首都圏からの“疎開”増える長野県 市長がメッセージ

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東京で“外出自粛要請”が出た週末。
日本有数のリゾート地・軽井沢には都会から新型コロナウイルスを避けて“疎開”してきた人たちの姿が多く見られたが、そんな中、軽井沢の隣にあたる長野県佐久市の柳田市長のTwitter投稿が物議を醸している。

【首都圏にお住まいの皆さまへ】
今週末の首都圏から長野県への人の移動が増えています。 出来れば、首都圏の皆さんも自宅で過ごしてもらいたいと思います。 蔓延する首都圏から比較的穏やかな長野県で過ごしたいとお考えかもしれませんが、自粛要請の趣旨をもう一度考えて下さい。


「都会の人は来るな」とも取れる、この投稿。
首都圏に住む人はどう捉えたのだろうか。


賛成派(埼玉在住):
(ツイートで)言ってることは合っていると思う。自分がかかっているかもしれないのに気付かずに移動して感染を広げるのはよくない。

賛成派(東京在住):
しょうがないですよね。自分のところの県民を守るためにやっているから仕方ない。

一方で、こんな意見も…

どちらでもない(東京在住):
東京に住んでる側としてはなかなか複雑。ちょっと傷付きますけど、気持ちもわかるかな。

反対派(東京在住):
(東京都民に)線を引くのは違うと思う。

反対派(東京在住):
県にかかわらず、今は協力するべきだと思う。

反対派(東京在住):
観光に来てくれって言ってる割には……人と物が動かなくなると、経済がだめになる。止めることより、うまくやる方を考えた方がいい。

“コロナ疎開”は「アリ」?「ナシ」?

様々な意見が挙がったが、“コロナ疎開”は「アリ」なのか、「ナシ」なのか。
感染症にくわしい、昭和大学医学部の二木芳人氏が解説した。

パトリック・ハーラン:
実は30日のニューヨークタイムズにちょうど載っている記事なんですけど、フランスでもまったく同じ問題が起きているんです。パリから別荘のある地方に疎開しようとする人がいて、その別荘のある地方で感染拡大が確認されたら、知事は「来るな」と。そこまでの道路を封鎖しようとする動きもあったんです。
もちろん、その地方の皆さんの命を守ることが仕事ですから、市長さんの言うことはよくわかる。ただ、自分の身を守ろうとする都会の皆さんの気持ちもよく分かる。
ちなみに、僕は週末は地方に行ったんですけど、その時はアルコール消毒液とマスクを持って。僕も都会から行っているから、万が一のために、感染させないように対策を徹底したんです。

加藤綾子キャスター:
無症状だけどもしかしたら自分も感染者かもしれないと思った行動が大事なんじゃないかと。

フジテレビ・風間晋解説委員:
僕も“疎開”はナシだと思いますよ。人が動いたらウイルスの拡散につながりますから、やっぱりやるべきじゃない。
この場合は「地方の医療体制を守らなければいけない」という動機もかなりあると思うんですよね。佐久市の場合は拠点病院があるんですが、感染症病床は4床、精神病床が2床しかないわけです。これで軽井沢で感染が確認されると佐久市の病院に運ばれてくるわけですから、なかなか厳しくなるんじゃないですか。

昭和大学医学部 特任教授・二木芳人氏:
仮に感染者が出た場合はやはり首都圏とか、あるいはもう少し広域にとらえてそこで病床のやりくりをするべきだと思いますので、そこの地域の病床が少ないということはそれほど心配にならなくてもいいと思います。

「東京の人は来ないで」は差別につながる?

加藤綾子キャスター:
佐久市の市長の言い方は「差別につながらないか」ということなんですが、これはどうでしょうか。

パトリック・ハーラン:
例えば、トランプ大統領が「中国ウイルス」と連呼していることに対しての反発は見えている。アメリカ国内で中国人、中国系アメリカ人に対する暴力・いじめ・差別的な行為が確認されています。ですからそれはぜひやめてほしい。しかし「東京人差別」は聞いたことはないですよ。今までにないから、多分今まであった差別を助長するような恐れはあまりない。長期的にはあまり気にしなくていいかなと思います。

フジテレビ・風間晋解説委員:
言い出しっぺは東京都知事と隣接4県の県知事じゃないですか。これが地方から東京への差別につながるとは思わないですよ。

加藤綾子キャスター:
東京だけ、というよりは単純に「外出自粛要請が出ている所からは来ないでください」ってことですよね。

「外出規制」は若者の行動にかかっている?

では、外出の「自粛要請」ではなく、強制的な「外出規制」は必要になってくるのだろうか?

フジテレビ・風間晋解説委員:
僕自身は必要な局面が来るのかなと思っていますが、日常的な外出と、今回のようないわゆる疎開みたいなものは別に考えるべきだと思いますよ。

パトリック・ハーラン:
日本は世界各国の国民に比べて大変マナーが良いし、要請されるとそれに応えようとする国民性があると思うので、外出禁止令みたいなものは必要ないかもしれない。

加藤綾子キャスター:
でもアメリカは結構厳しいですよね。

パトリック・ハーラン:
アメリカはめちゃくちゃ厳しいし、アメリカ人は政府の言うことを聞かないんですよ。ドイツでも罰金制度があって300万円とか取られちゃうんですけど、日本は本当に抑制しようと思っていれば外出禁止令以外でも措置があると思うんです。例えば電車やバスの運賃などを10倍に引き上げたらどうですか。不要不急の集まりに行かないと思うんです。そういうことも考えられる。

二木芳人氏:
要請に国民は大変良くこたえてくださって抑えてこれたのですけれども、少しフェーズが変わりましたよね。特に若い方は少し“コロナ疲れ”と言いますか、だんだん我慢ができない状況がありますので、ここは若い方の頑張りひとつだと思うんですね。若い方だけが悪いわけではありませんけれども、若い方が踏ん張ってくだされば「外出の規制」というようなことはしなくてすむ可能性は十分あると思いますので、若い方の行動に期待したい。

今回、志村けんさんのような非常に著名な方がお亡くなりになられました。若い方は「自分はうつっても平気」と思っていますけど、やはり高齢の方とか病気のある方に移すというリスクをもう一度考えていただければ、それが少し変わるんじゃないでしょうか。

(「Live News it!」3月30日放送分より)