午後8時から放送の「BSフジLIVEプライムニュース」を、FNNプライムオンラインで同時配信でご覧いただけます。同時配信ページはこちらhttps://www.fnn.jp/live/primenews#3

今回の放送では、新型コロナウイルスの集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号で現場対応を指揮した橋本岳厚生労働副大臣をスタジオに迎えた。
橋本副大臣は大型クルーズ船の現場対応で何を見たのか。前例のない事態への対応で得られた教訓が今後の新型コロナ対応にどう活かされるのか。当時の状況や日本の感染症対策の課題について、政府の専門家会議メンバーである岡部信彦氏とともに話を伺った。

橋本副大臣 最初の“3割陽性”に驚き、乗船志願

この記事の画像(8枚)

長野美郷キャスター:
ダイヤモンド・プリンセス号における当時の状況・経緯のおさらいです。船の横浜入港は2月2日、翌日から症状が出ている乗客を検査し陽性者を確認。5日から客室待機が開始、橋本副大臣が11日に乗船しました。順次全員検査が行われ、感染者の確認と陽性者の病院搬送、その後乗客の下船、乗員の下船へと進みました。
橋本副大臣は隔離後1週間から乗船しましたが、その経緯や船内状況はいかがでしたか?

橋本岳 厚生労働副大臣:
まず、客室待機が開始された5日の朝には厚労審議官が乗船していました。3日から検疫がスタートしており、4日の晩に31名中10名が陽性と判明しました。これは忘れられません。3割もいるのかと。対応の重要性を確認し、船内に行かなければわからないと考えました。

反町理キャスター:
橋本さんは自ら手を挙げたんですか? 乗船に至った経緯は。

橋本岳 厚生労働副大臣:
毎日大臣室で話していた中で私が発言したと思うが、9日の晩に自見はなこ政務官と加藤勝信大臣と私の間で、誰かが乗船する必要があるという話になりました。翌日10日の朝に、橋本と自見政務官はクルーズ船で現地対応をする、国会対応は稲津久副大臣と小島敏文政務官らで行う、と大臣から指示がありました。

反町理キャスター:
加藤大臣から電話などで「すまんが行ってくれ」みたいなことは? 自分が行くと覚悟していたのですか?

橋本岳 厚生労働副大臣:
9日の晩に乗船したほうがいいということになっていましたから。自分は言い出しっぺですしね。
そして乗船してみると、その時期には救急搬送の必要がある方が多かった。PCR検体採取の結果陽性となった方は船内に置いておけないから、下船していただく必要がある。グラフの通り、発熱する人が毎日出ていました。そのため、発熱した方を呼んで救急搬送という作業をずっと行っていました。私が乗船した11日がもっとも多くて、80人ほどの方に下船していただきました。

橋本副大臣 「乗員にサービスしてもらうしかなかった」

反町理キャスター:
共有スペースで過ごす乗員の方々への対処は、二次的なものとならざるを得なかった?

橋本岳 厚生労働副大臣:
結果からすればそう。理想は乗員・乗客合わせた3700人すべてをそれぞれ個室に収容できる宿泊施設に移動してもらうこと。しかしその時点で、政府として調達ができなかった。食事についても、調達自体は弁当屋さんに発注できたかもしれないが、船内での配膳などの引き受け手がいない。乗員にサービスを継続してもらうしかないという判断になった。
最終的に残った乗員の方の検体採取をして、感染が確認された人は10数%と低い数字でした。遅くなったこともありもう少し多くの感染者がいると思っていたが、この結果にはホッとした空気が流れたということもありました。

橋本岳 厚生労働副大臣

反町理キャスター:
乗員だけを下船させて、別途防護服を着たサーブ部隊を乗船させる、というのは無理だった? 自衛隊に任せるという選択肢は。

橋本岳 厚生労働副大臣:
選択肢としてはあったが、乗員の中でも感染者は休んでおり、一方で乗客の方もたくさんいる状況。別の人がサービスをという案は難しかった。また自衛隊にも調整の必要がある。防衛省とも相談しましたが、自衛隊は横浜で宿泊施設を確保したり別の船をチャーターしていたり、という綿密な準備のもと動いていました。その中で簡単に人を増やすようなことは難しかったと思う。

対策の目的は「治療」ではなく「検疫」

反町理キャスター:
船内のゾーニングが不十分であったなどの指摘もあります。

橋本岳 厚生労働副大臣:
厳密な管理ができていなかったと言われればその通り。でもこれは、病院で医療者が治療することとは違う、検疫の話。そもそも検疫というものは、我が国にウイルスが入ってくることを阻止する、あるいはそれをコントロールし、ゆっくりしたスピードにさせるために行っている。

反町理キャスター:
それがダイヤモンド・プリンセス号におけるミッションだったわけですね。

橋本岳 厚生労働副大臣:
もちろん乗客へのケアをしっかり行いながら、しかし最大の目的は国内に拡大させないこと。普通の医療現場と比べられるのはナンセンスだと思う。

岡部信彦 川崎市健康安全研究所 所長

岡部信彦 川崎市健康安全研究所 所長:
この期間に船内で発生した患者さんの中で、帰宅後に国内で二次感染・三次感染の原因となったという例がない。

橋本岳 厚生労働副大臣:
簡単に成功・失敗といえる話ではなく、それは評価を待ちます。しかし国内に下船した人も追跡しており、二次感染は起きていません。船内の感染がいつ起こったのか等は厳密には分かりませんが、陽性の方を人を医療機関に運び、健康な方は帰宅していただいた結果「国内によくわからない感染者が多数出た」ということは起こしませんでした。

反町理キャスター:
各国にチャーター機を飛ばしてもらって、外国人の方には国外に出ていただくという動きについては。

橋本岳 厚生労働副大臣:
それは検疫の観点からいいことです。もっとたくさん、早く行ってもらえればよいのだが、とは思っていました。

大型クルーズ船をめぐる国際ルールの必要性は?

長野美郷キャスター:
大型クルーズ船の責任のあり方について、今後国際ルールを定めていくことの必要性は。

橋本岳 厚生労働副大臣:
船内の話については、船長と相談して協力ベースで行うことで、強制ができません。ただ実際問題として誰も感染したくはないので、船長の責任で客室待機をお願いすれば従っていただけた。そこに困ったこと、強制力を発動しなければならない状況などは特段ありませんでした。

反町理キャスター:
国際的なルールを作る必要はありませんか?

橋本岳 厚生労働副大臣:
我々はダイヤモンド・プリンセス号を受け入れましたが、後から来た別の船は上陸させなかった。今回はリスクに対して検疫をしたわけですが、場合によっては追い返してもよい。しかし、これは船からすると困った事態で、他の国が受け入れるかもわからず、感染が船内に広がってしまう。ですから、受け入れについてのルールはあったほうがよい。しかし受け入れ後はルール面では苦労しなかった

反町理キャスター:
2009年の新型インフルエンザの経験を踏まえて、今回法律以外に活かされたことは。

岡部信彦 川崎市健康安全研究所 所長:
特措法の手前に行動計画などがある。それを法律上のこととして読むと、これは新型インフルエンザではないから従わなくてよい、といった問題が出る。ただし、2009年とは病気もウイルスも異なるものの、国内でウイルスが広がりそうなときにこのような過去の例を見直して応用することは重要。しかし今回については、2009年の経験があまり活かされていなかったと感じる。


BSフジLIVE「プライムニュース」3月20日放送