カープの球団スタッフになるため、夢を追って佐賀県から広島にやって来た男性がいます。
58歳での転身、異例の経歴の持ち主の熱い思いに迫ります。

カープの編成部で働く土井一生さん。担当している仕事が…。

【広島東洋カープ 編成部・土井一生さん】
「投球も打球も今は科学的な視点でいろんな計測がされている。戦術や育成に生かせるようなデータとして整理している」

試合や練習で得られた様々なデータを分析する仕事に携わっています。

【土井一生さん】
Qいつからカープで働いている?
「今年の9月から来たのでまだ1カ月ちょっと」
Qそれまでは何の仕事を?
「それまでは佐賀県の県立高校で教頭の仕事をしていました」

じつは、土井さん、前職は高校の教頭先生なんです。
佐賀県で36年間、教員生活を送り、58歳でカープの職員に転職しました。

【土井一生さん】
「夢のようですね、カープで仕事ができるなんて。50過ぎまで思ったこともなかったので」

子供のころから熱烈なカープファンだった土井さん。転身のきっかけはインターネットで見つけたカープの求人でした。

【土井一生さん】
「60が間近になって、定年後には新しい自分に挑戦できたらとは漠然と考えていたが、応募だけしてみて、それだけでもカープに関わったような気になれたしとても、受かるとは思わなくて応募したんですが」

高校では数学や電気科の教員として統計学を使ってきました。そのキャリアがプロ野球のデータ分析に生かせるとカープの職員に採用されたのです。

【土井一生さん】
「生徒には、みんなの夢の到達を見届けたいと思っていたけど、という話を生徒にはしました。本当に申し訳ないけど、先生も自分の夢を追わさせてもらうことにしたという謝罪のような挨拶を最後にしたんです」

夢を追って佐賀から広島へやって来た土井さん。その原点となったのが…。

【土井一生さん】
「プロ野球ニュースというのが確か自分の中学生ぐらいの時に始まったと思う。眠い目をこすりながらも必ず見て、そこで初めて結果を知るのでドキドキしながら見ていました。メインキャスターの佐々木信也さんが、それではテレビ新広島の神田さんて呼び掛けがあったときにキター!って。

長く見ているうちに少し予想が立ってきたのは、森永勝也さんの表情が違うんですね。勝ってた試合はもう喜びが表情に出ていて、少しそのへんが分かるようになりました。プロ野球ニュースが私がカープファンであることをつないでくれた番組だと思う」

カープを応援し続けて50年。そんな土井さんに好きなカープ選手を尋ねると教師ならではの答えが…。

【土井一生さん】
「守備固めで出てくる三好選手や上本選手とかサブで活躍している人。そういう人たちに思わず目を向けたくなる。勉強にしたって部活にしたって、トップでいられる人間とそうでない人間がいて、そうでない人間がいかに頑張っているかというところには教師としては絶対目を向けたくなるし、そういう子たちの生き方はすごく注目したし、何かしてあげたいという気持ちもあったので」

ところで、今回の転職を佐賀県にいる家族はどう思っているのでしょうか。

【妻・さとえ さん】
「えー!って驚きが最初でした。こっそり試験を受けているのも知らなかったのでびっくりしたが1回飲み込んで、主人の性格からしてやりたいことをやり遂げるタイプだったので、応援しようとすぐに思いました」

じつは2年前に念願のマイホームを手に入れたばかりでしたが…。

【妻・さとえ さん】
「主人と一緒に住みたい気持ちはあるが(広島まで)2時間ぐらいで行ける距離なので、好きな目標に向かって自分の最後の人生を歩んでもらってもいいかなと思っていたので、応援する気持ちしかないです」

球団初となる元教員の採用に同僚たちも期待を寄せています。

【同僚は】
「僕たちの知らないことをいっぱい知っているので、業界も全然違うし、いろんなところで助けていただけるし力になっていただけると思う」

土井さんにはカープで取り組みたいことが2つあります。

【土井一生さん】
「野球に限らず、スポーツは科学とデータ分析が必須になってきているので、何か有効な数字を出せていけるようになったらなっていうのが一つの夢と。30数年教員をやってきたことは人生の半分以上を占めているので、(選手の)人間育成に何か携われたらなと思う。せっかく与えられた幸運だから、持っている力は120%ぐらい出してみたい。全力を尽くしたい」

カープの勝利に向けてまた一人、新たな力が加わりました。