ゴーン被告が潜り抜けた“3つの穴”を徹底検証

2019年12月29日、レバノンへ前代未聞の大脱出劇を演じた日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(65)。

日本を出国した翌日、ゴーン被告は声明を出した。

<アメリカの代理人を通じて発表された声明(一部)>
私はいまレバノンにいる。
有罪が前提で差別が蔓延し、基本的な人権を否定している不正な日本の司法制度の人質ではなくなる。
日本の司法制度は、国際法や条約のもとで守らなくてはいけない法的な義務を目に余るほど無視している。
私は正義からではなく、不正と政治的迫害から逃れたのだ。


写真は、12月31日に逃亡先のレバノンで撮影されたとみられるもの。
ゴーン被告の手元には赤ワインがあり、隣には、離れ離れになっているはずの妻・キャロルさんの姿が…

レバノンと日本の間では、犯罪人引き渡し条約は結ばれておらず、レバノンが身柄を引き渡す可能性は低いとみられている。ゴーン被告は、それを見越してレバノンへの逃亡を計画したのだろうか。

「直撃LIVEグッディ!」では、ゴーン被告が通り抜けた“3つの穴”について解説した。

<ゴーン被告が通り抜けた“3つの穴”>
(1)日産の監視態勢
(2)空港の出国検査
(3)保管されているパスポート


大村正樹フィールドキャスター:
ゴーン被告は2018年11月19日に逮捕され、その後保釈金10億円を納めて保釈。しかし2度目の逮捕があり、2019年4月25日に5億円を納め2度目の保釈となりました。様々な条件があったものの、ゴーン被告は自由の身となったわけですが…実は、日産側が民間の会社に依頼して、ゴーン被告の行動を24時間に近い形で監視していたそうです。

大村正樹フィールドキャスター:
そこでゴーン被告は「これは重大な人権問題である」と声をあげました。そしてゴーン被告の弁護人は先月25日に刑事告訴を検討していると発表。27日には刑事告訴しました。すると、日産側は29日に監視を解除しました。そして監視が解除された当日の昼に、ゴーン被告が一人で自宅を出る姿が監視カメラに映っていたそうです。その日の午後11時ごろプライベートジェットで国外へ逃亡しました。

安藤優子:
すごいタイミングですよね。なぜ日産側はゴーン被告の自宅に監視の人員を配置したんでしょうか?

井上久男氏(ゴーン被告を長年取材する経済ジャーナリスト):
逃げるということを、日産は想定していたと思います。ゴーン氏のやり口を日産側はよく知っていますし。海外に複数の家があるかつ複数のパスポートを持っているということと、保釈金15億円はゴーン氏にしてみれば、はした金。言葉は悪いんですけどはした金だと日産側は見ていたと思います。それと、日産の裁判関係者の人に会って口裏を合わせないかということを警戒して監視していたんだと思います。

若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長):
刑事告訴するというのはゴーン被告人はあらかじめ考えていて、弘中弁護士はそれに乗っかって刑事告訴したわけですが、それはまさしく騙されているわけです。

安藤優子:
なるほど。逃亡ありきで監視の解除をさせた可能性があるということですね。15億円の保釈保証金は安すぎたのでは?

若狭勝弁護士:
安すぎたと思いますけど、ただそれを100億円にしたとしても、逃げようと思ったと思いますよ。

大村正樹フィールドキャスター:
ゴーン被告が逃亡に使用したプライベートジェットは、ドバイを出発し大阪の空港に用意されたと見られているんですが…注目するのは、その時間です。トルコメディアによると、大阪に向かう飛行機がドバイを出発したのは、日本時間で29日の午前1時ごろ。この段階では、監視が解除されるかどうか、あまり知られていないはずなんですが。

安藤優子:
ゴーン被告のところに配置されていた日産側が配備した民間警備会社の人がいなくなるのが29日の午前0時だとすれば、そんな情報がどうやってゴーン被告のもとに入ったんでしょうか。

井上久男氏:
手際が良すぎますもんね。そうするとあくまでも推測ですが日産内部に協力者がいたのか?あるいは日産のOBなんかで協力者がいたのかという見方もできるんですけど、ただ私が取材する限り今の日産内部はゴーン氏にほとんどみんな批判的ですから、協力するとは思えないんですよね。

若狭勝弁護士:
お金にものを言わせて、日産の監視団をさらに監視する人を雇っていれば、日産の監視が解けたということは分かりますよね。

安藤優子:
でも、そんな簡単にすぐにプライベートジェットが手配できるんでしょうか?

若狭勝弁護士:
プライベートジェット自体をキープすることはできるにしても、関空などの空港で航路を確保する、飛び立ったりするのは年末のジェット機がたくさん行く中で、きちんと確保しておかなければいけない。確保するために申請が必要ですが、申請して許可を得るまで最低でも数週間かかるんじゃないかと言われているんです。今日飛び立ちたいといって、ハイOKとなるわけではないと。かなり前から計画的にやっていた可能性はあると思います。

伊藤洋一(エコノミスト):
でも、それは時間帯にもよるかもしれませんね。大阪の空港だったら、深夜はかなり空いていると思いますよ。

若狭勝弁護士:
いずれにしても捜査は、いつ逃亡の手配をしたのか?というところを重点的に掘り下げていると思います。

被告が潜んだ「機材ケース」 検査潜り抜けた方法は…

大村正樹フィールドキャスター:
さて、ゴーン被告は、音響機材を入れるようなある大きな箱に入ってレバノンへ逃亡したと見られています。

実際にゴーン被告が入っていたとされる音響機材ケースには、トルコ当局が指紋採取などをおこなった際のものとみられる白い跡が付いていた

倉田大誠アナウンサー:
ゴーン被告が入っていたとみられる箱とほぼ同じサイズとの箱をスタジオに用意しました。こちらに用意した箱は、横幅が1m20cm、奥行きがだいたい80cm、高さが62㎝の箱です。

安藤優子:
想像していたより、ずっと大きいですね。

大村正樹フィールドキャスター:
わたしの身長は170㎝ないくらいで、ゴーン被告とだいたい同じくらいだそうです。実際に入ってみたいと思います。

倉田大誠アナウンサー:
クッションなどを敷いてもまだ余裕ありそうですね。

大村正樹フィールドキャスター:
余裕ですね。この箱は気密性が高いかもしれませんが、下の方には空気取りの穴が開いていたという話もあります。

安藤優子:
実際に蓋をしめてみると、どうですか?閉塞感はありますか?

大村正樹フィールドキャスター:
閉塞感はあまりないですね。ゴーン被告からすると1年2カ月の拘束、まあ保釈はされていましたが、そこから逃げられると思ったら期待感も当然あると思いますし。

安藤優子:
それだけ空間があれば、水やいざという時の空気ボンベ、具合が悪くなった時のちょっとした薬とか、備品としてなんでも詰め込むことができますよね。クッションや毛布なども含めて、短時間であれば決して耐えられないものではなさそうですね。

大村正樹フィールドキャスター:
この箱に人が入っているとして、エックス線検査はどのように通過したのか?関西エアポートに問い合わせました。広報担当の方によると…

・関西エアポート広報担当者は「今回のような大きな荷物を通せるエックス線検査機はありません。その他、出国の荷物検査等は各運航会社に一任しています」と話す
・ゴーン被告が逃亡した際、ケースが大きすぎてエックス線検査装置に入らなかったため、手持ちの金属探知機を使用したという


大村正樹フィールドキャスター:
金属探知機では、人間が入っていてもおそらく反応はないため、通してしまったのかと思います。そして、出国する際にパスポートは必要ありません。しかし、レバノンに入国する時は必要です。ゴーン被告はどうしたのでしょうか?

・フランス、レバノン、ブラジルのパスポートは、弁護団で保管していた
・しかし、在留外国人はパスポート所持の義務があるため、2冊発行されていたフランスのパスポートの1冊を、ゴーン被告は所持していたという。
・ゴーン被告が所持しているパスポートは鍵付きのケースに入れられていたというが、レバノン大統領府担当者によると「フランスのパスポートとレバノン国民の証明書を持って正式に入国した」という
→ゴーン被告は鍵を外してパスポートを使用した可能性がある?


ゴーン被告は、今月8日に記者会見を開く予定となっている。


(「直撃LIVE グッディ!」1月6日放送分より)

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