親の「もっと見たい」子どもの「もっと見てほしい」を実現

千葉・柏市にある、北柏駅前保育園わらび。
保育士の胸元には、小さなカメラ。「ルクミーフォト」と呼ばれる、自動撮影デバイスだ。

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お遊びや散歩などの間、数秒おきに園児の様子を連続で撮影。
すると、AI(人工知能)が子ども一人一人を判別し、保護者には、わが子の写真が上位に来るように表示される。

こうして、園での様子を知ることができるだけでなく、気に入ったものをスマホで購入することもできる。

保育士:
これだと、子どもが撮られているのがわからないので、素の表情が結構撮れる。先生と話している表情、自分がなかなか気づかない表情がある。

撮影のために保育士の手がふさがれることもなくなるほか、写真の仕分けや貼り出しが不要になり、保育士の業務効率化につながっていた。

子どもの行動パターンをAIが分析

さらに今、このシステムを生かした新たな取り組みも。

保育士役の大人と子どものモデルを用いた実証実験では、子どもは動き回ることが多く、顔だけでは認識できない場合が多いため、全身の特徴から人物を特定する仕組みを構築しようとしていた。

ユニファ システム開発本部・浅野健二研究開発部長:
抱っこされているケースでは識別が難しい。(写真が)横向きになっていると、顔認証がうまくいかないケースがある。その場合、体全体を見てあげることで、この人が誰であるかを知ることができる。顔認証と体全体を使ったより正確な人物の特定をやろうとしている。

浅野健研究開発部長
浅野健研究開発部長

ユニファ システム開発本部・浅野研究開発部長:
例えば、AさんとB君が割と高い確率で同じ写真に写っている。距離的にすごく近くで写っていることが多い。写真の分析を積み重ねていくとわかってくる。

こうすることで、例えば、ずっと1人で後ろを向いて仲間に入れない子どもなども把握することができるなど、より子ども一人一人にあった保育を行うことが可能になるという。

業務の効率化だけでなく、保育の質の向上にもつながる保育園のスマート化。

ユニファ システム開発本部・浅野健研究開発部長:
先生が専門性をもってしても届かないところだったり、気づきにくい部分に対して、データを使ってサポートをしてあげる。「この子は、もしかしたら今、こう思っているかもしれないよ」と教えられると、先生は、より一人一人の園児に対して関わり方を最適化できる。そういったことができると、より良い豊かな保育になっていくと思って進めています。

保育士の負担軽減と保育の質向上へ

三田友梨佳キャスター:
スマート保育、石倉さんはどうご覧になりますか?

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
このサービスは私の子どもが通っている保育園でも導入されていて、月に一回写真が送られてきて、保育士さんだからこそ撮れる写真がたくさんあり、我々も普段子どもがどう過ごしているか見られないので、毎月楽しみにしています。

石倉秀明氏
石倉秀明氏

三田友梨佳キャスター:
自然な表情や様子は楽しみだと思いますが、テクノロジーの力を使って保育のあり方も今後変わってきそうですね。

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
そうですね。保育士さんは子どもたち一人一人をしっかり見てくれていると思います。それを共有するときに手書きの連絡帳だったりとかアナログな業務が多いという側面もある。結果として保育士さんの業務の負荷が非常に高いですし、長時間労働に繋がっていると思う。テクノロジーを使うことで親に共有頂くとか、保育園の中で引き継ぎを行っていくとかして業務効率化して保育士さんの負荷が下がり、子どもの成長サポートに時間が使えるようになるとより良くなると思います。

三田友梨佳キャスター:
人手不足が大きな社会問題である中で、保育士さんの負担軽減だけで無く保育の質の向上が期待できることは、これからの時代に求められていることだと思います。

(「Live News α」3月17日放送分)