蛍光灯に照らされた白っぽい廊下に捜査員の靴音が響く。集団の中には女性も含まれていた。目指す店は赤を基調として、どこか怪しげだ。先頭の捜査員が店番に来訪の要件を告げた。他のメンバーは入口付近で待機していた。警視庁保安課の“ガサ入れ”が始まった。

9月14日、警視庁保安課などが「まんだらけ禁書房」を家宅捜索した(中野区)
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9月14日、保安課が家宅捜索したのは「まんだらけ禁書房」(東京・中野区)。古本やアニメグッズなどを全国で手がける「まんだらけ」が運営するアダルトショップだ。本家まんだらけと同じ、複合ビル「中野ブロードウェイ」4階に店を構えていた。

捜索容疑は風営法違反。風営法の対象となる店などは、病院や学校の近くで営業することはできない。性風俗店だけではなく、アダルトショップなども対象で、ラブホテルも禁止区域内ではNGだ。2011年の法改正では、“偽装ラブホ”が問題にもなった。

「まんだらけ禁書房」は風営法の禁止区域内で営業していた(9月14日 中野区)

調べによると「まんだらけ禁書房」は8月28日にオープン。店は病院から200メートル以内に位置している。にもかかわらず、店内にアダルトグッズを置いていた。そんな中、匿名の“苦情”電話で事件が発覚することになる。

「不健全なので取り締まって欲しい」「いかがわしい店があるので何とかして欲しい」中野署には同様の苦情が合わせて10件相次いだ。これを受けて中野署は迅速に動いた。しかし「まんだらけ」の動きは鈍かった。

まんだらけ側は、再三の指導・警告に従わなかったという(9月14日 中野区)

最初の苦情は9月1日、翌2日には、中野署が立ち入りを行い、指導・警告に及んだ。その後、4回に渡って、指導・警告を続けたが、状況は改善されず。“業を煮やした”保安課が家宅捜索に乗り出す事態となった。

店から押収されたのは2534点。このうち2284点がDVDや写真などのアダルトグッズだった。保安課などは、22日、法人としての「まんだらけ」と、法務担当の男性役員(60)を、風営法違反(禁止区域内営業の禁止など)で書類送検した。

調べに対して担当役員は「年代物のアダルトビデオを専門に扱う店を出したかった」と供述。警視庁から指導・警告を受けているにもかからず、危機感が乏しく、社長らにも報告をあげていなかったようだ。

 
押収品はアダルトグッズなど2534点にのぼった(22日 中野署)

昔から、中野ブロードウェイは「サブカルの聖地」などと呼ばれていた。そして、どこか文化の香りがした。作家で元都知事の故・青島幸男さんなど、有名人も居を構えたことで知られる。

その中野ブロードウェイの“顔”と言えば「まんだらけ」だった。2014年の万引き犯画像公開騒ぎでは、賛否はあったが、店への評価は高まった。アダルトショップが悪いとは言わない。ただ、一連の経緯がとても残念だ。「まんだらけ」よ、どこへ行く。