スマホで簡単に写真が撮れる時代に、アナログな質感と現像するまでわからないもどかしさが、若者を中心に再注目されているレンズ付きフィルムの「写ルンです」。そんな「写ルンです」で撮影した画像がTwitterに投稿され、話題となっている。
それがこちらだ。
「1日1枚シャッターを切って」と母に渡した写ルンですを現像してきた。 pic.twitter.com/SnEcipvwk8— イタリーさとう (@italysato) March 17, 2020
「1日1枚シャッターを切って」と母に渡した写ルンですを現像してきた。
Twitterに画像を投稿したのは、宮城県の日常を写真で多数紹介している「イタリーさとう」(@italysato)さん。
そしてその写真を撮影したのは「イタリーさとう」さんのお母さん(54)だ。 「イタリーさとう」さんが「1日1枚シャッターを切って」と、お母さんに「写ルンです」を渡してみたのがきっかけだったという。
今の写真はスマホなどで撮影した“デジタル”が主流。そのような中で、フィルムで撮影された写真は、それだけでどこか幻想的で惹きつけられる。踏切や送電鉄塔などが写っているが、なんだか味のある写真に見えてくる。
Twitterでは、この投稿について「写真に興味のない人の写真ていいよね~見の前のものがただ写ってるって感じが新鮮で」「何気ない風景の中に人の営みを感じる。「綺麗」よりも「大切」な風景だと感じました」などの声があり、このツイートは約6万6千件のいいねがつくなど大きな反響となっている。(3月24日現在)
しかし、なぜそもそも「イタリーさとう」さんはお母さんに「写ルンです」を渡そうと思ったのだろうか? そして、お母さんはどんな心境で写真を撮影していたのだろうか?
「イタリーさとう」さんに話を聞いた。
「1日1枚シャッターを切って」と母に渡した理由
ーーなぜお母さんに「写ルンです」を渡した?
スーパーの投げ売りコーナーに期限切れが迫った「写ルンです」が3つあり、安かったので購入しました。自分には1つあればいいかなと思い、せっかくなので母と祖父に渡しました。
ーーなぜ「1日1枚シャッターを切る」ように言った?
ただ渡しても習慣的に写真を撮らないと思いました。ルールがあった方が遊びは面白いので、そういうルールを付け加えました。自分としても、旅行など特別な日の写真よりも、日常的な写真を見てみたかったです。
ーー「写真を撮って」という言い方をしなかったのには、理由があるとか?
もし自分が「写真を撮って」というふうに言われたらハードルが上がって撮りづらいだろうなと思ったからです。とにかくなんでもいいから1日1回「シャッターを切る」と言ったほうが力が抜けて面白い写真を撮れそうな気がしたのでそう伝えました。
ーー撮影を頼まれたときのお母さんの反応は?
「うん、わかった。1日1枚撮ればいいのね。」くらいの反応でした。
被写体は、すべて日常のワンシーン
ーーお母さんは普段から写真を撮るの?スマホで撮ったりもする?
母は普段写真を撮りませんが、映像は好きで、習い事の空手の試合などをビデオに撮って編集などをします。しかし、スマホでも日常的に写真を撮ることはほとんどしないです。
ーー写真はどのくらいの期間撮影しつづけた?今も続けている?
1月1日に渡して、撮り始めたのは1月2日からでしょうか。正確にはわかりません。 27枚入りのタイプを渡しました。1月2日から27枚を撮り終わるまでかなと思います。 今は写真撮ることを続けてはいないです。あくまで「写ルンです」があったから撮っただけです。
ーーお母さんの撮影した写真を見た感想は?
写真を観た感想としては、ただそこに目の前にあるものを素直に写しています。母なりにいいと思った瞬間が記録されているなと感じ、母が何に美しいと感じるのか、そういった美的感覚を知ること自体が息子として新鮮で驚きがありました。
ーーどんな被写体を選んでいることが多かった?
被写体は風景から家の中のものなど、特に決まっておらず、日常の中でその日のワンシーンを被写体として選んでいるような気がしました。
ーー自分を写した写真はある?
自分を写した写真は習い事の空手で、「他人に渡し自分を撮ってもらう」というパターンを撮影していました。
お母さんの一番お気に入りの写真は「雪が降る橋」
ーーお母さんが一番気に入っている写真を教えて
雪が降る橋の上で自転車を納めた写真です。
ーーお母さんはこれからも写真を撮り続ける?
習慣的に日常を写真に残す、写真を撮ることはしていないです。
ーー反響についてお母さんはどう思っている?
反響についてLINEでスタンプで返すくらいあまりピンときていないです。直接伝えたら多少喜びましたが「なんでー?」と、ここまでの反響があったことを実感できていない様子です。そんなに自分の写真がよかったのかについてはあまり気づいていないです。
被写体は、すべてが何気ない日常の風景。しかし、普段から撮影していなかったからこそテクニックなどの先入観がなく、味わい深い写真となったのかもしれない。
お母さんは現在、写真を撮っていないということだったが、次回作があれば、是非とも見せていただきたい。
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