逮捕から1週間 容疑を否認

埼玉県熊谷市のアパートで住人の宮﨑英美さん(27)が殺害されているのが見つかった事件。派遣社員の冨田賢容疑者(32)が逮捕されてから1週間が経った。容疑を否認しているとされ、”外堀を埋める”埼玉県警の捜査が進められている。

逮捕された冨田賢容疑者(32)(21日 熊谷署)
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9月6日正午ごろ、知人男性が現場のアパートで、倒れている宮﨑さんを発見した。宮崎さんと連絡が取れないことを不審に思い、部屋を訪ねていたとのこと。男性は「布団の上で冷たくなっている」と警察に通報した。

部屋には、争ったような形跡や着衣の乱れもなく、遺体にも目立った外傷はなかった。当初は、事件性の有無を含めて慎重な見極めが続いたという。しかし、翌日に行われた司法解剖の結果、死因は頸部圧迫による窒息死と判明。埼玉県警は殺人事件と断定し、捜査本部を設置した。

殺害された宮﨑英美さん(27)

発生直後の現場周辺には、防犯カメラやドライブレコーダー映像の回収を急ぐ多くの捜査員の姿があった。防犯カメラの映像はおおむね10日前後で消えてしまう。現代捜査の成否を握るともいってもいいのが、防犯カメラなどの映像だ。

現場付近に止められた不審なレンタカー

捜査本部は、殺人事件を担当する捜査1課以外にも他部署から応援を得て、初動捜査を厚くした。事件発生から1か月時点で、のべ1426人の捜査員を投入。現場付近486人から聞き込みを行い、その他、交友関係を中心に関係者からの事情聴取を重ねていった。

現場のアパート付近では徹底した初動捜査が進められた(9月5日 熊谷市)

それと前後して、ある男の存在が、捜査線上に浮上していた。殺害された宮﨑さんは、9月3日午前2時ごろ、近くのコンビニで買い物をする姿が防犯カメラに映っていた。その日の午後、知人とSNSで連絡をとったところまで、宮﨑さんの生存は確認されていた。

そんな中、防犯カメラなどの映像分析から、3日午後、現場付近の駐車場に、不審なレンタカーが止まっていたことが判明した。この車をたどっていくと、現場から50キロ以上離れた東京・東村山市に住む冨田容疑者が浮上したのだった。これが端緒となって、捜査は動き出す。

徹底された”つぶしの捜査” 発生から1カ月半での逮捕

2人の接点も明らかになった。SNSだ。捜査本部は、携帯電話の通信履歴や、指紋やDNAを含む現場資料の鑑定など基礎捜査を徹底した。密室での殺人で目撃者はいない。直接証拠も限られている。冨田容疑者以外”犯人”はいないのか。「つぶしの捜査」が進められた。

熊谷署に移送される冨田容疑者(21日)

そして「この男しかいない」との判断に至った10月21日朝。捜査本部は、冨田容疑者の自宅の捜索差押えを行うとともに、冨田容疑者を所沢署に任意同行。午前11時半すぎ、殺人容疑での逮捕に踏み切ったのだった。

接点はSNS 複数回会っていた2人 

冨田容疑者は、ことしに入ってSNSを通じて宮﨑さんと知り合ったという。事件当日だけではなく、その前にも複数回会っていたとみられているが、詳しい間柄などはまだ不明な部分が多い。現場となった熊谷市にはレンタカーで移動していたということだ。

捜査車両の後部座席で冨田容疑者はじっと前を見据えていた(21日 所沢署)

逮捕当日の夜、取り調べが終わり、所沢署から捜査本部がある熊谷署に、捜査車両で移送される冨田容疑者。カメラに気づきながらも、うつむくことなく、シニカルでどこか挑戦的な目つきで前を見据えていたのが印象的だった

調べに対して冨田容疑者は、事件当日、現場のアパートに行き、宮﨑さんと会ったことは認めているという。しかし「殺していない」などと殺人容疑自体については容疑を否認。捜査本部は事件の全容解明に向け、厳しい追及を続けている。

(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 金子聡太郎)