FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。平松秀敏解説委員が「望まれない赤ちゃん“産み落とし”の悲劇、母親だけの問題か」を伝える。

出産後、湯船から引き上げず…

平松秀敏解説委員:
今に始まったことではないですが「赤ちゃんの産み落とし事件」というのは本当に多く、最近特に相次いでいるような印象があります。その中でも私が特に印象に残っているのは「埼玉・赤ちゃん2遺体事件」です

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平松秀敏解説委員:
登場人物は、斎藤真悠容疑者(26)。10月2日に斎藤容疑者の知人が警察に通報してきました。「斎藤容疑者が出産したかもしれないが、子どもの行方がわからない」と。さらに、この知人の間では噂になっていて、どうも「斎藤容疑者のおなかが急にへっこんだ」と不審に思う人が多かったということです。

平松秀敏解説委員:
警察が翌日、斎藤容疑者の埼玉県川越市内の自宅アパートに急行しました。警察官が斎藤容疑者に対して「子どもはどこに?」と聞いたところ、別に隠し立てすることなく、クローゼットの前まで連れて行き「プラスチックケースの中に遺体があります」と打ち明け、警察が調べたところ、そのケースの中には若干腐敗した生後間もない男の子の遺体が見つかり、斎藤容疑者は死体遺棄容疑で逮捕されました

ところが、その後の捜査の過程で驚きの展開を迎えます。

平松秀敏解説委員:
取り調べに対し、斎藤容疑者が「実家の屋根裏部屋にも別の赤ちゃんの遺体があります」と打ち明けたのです。捜査員が埼玉県春日部市の実家に急行したところ、供述どおり屋根裏部屋から性別不明の赤ちゃんの遺体が見つかったということです。今回も死体遺棄容疑で再逮捕されました

平松秀敏解説委員:
この屋根裏部屋の遺体について、斎藤容疑者は「2018年3月ごろに産んだ」と言っています。「3年前に産んだ」というようなことを話しているということです。実家には両親が住んでいますが、両親は屋根裏部屋に遺体があることを知らなかったため、かなり驚いた様子だったということです。

平松秀敏解説委員:
そして斎藤容疑者は先週3回目の逮捕をされました。今回は殺人容疑です。1回目の川越市のプラスチックケースの中で見つかった赤ちゃんに対する殺人容疑です。その殺人の手口は、8月11日の午前2時ごろ、自宅アパートの浴槽の中で赤ちゃんを出産。お湯が張ってありますが、そのまま湯船から引き上げずに見殺しにして命を奪ったと。遺体の大きさから、死産ではなく「生きて」生まれてきたと断定したので、警察としては殺人容疑で立件をしたということです

平松秀敏解説委員:
この赤ちゃんについて、捜査の過程で驚きのことがわかってきました。実は斎藤容疑者は、自分が妊娠していることを両親にも伝えていませんでした。そして、妊娠しているけれど病院に通った形跡がありませんでした。最初から出産してそのまま亡きものにしようとしたのではないかと考えられるということです

平松秀敏解説委員:
そして屋根裏部屋で見つかった赤ちゃんについても、同じような手口で風呂の中で産んでそのままにしていたというようなことを話しているということで、もしかしたら赤ちゃん2人の命を奪っている可能性がある。決して許せることではないですし、本当に言語道断だと思います

父親「妊娠は知っていたが出産は知らなかった」

平松秀敏解説委員:
私には許せないことがもう1つあります。それは、赤ちゃん2人とも父親が特定されているということです。父親は別々の人物ですが、この父親がいずれも「妊娠していたことは知っていたが、出産したとは知らなかった」と2人とも話しているということです。

加藤さん、どう思いますか?

加藤綾子キャスター:
無責任すぎて言葉にならないですよね。妊娠したことを知っているならば、出産がだいたいいつぐらいかってわかりますけど、そういうところは興味がないよってことですかね

住田裕子弁護士:
私自身似たような事件を検事時代にいくつも対応したことがありますけれど、こういう母親に対して父親である男性もこういう態度で、家族もそうなんですよ。結局はお金もないし責任もないし、みんな逃げている。女性も、父となる人に「結婚しましょう」と言うと“逃げられる”と思い、本当のことが言えないという。そしてお金もないので、出産費用もないから一番「安易」な方法にいってしまって、1回ではなく2回3回と。私は過去に3体の事件がありました。以前は殺人の時効があったので、今のように全部を立件することができなかったという、本当に残念な事件がありました

「望まない妊娠」母親だけのせい?

平松秀敏解説委員:
児童虐待の話になりますが、厚生労働省は児童虐待の末に命を落とした「虐待死」の事例についても検証結果を発表しています。年間を見ると、100人弱ぐらいの子どもが虐待死によって命を落としている。2年前は78人の子どもが亡くなっています。内訳は、親が子どもを殺して自分も自殺する無理心中が21人。これに対して、私たちが普段「児童虐待死」と事件として扱っているようなケースは57人いました

平松秀敏解説委員:
事件扱いの57人は、およそ半分が0歳の時に亡くなっている。赤ちゃんの頃に死んでいるということです。さらに、主たる加害者が圧倒的に実母が多いということです。これは何を意味してるかというと、赤ちゃんが欲しかったわけではない「望まない妊娠」。望まれない赤ちゃんだったということです

平松秀敏解説委員:
斎藤容疑者も「産んでも育てられない。育てる覚悟ができなかった」と供述しています。決して私は彼女のことを擁護するつもりはありませんが、こういう現状があるということです

平松秀敏解説委員:
望まない妊娠というのは今社会問題化していて、経済的な背景があるのではないかと言われていますが、斎藤容疑者のような母親のせいにばかりしていたら、“赤ちゃんの産み落とし事件”というのは一生なくならないのではないかなという気がします

加藤綾子キャスター:
社会問題化しているこの現状がある中で、社会全体での取り組みというのはどういうことができますかね?

住田裕子弁護士:
まずは望まない妊娠のための「性教育」。女性だけではなくて男性にも必要なことは間違いないです。仮に赤ちゃんを妊娠した時に、ちゃんとサポートしないと、女性が孤立しているので母親だけの責任にしてはいけないです。家族も意外と無責任なので、行政がある程度サポートして、そういう施設をしっかり充実させていく、「こども庁」ができるのだったら、こういう子どもを救ってほしいなと思います

加藤綾子キャスター:
とにかく孤立させないことが大事ですね


(「イット!」10月20日放送より)