「次の総理」調査で安倍首相がトップ奪還

FNNは3月21・22日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・ROD方式)を実施し1052人から回答を得た。この中で、「次の総理大臣にもっともふさわしいと思う政治家は誰か」について10人の政治家の名前をあげて聞いたが、その結果は次の通りだ。

安倍晋三 18.8%
石破茂 18.5%
小泉進次郎 9.8%
枝野幸男 4.9%
河野太郎 4.1%
岸田文雄 2.9%
菅義偉 1.0%
野田聖子 0.7%
茂木敏充 0.5%
加藤勝信 0.5%
この中にはいない 28.4%

この1か月間、新型コロナウイルスへの対応について記者会見や政府対策本部で発信してきた安倍首相が久々にトップを奪還した。大規模イベント自粛や全国一斉での学校休校について、調整が不十分だなどと批判を受けつつも、強めの対策を打ち出した姿勢が、一定の評価を得たものとみられる。

安倍首相に続いては、過去2回の調査でトップだった石破茂元幹事長が2位につけ、小泉進次郎環境相、枝野幸男立憲民主党代表、河野防衛相、岸田自民党政調会長と続いている。

過去3回の調査と比較した傾向 数字を落としたのは…

2018年総裁選

そしてこの結果を、FNNが去年から今年にかけて4回 (2019年4月・ 9月 ・12月 ・2020年2月 ・2020年3月)にわたって行った同じ質問の結果と比較すると、いくつかの特徴が浮き上がる。

安倍晋三 (― ・17.3%・ 18.2%・ 15.0%・ 18.8%)
石破茂 (20.7%・ 16.0%・ 18.5%・ 21.2% ・18.5%)
小泉進次郎 (25.9% ・14.3% ・14.5%・ 8.6%・9.8%)
枝野幸男 (4.0%・ 4.1% ・4.7% ・6.0% ・4.9%)
河野太郎 (3.4%・ 5.9%・ 5.3% ・4.4% ・4.1%)
岸田文雄(8.4% ・5.0%・ 2.7%・ 2.4%・ 2.9%)
菅義偉( 5.8%・ 6.3% ・3.0%・ 2.4% ・1.0%)
野田聖子 (2.0%・ 0.9%・ 0.9% ・1.2% ・0.7%)
茂木敏充(0.2%・ 1.1% ・0.6%・ 0.4% ・0.5%)
加藤勝信 (0.7%・ 0.5%・ 0.2% ・0.4%・ 0.5%)

前月と比べ、順位に変動があったのは2カ所だ。1つは先述の安倍首相と石破氏の逆転。もう1つが、菅官房長官が2.4%から1.0%へと下落し、岸田氏の後塵を拝することになったことだ。

菅官房長官の数字が、2019年9月の6.3%から1.0%にまで落ち込んだことについては、新元号「令和」を発表したことによる「令和おじさん人気」が消えたほか、自民党関係者らからの菅長官をポスト安倍に期待する声が止まったことが影響しているとみられる。さらにここ最近の傾向としては、新型コロナウイルス対策では安倍首相の積極発信の陰に隠れがちなこと、訪日観光客増など菅長官の肝いり政策がウイルスの影響で厳しくなっていることなども関係している可能性がある。

小泉進次郎環境相の人気急落に歯止め

小泉進次郎環境相については、去年4月の25.9%を頂点に下落し前回は8.6%に落ち込んだが、今回は9.8%と上昇し、人気下落の底を打った形だ。前回調査が政府の新型コロナウイルス対策本部を欠席して後援会の新年会に出席したことが問題となった直後という最悪なタイミングだったこともある。

小泉氏としては、底堅いとみられるこの約1割の層からの期待感をベースに、環境大臣として、どれだけ実績を積み重ねていけるかが、総理大臣を今後本格的に目指すタイミングを左右しそうだ。

自民党支持層の約4割が安倍首相の4選期待か

続いて、次期首相を事実上決める自民党総裁選では、あくまで自民党員と自民党所属国会議員の意思が反映されることを踏まえ、自民党支持層に限っての今回の調査結果を、最近の推移(2019年9月・ 12月 ・2020年2月・ 3月)も含め見てみる。

安倍晋三 (28.4%・ 34.4%・ 33.9%・ 39.3%)
石破茂 (11.8%・ 20.6%・ 16.9% ・19.7%)
小泉進次郎 (14.2%・ 10.9% ・11.0%・ 8.3%)
河野太郎 (7.8%・ 6.5% ・6.2% ・5.8%)
岸田文雄( 6.9% ・4.6% ・5.0% ・3.2%)
菅義偉 (8.4%・ 5.7%・ 3.8%・ 1.7%)
茂木敏充( 1.7%・ 1.1% ・0.7% ・1.1%)
野田聖子( 0.7% ・0.5% ・0.5%・ 0.5%)
加藤勝信( 0.3%・0.0%・ 1.2%・ 0.2%)

このように、自民党支持層で見ると、39.3%と実に約4割が「次の首相にふさわしい人」として安倍首相の名前を挙げた。石破氏にちょうどダブルスコアをつけている。「誰が次の総理にふさわしいか」と「自民党の規約変更をして安倍首相の4選を望むかどうか」はイコールではないが、安倍4選論、あるいは任期延長論は今後、さらに注目されることになりそうだ。

その理由は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪開催の1年または2年の延期が有力になっているためだ。1年の延期なら安倍首相の任期内ぎりぎりに開催できるが、2年延期となれば自民党総裁任期切れの後となってしまうことから、招致した際の責任者である安倍首相のもとで五輪を開催させるために自民党総裁任期も延長しようという意見が、今後大きくなる可能性を秘めている。

無党派層では、前回調査での“石破一強”から変化が

一方で、衆議院の解散総選挙があった場合に勝敗のカギを握るのは、無党派層の動向だ。そこで「支持政党なし」と答えた人に限っての数字を、前回、前々回との比較(2019年12月 ・2020年2月・3月)で見てみたい。

石破茂( 18.2%・ 22.3%・ 16.1%)
小泉進次郎( 19.3%・ 8.4% ・12.8%)
安倍晋三 (7.5%・ 4.3%・ 9.5%)
枝野幸男( 2.9% ・4.2% ・3.6%)
河野太郎( 4.8%・ 4.1%・ 3.3%)
岸田文雄( 1.1%・ 1.4%・ 1.7%)
菅義偉 (0.8%・ 2.3%・ 0.8%)
野田聖子( 1.1%・ 1.6% ・0.7%)
茂木敏充 (0.2% ・0.2% ・0.2%)
加藤勝信( 0.2%・ 0.0% ・0.2%)

このように、前回は小泉環境相と石破氏が2トップから石破氏1強という形だったのだが、今回は小泉氏と安倍首相が上昇し、石破氏の独走という形ではなくなった。国家の危機管理という点で、前回は石破氏と答えた層の一部が離れたとみられる。無党派層からの石破氏への期待感も積極的なものではなく、安倍首相や現体制へのアンチテーゼ的な要素があることがうかがえる。

安倍首相への支持・期待感は新型コロナ対策効果の一過性なのか?

今回の調査で安倍首内閣の支持率は、前月に比べ5.1ポイント増えて41.3%となり、不支持をわずかながら上回った。前回調査が、新型コロナウイルスに関する政府の対策への批判が高まっていたタイミングだったため、今回はその評価が好転していることが、内閣支持率上昇の大きな原動力になったとみられる。

3月のFNN世論調査より

一方で、森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局職員の手記が波紋を広げ、東京高検検事長の定年延長も大きな問題になっているが、新型コロナウイルスという国民生活を直撃する問題の中においては、内閣支持率への影響は一定にとどまっているとみられる。

では今回、安倍首相支持へとじわりと傾いたこの世論は、国家の非常時に結束しようという日本人のメンタリティーに基づく一過性のものなのか、それとも危機管理の面を考慮すると安倍首相が総理でいるのが安心だという恒久的なものなのか、そこは判然としない。

東京五輪延期への流れと安倍首相の総裁任期延長論が絡み合う中で、安倍首相への期待と批判が今後どのように推移していくのかは、ここ2年の政局を大きく左右しそうだ。

(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)