でポジティブに“在宅”を競い合おう…話題のアプリ新機能について聞いた

「悪い子はいねが~」を「Any bad kids?」へ…“なまはげ”を海外にアピールする狙いを秋田県に聞いた

“人を見たらヒーローと思え”!? 怪人を派遣する「悪の秘密結社」が実在した

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。