人々の頭を悩ませる...水産業のかつてない不漁

東日本大震災から9年。復興してきたかに見えた岩手県沿岸の水産業だが、今 かつてない不漁に多くの関係者が頭を悩ませている。

仲買人:
特に今年はひどいですね

仲買人:
メインが悪いから、サンマ、スルメイカがほとんどダメだから。メインが悪いと仕事にならないからね

仲買人:
いろんな補助金とかご支援いただいて、建物とか設備は復旧したんですけど、これでがんばってやっていこう、というところに不漁なんで

これまで岩手県内で一番、水揚げ量の多かった魚が秋サケで、水産業界の収入の柱となってきた。

ところが、放流した稚魚がかえってきた数は、1996年がピークで2,447万匹、回帰率は5.5%で、その後、年々減少。

震災後の回帰率は1%前後で推移し、特に2019年度は、0.2%と深刻で、76万匹余りしか戻ってこなかった。

このため、放流事業のために2019年度確保できた卵は、計画の5割に満たない2億個ほどとなってしまった。
他県からもらおうともしたが、どこも同じような状況で確保することはできなかった。

県水産技術センター漁業資源部・太田克彦部長:
将来的には4年後、5年後のサケの漁獲量にもかなり影響が出てくる。そういったものを考えると、沿岸の漁業のインパクトは非常に大きいものがあるので、危機感を非常に持っている

採卵数が減った主な要因として、2019年10月の台風19号の影響や、春先の水温の急な上昇が指摘されている。

不漁だった2016年は三陸沖で、高い温度を示すオレンジの範囲が震災前の2010年より広いことがわかる。

県水産技術センター漁業資源部・太田克彦部長:
もともと低めの水温で成長する魚ですので、そうなってきますと、サケ稚魚が沿岸で十分に成長しきれないまま北上してしまうということで、そういったところがサケ稚魚の数を減らしている原因ではないかと考えています

県水産技術センターでは、回帰率を上げるため、水温変化に強い稚魚の生産に向けた研究をしている。

県水産技術センター漁業資源部・太田克彦部長:
岩手県の中では、水温に高い耐性を持っているであろうと思われる北上川水系のサケ、まずそういったところを調べて、これからの環境の変化に対応できるような増殖事業を目指していきたいと考えています

海上でトラウトサーモンの養殖を開始

こうした中、本州一のサケの水揚げを誇る宮古市では、2019年11月から海上でトラウトサーモン約2万5,000匹の養殖を始めた。

宮古市水産課・佐々木勝利課長:
近年、水揚げがかなり減ってきていましたので、何か対策をとらなきゃいけないということの一つの手段として、魚類の養殖を試みた

トラウトサーモンは、養殖用に開発されたニジマスで、刺身でも食べられるため、多くの需要がある。

宮古市水産課・佐々木勝利課長:
魚市場の閑散期に水揚げができるのも、大きな理由の一つです

現在、順調に育っていて、宮古市では初年度50トンの水揚げを目標にしている。

(岩手めんこいテレビ)