語り部の男性が聖火ランナーに

東日本大震災からまもなく9年となる。津波で家族を亡くし、宮城県名取市閖上で震災を語り継いできた男性が、東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれた。

名取市閖上で震災の経験や命の大切さを伝えてきた「閖上の記憶」。

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この日、語り部を務めたのは、聖火ランナーとして選ばれた佐々木清和さん(53)。

佐々木清和さん:
皆さんにとって幸せって何ですか? あと、大事なもの。考えてみてください

佐々木さんは当時住んでいた閖上で、妻・りつ子さん(当時42)とその両親、そして、閖上中学校に通っていた長女の和海さん(当時14)を津波で亡くした。

佐々木清和さん:
私も家族を失って家族のありがたさをあらためて気づいた。なくしてから気づいたのでは遅いんです。なくす前に「家族って大切だな」と思ってもらえればありがたい

体験や伝えたい思いが道徳の教科書に

佐々木さんの体験や語り部を通して伝えたい思いは、中学校の道徳の教科書にも掲載された。

タイトルは「ひまわり」。阪神淡路大震災に見舞われた兵庫・神戸市から、ひまわりの種をもらい、育て始めた佐々木さん。ひまわりの花に元気をもらい、心の支えとなったと話す。

佐々木さんのもとには教科書を読んだ全国の中学生から、約1300通もの感想文が届けられた。

1人ひとりの感想文が、佐々木さんの力になっている。

佐々木清和さん:
これも「ひまわり」を含めて元気をいただける。1枚1枚が財産だと思っています

聖火ランナーとして伝えたいこと

命の大切さを語り続けてきた佐々木さん。2020年に開催される予定の東京オリンピックの聖火ランナーに応募した。

“復興オリンピック”に位置づけられたこの大会で伝えたいこと。それは、震災後の支援への感謝。

佐々木清和さん:
これだけの街が少しずつ出来上がってきていることへの感謝の気持ちですよね。それは多分、日本だけでなく世界各国の善意があってこそ、ここまできたと思いますので、それへの感謝ですね

名取市の聖火リレーのゴールは、2018年に開校した閖上小中学校。

佐々木さんの長女・和海さんを含め、津波の犠牲になった閖上中学校の生徒14人の名前が刻まれた慰霊碑が設置されている。

“復興オリンピック”の聖火を、自分の手で子どもたちに見せたい。佐々木さんが聖火ランナーに応募したもう1つの理由だ。

佐々木清和さん:
走るのであれば、できれば私の個人的な希望だと、ここの慰霊碑の生徒14人に聖火を見せることができればうれしいし、合わせて、ここに今、通っている生徒さんたちにもオリンピックの聖火ってこういうものだなってことを見てもらえればと思う。平和じゃなかったらオリンピックもできないし、平和があって、命があって、ありふれた日常があって、自分たちが生きていることを感じてもらえたら

(仙台放送)