アフガニスタンでF-35Bが初の実戦投入

垂直に着艦するF-35B
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米海兵隊用に開発されたF-35Bライトニングllステルス戦闘機は、米空軍・航空自衛隊用のF-35A戦闘機や米海軍用のF-35C戦闘機と異なり、ジャンプ・ジェットと呼ばれたAV-8BハリアーII攻撃機の後継として、短い滑走距離で、空中に飛び、垂直に着陸・着艦できることが求められた。

F-35Bのリフトファン

このため、通常は後ろに向いているエンジン噴射口の向きを、ほぼ真下に変えたり、ヘリコプターのメイン・ローターのように、空気を下に送るための大きな「リフトファン」という装置を内蔵する。
リフトファンのスペースを確保するため、F-35AやF-35Cでは、機内に標準装備されている強力なGBU-22/A 25mm機関砲がF-35Bには、搭載されておらず、必要な場合には、機外に機関銃ポッドを取り付けることになる。

また、このリフトファンが、離発着時に空気を吸い込めるように、背中には大きな蓋があり、その開閉する様が、F-35Bの外見上の大きな特徴となっていて、ヘリコプターのように空中停止も可能だ。

エンジン噴射口を下に向けるF-35B

複雑な構造を持つF-35Bだが、米海兵隊は9月27日、強襲揚陸艦エセックスに搭載したF-35Bがアフガニスタンで、地上味方部隊を支援するために、地上の固定標的に爆弾を投下する作戦に投入したと発表。

F-35Bは、機内にいろいろな爆弾やミサイルを内蔵できるが、F-35Bの爆弾投下は地上軍の指揮官によって「攻撃が成功した」と評価された。
だが米国防省の発表には、どんな爆弾を、どのような標的に使用したのか、詳細は29日現在なかったが、CNN等の米メディアは、F-35Bが爆弾を投下したのは「タリバンの固定標的」と報じている。

F-35Bが初めての墜落

F-35Bの墜落を報告(ボーフォート基地Facebookより)

翌9月28日、海兵隊サウスカロライナ州ボーフォート海兵隊航空基地は、F-35Bステルス戦闘機がボーフォート海兵隊航空基地から約8kmの地点で墜落したと報じた。
これは、F-35Bとしては初の墜落で、パイロットは脱出して軽傷を負ったものの手当てを受け帰宅した、と公式ツイートで発表した。
民間人の犠牲などもなかったという。

クイーン・エリザベスからF-35B初の離発艦

9月25日、英海軍のグレイ中佐が乗ったF-35Bステルス戦闘機が、米メリーランド州の パタクセント・リバー海軍航空基地から、英本土の東側に待機していた英空母クイーン・エリザベスへ垂直に着艦。
また、スキージャンプ甲板を使用しての発艦を行った。英海軍と英空軍もF-35Bステルス戦闘機を採用している。

スキージャンプ甲板から発艦するF-35B

英海軍としては、初のF-35Bの離発艦である。また、米海軍にはスキージャンプ甲板を持つ艦船はないので、F-35Bステルス戦闘機にとって、今回が初の洋上でのスキージャンプ甲板による発艦だったかもしれない。
空母クイーン・エリザベスは今後、米東部沿岸海域でF-35Bの離発艦を行い、パイロットだけでなく、空母側の要員の訓練も行い、その後も様々な試験を遂行して、2019年後半には英国に戻り、自己防御用のファランクス・システムを搭載。

2020年には、同じくF-35Bステルス戦闘機部隊を含め、「打撃群」を構成できるよう多くの試験を実施し、2021年から本格的な洋上作戦航海を行う見通しだ。

米海軍は、1隻の空母に巡洋艦や駆逐艦、それに補給艦などを組み合わせて「空母打撃群」と呼ぶ艦隊、戦闘単位を構成する。
つまり、クイーン・エリザベスはF-35Bを含め、米英の航空機・艦船と組み合わさって、ひとつの洋上の戦闘単位である「打撃群」を構成する試験や訓練を行うことになるのだろう。
これが成功すれば、米英海軍が、柔軟に航空機や艦船を融通し合って、共通の世界戦略を描くという方向に進もうとしているということかもしれない。

中国政府が「WASP」の香港寄港を拒否

米海軍強襲揚陸艦WASP

エセックス以外に、米海軍の米海兵隊F-35B搭載艦には、佐世保を事実上の母港とする強襲揚陸艦WASPがある。
9月26日、CNNやUSA Today等のアメリカのメディアは、国防総省スポークスマンの話として、中国政府がアメリカ海軍の強襲揚陸艦WASPの香港寄港の要請を断った、と報じた。

米メディアでは、この寄港拒否について、台湾へのスペアパーツ売却や、中国がロシアのSu-35戦闘機を購入したことを理由に、米国務省が中国軍の調達部門を制裁したことと絡めて報じられた。

海兵隊のLAV-25装甲車(WASP・エレベーター上)

翌27日、WASPは米中間で極めてセンシティブな南シナ海にあり、航空機を艦内への出し入れするために使用するエレベーターに、海兵隊のLAV-25装甲車をおいて、その25mm機関砲を発射。
また、甲板にハマー四輪駆動車を並べ、その12.7mm機関銃を使って、洋上の標的に対して、射撃するという訓練を実施した、と米海軍が発表した。

まるで、「江戸の敵を長崎で…」ならぬ「香港での意地悪に、南シナ海で…」のような様相とも受け取れそうだが、現在の「米」対「中」の軋轢は、将来は「米英+」対「中」の様相になるかもしれない。


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