保育所や学童保育…引き続き開園を求める方針

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、安倍首相は3月2日から全国の小中学校と高校、特別支援学校を臨時休校するよう異例の要請を行った。一方で、保育所や学童保育については、引き続き開園を求める方針だという。

この発表を受け、専業主婦(10歳と7歳と3歳の子の母親)は、「感染が拡大しないか心配ですが、子どもの学習面の遅れと毎日の昼食も悩みです。元気な子どもたちをどうやって自宅待機させるか…難しい問題です」
共働きをする母親(子は5歳と3歳)は、「保育所が開園すると聞き、安心しました。在宅勤務ができない仕事の上、近くに頼れる身内がいないので、子どもの預け先がないと職場に迷惑をかけてしまう」と話した。

ママさん保育士「子どもが感染しないか心配」

一方、子どもを預かる側は、この現状をどう感じているのだろうか。
保育士、学童保育スタッフに話を聞いた。

・「小学校が休校の間は、上の子を学童保育に預けるため、毎日お弁当を用意しなければなりません。また、普段の学校より学童の方が閉鎖的で長時間になるため、子どもが感染しないか心配」(9歳と3歳の子を持つ保育士)

・「わが子も、園の子どもたちも、どちらも大切なので、できる限りのケアをして感染から守りたいと思っています。しかし、今回の新型肺炎は小さい子は重症化しないと言われている前提があるから、そう思える余裕があるというのが本音かもしれません。親としては、わたしが働くことで、わが子を危険にさらすことになるのはつらいです」(2歳の子を持つ保育士)

・「2月28日現在、いくつかの自治体では学校休校時の開室が決まってきました。未だ協議が続いている自治体もありますが、開室しないと困る保護者さんが大勢いるので、できれば開室したいと思っています」(都内の学童保育スタッフ)


取材中、母親たちが、保育士としての役割と、親としてわが子を守りたい気持ちとの間で、葛藤している姿が印象的だった。
保育所や学童保育の開園は通常通りでも、そこで働くスタッフたちは普段通りでない苦悩があることが見てとれる。

運営者「開園を継続するために、保護者の協力は必要」

都内で複数の保育所を運営する男性から、今後、想定される問題について話を聞いた。

ーー臨時休校要請を受け、いま保育現場は?

運営している園の保育士の中には、学校に通う子を持つ親が大勢います。
要請が出た段階で、「休校の場合は出勤できない」と連絡を受けているスタッフが、およそ1割います。

ーー今後、どういった問題が想定される?

保育所では国が定める保育士の配置基準(1人の職員が保育できる人数:乳児3人、1・2歳児6人)があるため、今後、出勤できない保育士の数が増えてくると、保育所を開園することが難しくなります。
また、保育士だけでなく、栄養士(1つの保育所に2名常勤)が出勤できない場合、給食の提供ができなくなったり、就学している子の母親が比較的多い、パート保育士が3月2日から勤務できなくなると、その影響は大きいです。

ーー保育所が突然休園する可能性も?

保育所は、自治体の指示がない限り、何が何でも開園しなければならないルールがあります。しかし、保育士も無敵ではありません。

2月28日の段階で、感染が疑われるスタッフはいませんが、新型肺炎が国内で流行している状況を見ると、今後、スタッフやその家族が感染してしまう可能性も大いに考えられます。
保育所は大事なお子さまを預かる場として、感染の疑いがある場合や体調不良のスタッフを勤務させるわけにはいきません。保育士が集まらない場合は、「子どもたちを集めて見るだけの保育」になってしまうケースも想定されるでしょう。
開園を継続するためにも、「可能な場合は、子どもを自宅で保育する」「自宅勤務で通勤時間がかからない分を早めにお迎えに行く」など、「保護者の協力」は必要だと感じています。

突然の休校要請の中、共働き世帯が働くためには、保育所や学童保育を頼らざるを得ない状況ではあるが、受け入れる側にも子どもを持つ家庭があることも忘れてはいけない。
負担が偏らないように社会全体で取り組むべき課題だろう。


(執筆:清水智佳子)

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