自殺したアイドルの遺族が所属事務所を提訴へ
「アイドルの自殺の原因は事務所によるパワハラだ」と裁判を起こした遺族が涙の訴え。一方事務所はパワハラを否定するコメントを発表し、主張は真っ向から対立している。
遺族・大本幸栄さん:
私たち親族は3月21日に最愛なる娘を失いました

今年3月に自殺した大本萌景さんの母親・幸栄さんが10月11日午後、会見を行った。
大本幸栄さん:
(萌景が)「佐々木社長が怖いんよね」という発言をし始めたことにすごく違和感を持っております。その怖いの意味を佐々木社長に教えていただきたいというのが本音です

愛媛県松山市のご当地アイドル「愛の葉Girls」のメンバーだった大本萌景さん(当時16歳)。


「歌って踊って耕して」をキャッチフレーズに農業アイドルとして活動。実際に野菜の収穫を体験するなどして明るい笑顔を見せていた。

一日平均10時間拘束…休みなしのアイドル活動?
ところが、その活動の実情は…
遺族の弁護士:
平日のイベントというのが非常に多くありまして、平均的に言えば一日10時間以上拘束されることがあったりとか、11~13時間にわたって拘束されることもあった。土日は(通信制高校なので)学校に行くことがあって、完全休みという日があまりなかったと…


萌景さんが愛の葉Girlsに加入したのは2015年。学校に通うことを条件に、両親の承諾も得て通信制の高校に通いながら活動を重ねてきた。

当初は萌景さんの母親も事務所に対し、活動を通して生活指導を託していた面もあったという。
今年5月FNNが取材した際には…
大本幸栄さん:
部屋が汚くていつまでも片づけないですよとか…今まで○○さん(当時の事務所関係者)に説教してもらってる。本当にお母さん目線で萌景には今までも説教してもらってたんです
スタッフが「寝ぼけたこと言いだしたらマジでブン殴る」
しかし…所属事務所は当時、学業優先をうたっていたものの、萌景さんが学業を理由に活動を休むことや脱退についてスタッフに相談すると…
スタッフからはLINEで
『次また寝ぼけたこと言いだしたらマジでブン殴る!』
『お前の感想はいらん。学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ』
などというメッセージが返信されてきたという。


また給料の面では…
遺族の弁護士:
平均3万5000円くらいの金額を毎月払われていたと…
通信制から全日制の高校に転校するはずだったが…
そうした中で、萌景さんは社長から入学金などの資金を貸し付けてもらい、通信制から全日制の高校に転校。アイドルと学業の両立を図るはずだったが…

入学金を収める前日になって事務所側は、貸付けを拒否。

遺族の弁護士:
3月20日にお金を借りに行ったところ、その日になってお金は貸さないというやりとりがあった。前日になってお金を貸して渡さないといわれ、萌景さんとしては、これは後からわかったことなんですが「家で簡単に死ぬ方法」や「頭をぶつけると死ぬ」といったことをご自身のスマートフォンで検索しております
その後事務所スタッフから『貸付金が用意してあるから社長に連絡してほしい』と言われ、萌景さんが社長に電話すると…
遺族の弁護士:
「愛の葉をやめるなら1億円支払え」というような話を…

萌景さんの姉:
脅しに近いことを言われてそれがきっかけになったのかなと…一言で言うなら負担だったのかなと思っています
萌景さんが自宅で命を絶ったのはこの翌日のことだった。

遺族と所属事務所で主張が真っ向から対立
遺族は過剰労働やパワハラなどで約9300万円の損害賠償を求めて明日10月12日提訴する考えだ。
大本幸栄さん:
「佐々木社長は自分にどれだけ責任があるとお思いですか?」とお尋ねしたところ 佐々木社長は「責任?…考えたことないですね」といわれました…

これに対し、当時の所属事務所社長は…
「(活動を)『続けないのなら1億円払え』などと発言した事実や「スタッフがパワハラを行った事実」はなく法的な責任があるとは思っていません」
などと遺族側の説明を否定。

そのうえで『訴状を受け取っていないので詳しいことは分かりませんが、“裁判の場”で明らかにします』とコメントしている。
プライムニュースイブニング10月11日放送より