踏切事故で男性がはねられる その時 男が・・・

その男は、電車にはねられて瀕死の状態の男性には目もくれず、そのバッグの中から財布を抜き取ったとされる。どうせ命を落とすのだから、金を盗んでも構わないと思ったのか・・・。あまりにも非人道的な事件は、東京・中野区で起きた。

電車にはねられた自転車の男性は病院で死亡が確認された(東京・中野区)
電車にはねられた自転車の男性は病院で死亡が確認された(東京・中野区)
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8月29日夜遅く、西武新宿線野方駅近くで、自転車に乗った50代の男性が、遮断機の下りた踏切の中に入り込んだ。男性は、左から走ってきた急行電車にはねられ、病院に運ばれたが、すでに手遅れだった。

その現場に、たまたま居合わせたのが、無職の吉田俊博容疑者(61)。倒れている男性を救護することなく、あろうことか近くに落ちていたバッグを物色し、中に入っていた財布を盗んだとされる。付近の防犯カメラに犯行の様子が映っていたことから、吉田容疑者の犯行が特定され、御用となった。

逮捕された無職・吉田俊博容疑者・61歳(6日 野方署)
逮捕された無職・吉田俊博容疑者・61歳(6日 野方署)

抜き取った財布を再びバッグに戻す 発覚を免れるためか

防犯カメラには、吉田容疑者がバッグに入っていた財布を抜き取り、2~3分ほど中身を確認してから、再びバッグに財布を戻す様子が映っていた。警視庁野方警察署は、一連の行為の中で、吉田容疑者が”男性の財布を一度自身の占有に置いた”と判断。窃盗容疑での立件に踏み切った。

捜査員が財布の中身を確認すると、身分証やキャッシュカードは残っていたものの、現金はほとんど入っていなかったという。野方署は、吉田容疑者が財布から現金を抜き取った後、発覚を免れるために、財布をバッグに戻したとみて調べている。

付近の防犯カメラには、犯行の一部始終が捉えられていた(東京・中野区)
付近の防犯カメラには、犯行の一部始終が捉えられていた(東京・中野区)

容疑者は”目撃者”を装い 警察官にも協力

更に驚きなのは、事故の一報を聞きつけて現場にやってきた警察官に対し、吉田容疑者は目撃者として事故の状況を説明していたというのだ。人知れず犯行に及んだ後、あたかも警察の捜査に協力するような相反した行動は、にわかに理解しがたい。

調べに対し、「バッグの中に財布が入っているのが見えたのでやった」と容疑を認めている吉田容疑者。財布から現金を抜き取ったことについても認める供述をしているという。

吉田容疑者は「財布が見えたのでやった」と供述。現金を抜き取ったことも認めている。
吉田容疑者は「財布が見えたのでやった」と供述。現金を抜き取ったことも認めている。

防犯カメラの映像などから、吉田容疑者は躊躇することなく、カバン中の財布に手を付けたとみられている。芥川龍之介の「羅生門」を想起させるようなこの事件。野方署は動機について調べを進めるとともに、財布から現金を抜き取った”窃盗”についても立件する方針だ。

(フジテレビ社会部・警視庁担当 石竹爽馬)