2020年は詐欺摘発からスタート

マレーシア入国管理局は1月1日、首都クアラルンプール郊外プチョンでオンライン特殊詐欺グループの拠点を摘発し、中国人の男女87人を一斉検挙した。このグループはインターネットを通じて中国本土にいる中国人に接触し、外国為替取引や仮想通貨などに関わる投資詐欺を行っていたとみられている。「1月1日」という2020年始まりの日に、あえて摘発を行ったのは、マレーシア当局が今後、外国人の詐欺拠点撲滅を目指すという強い決意の表れともいえる。

マレーシア入管当局Facebookより

続く「いたちごっこ」

中国人詐欺グループの摘発は近年、マレーシアで急増していて、こうした摘発を逃れようと詐欺グループの手口も巧妙化している。

このグループも摘発を逃れるため最近、アジトをオフィスビルから一般的な居住用マンションに拠点を移していたという。借り上げた部屋のうち9部屋を犯行に使う“オフィス” に、5部屋を居住用に振り分け使用していた。また固定のインターネット回線から足がつかないようにするためか、データSIMカードを大量に購入するなど、様々な方法で捜査当局に発見されにくいよう工作をしていたとみられる。捜査機関が摘発を強化する中、詐欺グループの偽装工作との「いたちごっこ」が続いている。

摘発された中国人グループのアジトからはデスクトップ6台、ラップトップ33台、スマートフォン203台が押収された。これらのデバイスには、詐欺に使われていたと見られる外国為替取引や仮想通貨などの様々な投資詐欺スキームが映し出されていた。また、部屋からはオンラインアプリでの被害者への接触方法などが記されたマニュアルも見つかったため、当局は、このアジトが投資詐欺のトレーニング施設としても使われていたとみている。

アジトは「オフィス」と「居住エリア」に分かれていた

各国は摘発を強化中

マレーシアのムヒディン・ヤシン内相は2019年12月30日、マレーシアの国営通信に対し、2020年を不法移民根絶に向けた最初の年にすると述べ、摘発強化の決意を表明した。不法移民が、国内での犯罪の温床になるとの懸念が高まっているためだ。

こうした海外を拠点にした特殊詐欺事件は日本人にとって決して他人事ではない。2019年には日本の特殊詐欺グループがタイ、フィリピンで相次いで摘発された。東南アジアには今もまだ複数の詐欺グループが活動しているとみられている。日本の警察当局は、今後も摘発強化に動く東南アジア諸国と連携を強化し、詐欺グループの摘発を進めていく必要がある。

【執筆:FNNバンコク支局長 佐々木亮】

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