被災者の健康を守る 77歳の仮設診療所所長

口ひげがトレードマークの関根俊二さん(77)は、仮設津島診療所の所長。診療所は、福島・浪江町から避難した人たちが暮らす、二本松市の復興公営住宅の一角にある。

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福島第1原発事故の半年後、避難場所が仮設住宅だったころから、プレハブの施設で診療を再開し、被災者の健康を守ってきた。

仮設津島診療所・関根俊二所長:
(9年間は)早かったですよね。震災から避難して、最初の半年ぐらいは、もう無我夢中でやってたし

へき地での医療を志し、1997年に浪江町の津島診療所で働き始めた関根さん。退職する直前、69歳の時に震災が起きた。

住民とともに津島地区を離れて、まもなく9年…

関根さんは診療所に通うため、福島市内で1人暮らしをしていて、週末だけ、郡山市にいる家族のもとに戻るという生活を続けている。

仮設津島診療所・関根俊二所長:
とっくに仕事はやめてもいい歳なんだけど、後任の医師がいないから、やめられないです。ましてや仮設の、本来の場所でないところに出てきてやっている診療所みたいなところには、なかなか先生が来てくれない

診療所は、復興公営住宅の完成にあわせて新築された。現在、5人の医師が診察にあたっているが、常勤で働くのは、定年を過ぎた関根さん1人。

それでも、震災を経験して強まった患者との絆が関根さんの背中を押している。

仮設津島診療所・関根俊二所長:
注射していくと何日くらい楽? わかんない?

女性患者:
ははは...2日、3日いいと思う

女性患者:
安心して、いつも優しくしてもらっている。本当に良い先生です

市外や県外の避難先から通う患者も少なくない。関根さんは、頼りにしてくれる患者のため、元気な限り医師を続けるつもりだという。

仮設津島診療所・関根俊二所長:
住民の方もみんな帰ってくれて、そこでまた診療所が再開できるんだったら、そこで再開をして。問題なく(浪江町)津島の地区で住民の方と別れて辞められるなら、これが最高かなと。

津島診療所は、今も「仮設」の2文字を残し、元の場所に戻る日を待っている。

(福島テレビ)

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