自分で退職の手続きをしない退職代行

1月6日、多くの会社が仕事始めを迎えた中、多忙を極めていたのが…“退職代行”だ。

会社を辞める際の様々な手続きを自分で行わず、代理人に依頼する“退職代行”に今、依頼が殺到している。
以前は新入社員など、若者世代からの依頼が多かったというが、今は20代後半から40代前半の“働き盛り世代”の利用が増えているという。

なぜ、退職を代行業者に任せるのか?「直撃LIVEグッディ!」は、これまで2000件以上の退職代行手続きを請け負ってきた「川越みずほ法律会計」代表の清水隆久弁護士にも話を聞いた。
すると、依頼者の中には辞職の意向を伝えたところ、会社側から嫌がらせのような対応を受け、強い不信感を抱えている人も多く見られるという。

清水隆久弁護士:
例えば、辞めると言ったけども家に押しかけてきて説得を何度も繰り返すとか、携帯に何度も電話をしてくるとか。あとは退職後、雇用保険の離職票の手続きを取らなかったり、社会保険の喪失をしなかったり…そういうことが多々発生しております。人手不足ということで、なかなか辞めさせてくれないと。

退職代行への依頼が急増している背景には、労働力確保のため会社側が引き止めに躍起になり、嫌がらせのような行為が増えたことがあると清水弁護士は指摘する。グッディ!はスタジオで、退職代行の手続きの流れや、意外な落とし穴について徹底解説した!

倉田大誠アナウンサー:
退職代行に頼む主な理由ですが、退職させないための引き止めや嫌がらせ行為の他にも「上司と退職について話したくない」といった理由もあるそうです。本人がどんな悩みを抱えているのか、会社に全く伝えず代行を利用して辞める方も中にはいるということですね。

北村晴男弁護士:
上司と話したくないから代行を頼むというのは、今後の社会生活どうかなって疑問があります。どんな時でも、嫌なこともいいことも話さなくてはならない面がありますから。

安藤優子:
嫌なことは人に任せた方がいいっていう考え方になってしまう可能性はあるかもしれませんね。

倉田大誠アナウンサー:
いま一番ニュースになっているのが、休み明けの依頼が多くなっていること。なぜ多くなるのか?弁護士法人ITJ法律事務所の角地山宗行弁護士に伺いました。

<正月休み明けに退職代行が多くなるワケ>
・年末はリセット願望が強くなる!角地山弁護士によると「年が変わる前に会社を辞めちゃいたいと思う人がいる。また、年末のボーナスを待って退職代行を頼む人も多い」という。
・さらに、人手不足で退職を先送りにされていたケースも。1月6日に退職代行を依頼した男性は「11月くらいに一度辞めたいって相談したんですよ。なんかうまく引き延ばされちゃって、(仕事始めに)面倒くさくなっちゃって、まあいいやって」と話す。

安藤優子:
面倒くさくなっちゃったっていうのは…、どうなんでしょうか。

北村晴男弁護士:
この場合は11月に言って引き延ばされているので、これはやむを得ないんじゃないかなと僕は思いますけどね。引き延ばす権利は会社側にはあまりないので。

安藤優子:
でも、例えば「あなたという人材が本当にわが社には必要なんです」っていう風に言われたら…。

北村晴男弁護士:
いや、どういわれようが、会社というのは常に人を補充するために様々な策を講じなければならない。それが経営というものですから。誰でも辞めるという可能性があるので、そのことを念頭に置いて経営するのが本来の経営者ですからね。ただ引き延ばせばいいというのは発想が間違っていると思いますよ。

倉田大誠アナウンサー:
実際に退職代行を利用すると、どういう流れになるのか?一般的な手順を紹介します。

退職代行の流れ

<弁護士による退職代行の流れ 弁護士法人ITJ法律事務所 監修>
手順①:依頼者と弁護士が相談し、何日に辞めるのか、内容証明を送る日などを決める
手順②:内容証明・退職届を依頼者の会社へ送る
手順③:弁護士が会社に退職について連絡
手順④:退職金の請求や有給休暇の消化、私物の受け渡しなど本人に代わって交渉
手順⑤:およそ2週間後に退職完了
料金の相場は2万~5万円ほど

倉田大誠アナウンサー:
退職する時は半年くらい前に言っておかないといけないイメージを持っていたのですが、実際は2週間ほどで退職できるんですね。北村先生は、実際にこういう依頼を受けたこともありますか?

北村晴男弁護士:
ありますよ。一般論としては、なかなか辞めさせてくれない、有給休暇の消化とか離職票とかスムーズに会社が出してくれると思えない、だから依頼したいというケースはありますね。会社側は弁護士が出てきたら法的に正当なことしかできませんので、スムーズに辞めることができます。

サバンナ高橋:
料金なんですけど、2万~5万円ってめちゃくちゃ安くないですか?

北村晴男弁護士:
弁護士の費用は事務所ごとに決められます。これは私の推測ですが、かなり専門性の高い事務所、つまりこういう事件を数多くされている事務所でないとこの費用ではできないかもしれませんね。

サバンナ高橋:
作業としても面倒くさいことが多そうだから、「これくらいの値段でやってもらえるなら」っていう人も多いかもしれませんね。

倉田大誠アナウンサー:
いま紹介したのは“弁護士による退職代行”の流れですが、実はもう一つの“退職代行”があるんです。

<退職代行にはこんな違いがある>
①「弁護士」が行う代行業務
・料金は平均5万円
・依頼者の辞意の伝達や、退職金・有給休暇消化などの交渉をしてくれる
⇒弁護士なら会社との交渉ができる

②「弁護士資格」を持たない退職代行
・料金は1万~5万円
・業務内容は、依頼者の辞意の伝達のみ
⇒弁護士法に基づき、会社との交渉は一切できない!

サバンナ高橋:
同じくらいの値段なら、弁護士さんに頼んだ方がいい気がしますけど。

宮澤智アナウンサー:
弁護士資格を持たない退職代行を利用した場合、保険証のことや退職金のことは自分でやらないといけないんですか?

倉田大誠アナウンサー:
そうなんです。弁護士資格を持たない退職代行の場合、業務内容は一方通行の伝達のみ。これを利用した方の中には、こんなトラブルが起きてしまったケースもあります。

<弁護士資格のない退職代行の落とし穴!>センチュリー法律事務所・小澤亜季子弁護士によると…
・退職代行から「退職完了」の連絡が来るも、激怒した勤務先から依頼主へ大量の連絡が!
⇒退職代行側は「うちは弁護士じゃないので交渉できない」と話し、最後は弁護士に相談することになったという

倉田大誠アナウンサー:
「辞めます」と言うことだけ代行してもらって、あとは自分でやれますという方であれば、弁護士資格を持たない代行を利用することもいいとは思います。ただ、そのあとトラブルが起きた場合に対応できないというのは、注意が必要かもしれませんね。

サバンナ高橋:
たしかにこの頼み方は、一番もめそうですよね。代わりに「辞めます」とだけ伝えてもらって、そのあとに「退職金の話なんですけど…」って。「お前、まず辞めるってこと自分で言いに来いや!」ってなりそう。

安藤優子:
高橋さんの言う通り、それは筋が通ってないと思ってしまうかも。会社を転職するとか辞めるとか、人生の取捨選択の大事な一つだと思うんです。そこをどう自分自身の力でくぐり抜けていくのか、考えるべきじゃないかなって、私は思ってしまいます。

「最後の頼みの綱」として依頼する人も多い“退職代行”。しかし、かえってトラブルに発展してしまうケースもあることは、注意したい。

(「直撃LIVE グッディ!」1月7日放送分より)