3年4か月に渡る拘束から解放されたジャーナリスト、安田純平さんの妻の深結さん。

日本時間の25日朝、本人と約3年ぶりに電話でやり取りをし、「お疲れさま」などと言葉を交わしたという。
その内容と、再会を前にしての心境をカメラの前で語った。

25日正午前
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「日本にいる私たちが、大変だったんじゃないかということを心配していました」

待ちに待った夫との会話。
その肉声を耳にした深結さんは、「やっと本人の感覚というのが伝わってきたので、ちょっと声を聞けてホッとしたところはあります」と明かした。

拘束生活の“実態” 証言

FNNは、経由地のイスタンブールに向かう機内で、安田さんに話を聞くことができた。


――日本へ帰るお気持ちは?
ずっと日本に帰りたかったので、うれしいです。

――独房は真っ暗でしたか?
いや、ずっと電気がついていました。

――時々呼び出されて、動画がアップされていましたが?
3年間で何回したかわからないですけど、何カ月に1回かですよね。

2015年6月にシリアへと入り、行方不明となった安田さん。2016年3月に初めて公開された映像では、黒いセーター姿にマフラーを巻き、英語で「妻・両親・兄弟を愛しています。いつもあなたたちのことを思っています」とコメント。

そして今年7月には、オレンジ色の布を纏い銃口を向けられながら、こう訴えた。
「とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください」
かすれた声でのSOS。これ以降、動画の投稿は途絶えた。

イスタンブールに向かう機内では、「解放されるというのは何回も聞いていたんですけど、いろいろ言いがかりをつけてはキャンセルになったりとか。本当に解放されるのかなっていう気持ちの方が強かったです」とも話していた。

願い込めた “ミサンガ”

「いつか日本に帰る」そう信じ続けた妻に届いた無事解放の知らせを受けた深結さんは、24日夜、「さっきまで、3年半巻いていたものです」と願いを込め身に着けてきたミサンガを取り出した。

安田さんの無事が確認される前の24日午後2時半の取材時にはまだ右手に巻かれていたが、取り出したミサンガは切られていた。

「(切ったのは)もうこれで(無事が)確定と決まった時ですね。その時に自分の中の“彼を待ち続けた”というものにピリオドを打った。ここからまた新しいスタートが始まるという気持ちだなと思ったので、これをカットしました。とにかく早く会いたいです」

夫の無事を祈り続けた日々が終わった25日午後5時ごろ、空港近くのホテルで待望の再会を前にした深結さんに話を聞くことができた。

「家族が心配」気遣う安田さんとの電話での会話

倉田大誠キャスター:
安田さんはトルコのイスタンブールを発って、まもなく日本。
今は空の上ということです。深結さん、いよいよですね。

深結さん:
昨日までは実感があまりなかったんですけど、今、本当にドキドキしてきています。

倉田大誠キャスター:
「本人と確定されるまでは素直に喜べない」という話もされてましたが、改めて今のお気持ちは?

深結さん:
早く本人の顔を見て、声をかけたいです。

倉田大誠キャスター:
そして、実は安田さんがトルコを出発する前、本人と確定された段階で電話でお話をされてるんですよね。
どういったお話をされましたか。

深結さん:
まず、「お疲れさま」という声をかけました。
そして、体調のこととか、月並みですけど「ごはんを食べていたのか」とか。
それから「両親は元気だ」とか、そういうことを話しました。

倉田大誠キャスター:
一番印象に残っている言葉はありますか?

深結さん:
「自分はただ拘束されていただけだからいいんだけれど、家族は日本でいろんな目に遭って、いろんな思いをしてるから、そこが心配」ということをずっと思っていたんだなと思いました。

島田彩夏キャスター:
安田さんはご家族のことを一番に考えているというお話でしたが、そういった性格の方なんでしょうか。
そして、深結さんはその時どのように答えられたのでしょうか。

深結さん:
本人は「とにかく自分のやってきたことは、自分の責任だから」ということを常に考えている。
そして、そのように言葉にしてきた人なので、本人らしいなと思いました。
私は「あなたが心配していたほど周りの人たちが私たちに対して、冷たいとかいろんなことばかりではなかった。温かい人たちもたくさんいたし、頑張ってこれたよ」と答えました。

島田彩夏キャスター:
飛行機の中の映像もご覧になったと思いますが、何か変わったところはありましたか?

深結さん:
ちょっと痩せてしまったな、とは思いましたけど。
でも、食事のことも聞いたのですが、食事は少しは摂れていたようなので。
彼なりに頑張って過ごしてきたんだなという感想を持ちました。

島田彩夏キャスター:
日本に帰ってから何か一緒に食べたいとか、リクエストなどはありましたか?

深結さん:
特にリクエストはないんですけれど、やっぱり白いご飯を一緒に食べれたらいいなと思ってます。

夫を助けるために力を尽くした妻…「離れていた3年半を埋めていきたい」

倉田大誠キャスター:
4回にわたって動画が公開された後、消息を絶ってしまった安田さんですが、その間身につけていたミサンガは、今はどうされているんですか?

深結さん:
もう封筒に入れて大切に保管しています。

倉田大誠キャスター:
ミサンガをつけた時は、どのような思いだったのでしょうか。

深結さん:
彼が帰ってくるためなら、とにかく何でもやってきました。
自分にできる範囲のことですが、いろんなことをやってきました。
その時は、本当に彼が早く無事に日本に帰ってこれるように。
そして、日本に帰ってこれない間も肉体的、精神的に彼が耐えられるように、守られるようにという思いでミサンガをつけてもらいました。

倉田大誠キャスター:
今後については、機内で「これから何があるのか、どうしていけばいいのか分からない」と話していました。
これに対して、24日に深結さんに伺うと「彼は生粋のジャーナリストなので、これからまたどこかへ取材へ行こうとするかもしれない」と答えられましたが、改めて安田さんに伝えたいこと、家族だからこそ言いたいことはありますか?

深結さん:
本人にもそういう話はしたんですが、「3年半という空白があって、日本で何がどうあったのかということも本当にまだ分からない」と言っていました。
そういう話をゆっくりしながら、1つ1つ彼と離れていた3年半を埋めていけたらなと思っています。

 
「夫が助かるためなら全てのことをしたい」という思いを胸に、今年8月には意を決して記者クラブで助けを訴える会見を開いた深結さん。
空白の3年半を埋めるように、家族との時間を大切に過ごしていくのだろう。

(「プライムニュース イブニング」10月25日放送分より)