新潟アルビレックスBBと最後までもつれる展開になった。終了を告げるブザーが鳴った瞬間、川崎ブレイブサンダースのキャプテン藤井祐眞(29)は両手を上げ、吠えた。

この記事の画像(6枚)

試合を決めたのはBリーグ得点王にも輝き“キング”の異名を持つニック・ファジーカス(36)だ。

勝負の第4クオーター、79-78の川崎1点リードの残り37秒だった。スティールを奪われると、新潟の新戦力ジェフ・エアーズ(34)に豪快なダンクを決められ、ついに逆転を許してしまう。

そこから互いにフリースロー1本を決め合って残り10秒。80-81と点差はわずか1点。

土壇場でキャプテンの藤井がゴール下に切り込むと、コーナーに陣取るファージカスにパス。ボールを受け取ったファジーカスがミドルシュートを沈め、川崎はついに逆転に成功する。

新潟はここでたまらずタイムアウトを要求。
最後の攻撃をチーム得点王ロスコ・アレン(28)のゴールアタックに託すも、川崎が守りきりタイムアップ。

この試合、23得点10リバウンド9アシストとトリプル・ダブルに迫る活躍を見せ、さらに劇的逆転弾を放った“キング”は「藤井選手がドライブした瞬間に、自分のことを必ず見つけてボールを託してくれると思っていた」と連携プレーが生んだ決勝点に表情を緩ませる。

佐藤賢次ヘッドコーチ(41)も「苦しい試合だったが、アリーナの皆さんの力が最後のニック(ファジーカス)のシュートに乗り移ったと思う」と興奮を抑えきれない。

川崎の今季チームスローガンは『MOVE』。選手とボールを動かすだけでなく、ファンの心も動かすことが体現できた瞬間だった。

川崎82-81新潟
(川崎市とどろきアリーナ・2366名)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。