戦車、巡航ミサイル、そして“ウラン9”

ロシア地上軍の日とされる10月1日、ロシア国防省は、歩兵・T-72B・またはT-90型とみられる戦車・スメルチ多連装ロケット砲・イスカンデルK巡航ミサイル等、多彩な能力を紹介する映像を公開した。

中でも注目されるのが、多機能遠隔操作ロボット兵器ウラン9の訓練映像が含まれていたこと。
ロシアは、このロボット兵器を部隊運用の段階にまで到達したのかもしれない。

ウラン9

戦車の様な履帯で走る、無人複合兵器とも言われるウラン9には、30mm機関砲・機関銃・ミサイル・火炎放射器が装備可能とされる。

決められた発射ポジションに並び、対戦車ミサイルを発射するウラン9は、まるで「小型の戦車」。

多彩な武器の発射も、ウラン9のカメラから送られてくる映像を元に、オペレーターの兵士は安全なところから行うことになる。

ウラン9

以前公開された映像では、ウラン9をまるで盾にしながら、歩兵がその後を追随していた。
歩兵とマシンが、今後は協同して戦場を駆け回るような印象だ。

ロシア国防省が「地上軍の日」という記念日に、戦車や巡航ミサイルと言った在来型兵器と並べて「ウラン9」を紹介したのは、期待の高さを示しているのかもしれない。

ウラン9のリモコンシステム

ウラン9の場合、無人とはいえ、その多彩な武器の発射は、リモコンで兵士が行っている。
つまり、引き金を引くという最後の作業は、人間が行っていることになりそうだ。

これは、ミサイルや爆弾を装着した現在の各国の武装ドローンでも同じだ。

カラシニコフによる、AI搭載武器ステーション

AIを備えた無人砲/機関銃塔(RWS:リモコン武器ステーション)

しかし、「AI=人工知能」を備えるとどうなるか。
自動小銃で有名なカラシニコフ・グループは「AIを備えた無人砲/機関銃塔(RWS:リモコン武器ステーション)」の試作品映像を公開した。

対象となるエリアをカメラで捕捉してスキャン。
危険ではない物体を外し、脅威のある標的を認識し、その脅威が人または装備であることを示すとともに、破壊するのために必要な弾の数を決定し、弾道も計算。

破壊を実行するための動作モードの1つを、オペレーターに示すという。

カメラで捕捉して、スキャン

そうすると、オペレーターである兵士の負担は、軽くなるというわけだ。

このシステムは、複数のRWSをリンクして運用することも出来るので、カラシニコフ・グループは国境線等の警備用に固定装備することを提案しているが、ウラン9のような無人戦闘車輛への搭載も将来は、可能となるのかもしれない。

識別能力を一気に高める米陸軍の赤外線センサー

一方、米陸軍の研究所「U.S.Army Research Laboratory」は、これまでの歩兵用赤外線センサーでは識別できなかったものを、識別できる新型のセンサーを、開発したと発表した。

従来は赤外線の強さで見ていたのに対し、偏光で画像を見ることによって、識別がしやすくなるという。

従来の赤外線センサー(右)新しいセンサー(左)

公表されたサンプルの画面の、右が従来の赤外線センサーで、左が新しいセンサーの画像。真暗闇でも、人間の顔の表情まで見えるようになるようだ。

アメリカ陸軍は、この新しい技術で、戦場に隠されたブービートラップや偽装された標的・IED(簡易爆弾)等の地上の脅威・ミサイル・迫撃砲弾・無人機などの空中からの脅威を、個々の兵士が識別しやすくする「アプリ」を開発し、将来は個々の人物を夜間識別することも目指すという。

技術の進歩は、戦場の将来の様相を変えてきたし今後も変えるのだろう。

人間の兵士は、遠隔操縦の戦闘機械のオペレーターとして、戦場から離れた場所にいて、戦場では傷つかない、ということになるのか。
それとも、「AI」を備えた戦闘機械に、人間の兵士が攻撃されるということになるのか。

だが、戦場の技術の発達から目を離すことはできない。

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