「ネット通販」では、お得な商品を見るとついつい購入ボタンを押してしまいそうになる人もいると思うがちょっと待って欲しい。
国民生活センターによると、健康食品・化粧品・飲料の通信販売で「定期購入」だと知らずに契約するトラブルの相談が年々増加しているという。

出典:国民生活センター 注※ PIO-NEとは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース。消費生活センター等からの 経由相談は含まれていない。本資料の相談件数は、2019 年11 月30日までのPIO-NET登録分。

そして、2019年1月~11月は、前年同期間の2.3倍以上も相談件数が急増し、約3万件を受け付けたとしている。

300円注文したら4万円請求されたケースも

確かにネット上には「痩せる」「生える」「美しくなる」など、魅力的な謳い文句の健康食品がたくさんあるが、どんなトラブルに巻き込まれているのだろうか?

・ある30歳代の男性は、動画投稿サイトで「ダイエット効果のあるサプリメント、お試し 500 円」という広告を見て注文したが、実は「5回の商品購入が条件の契約」だとして約6,500 円の請求書が届いた。

・ある女子高校生は300円のサプリを買ったところ、頼んだ覚えがないのに2回目の商品が届き、4カ月分20袋の代金として4万円を請求されたという。

2件とも購入者に定期購入が条件と記載されていた記憶はないそうだが、他にも様々なトラブルが起きている。
・2回目に数カ月分の商品が一度に届いた
・カウントダウンに焦って注文したら実際には定期購入が条件だった
・定期購入契約を解約するには通常価格で商品を購入する必要があると言われた
・通常価格での商品購入が「解約保証」の条件となっていた
・いつでも解約可能の定期購入を解約しようとしたが、解約の申請期間外だと断られた
・事業者に電話がつながらず解約できない
・体調不良を理由に解約を申し出たが医師の診断書を求められた


国民生活センターが4つのアドバイス

こうしたトラブルが急増している状況を受け、国民生活センターでは、2019年12月にホームページ上で注意を呼び掛け、この問題点を分析している。

出典:国民生活センター

トラブルとなった通販サイトは、「初回実質0円(送料のみ)」などの売り文句は強調するが、定期購入だということや解約の仕方は小さい文字や読みにくい場所に書かれていることが多いという。
また相談事例の中にスマホで注文したケースが多いことから、パソコンより画面が小さいスマホだと表示内容を確認する際はより注意が必要だとしている。

出典:国民生活センター

さらにSNSや動画サイトの広告などを見て、契約内容を十分確認しないまま商品を購入してしまうケースや、解約したいと業者に電話しても、なかなかつながらないことも指摘している。

こんなトラブルに巻き込まれないよう、国民生活センターは4つのアドバイスを挙げている。
1.「定期購入が条件となっていないか」「支払うこととなる総額はいくらか」など契約内容をしっかり確認しましょう
2.「解約・返品できるかどうか」「解約・返品できる場合の条件」など解約条件をしっかり確認しましょう
3.事業者に連絡した記録を残しましょう
4.不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談しましょう


ただ、このアドバイスを守っても、間違いなく解約できるわけではないようだ。
怪しいと思ったらスパッと解約できる方法はないのか?そもそも悪徳業者を取り締まることはできないのか?
国民生活センターの担当者に聞いた。

「なかなか解約するのは難しいというのが現状」

――気づかず定期購入した場合、スパッと解約できないの?

まず、我々は全ての定期購入を問題視しているわけでありません。
消費者が定期購入だと認識しない一方、契約内容が定期購入になっていることがトラブルにつながっています。

定期購入という認識がなく注文した場合、業者に連絡を取ってもなかなか解約するのは難しいというのが現状です。
業者に連絡できても、すぐ解約とはならず「何回購入しなければならない」と言われたり、あるいは解約の条件は通販サイトに書いてあると取り合わなかったり、ケースバイケースです。

訪問販売や、街中で声をかけるキャッチセールスでは、一定期間なら無条件で契約を解除できる「クーリングオフ」という制度があるが、ネット通販では適用されない
ただし、返品についてまったく表示がない場合は、商品が届いてから8日間以内であれば返品することができる
それでも、返品の申請期間を独自に定めて、それを悪用している業者もいるというので注意が必要だ。



――「商品到着後1日」とか、ひどい条件でも従わないといけない?

事業者が返品に関する特約を設けている場合、きちんと表示しているのではあれば従うのが原則となります。
そういう背景があるため、我々は返品特約を十分に確認してくださいとアドバイスしているのです。

「契約内容」「解約条件」を確かめる目線が重要

――でも小さい字で、下の方にちょっとだけ書いてあるのはダメでは?

もちろん、書けば何でもOKというわけではありません。
そのような打消し表示があまりにも小さかったり、強調表示とあまりに離れていたり、そのような場合は問題とみなされる可能性があります。
事業者と話し合う際、表示に問題があると交渉の材料に使える可能性があります。

我々のアドバイスは、そういったものを探す目線を持ってほしいという趣旨です。
気を付けていただきたいポイントは2つ。
「契約内容」と「解約条件」
この2つを探す目線を持っていただきたい。
そうすることで、このようなトラブルの多くは防げると思います。

――「事業者に連絡した記録を残す」とアドバイスしているのはなぜ?

解約などについて「電話のみで受け付ける」という業者で、多くのトラブルが起きています。
連絡した記録を残すというのは、例えば電話をこれだけかけたとか、つながらなかったという情報は、いざというときの交渉材料になります。
事業者の中には、電話をかけた時期までさかのぼって、返品なりの対応をとったというケースもあります。

――業者が電話が出なかったら?

連絡方法が電話だけだったとしても、電話が繋がらない場合はメールや手紙などでも連絡し、合わせて電話の記録も残しておいた方がいいでしょう。
いざ相手とコンタクトが取れたときに、交渉材料はあればあるほどいいという意味から、アドバイスをしています。

また、交渉するときにページが書き換えられたりするので、自分が注文した時の記録も残しておいた方がいいでしょう。
販売サイトや、申し込みの最後の画面を、スクリーンショットなどで記録しておくと、なおいいと思います。

出典:国民生活センター

――警察で取り締まってくれないの?

ケースによっては警察で対応するかもしれませんが、我々としてはまず電話番号「188」の消費者ホットラインに連絡いただくようご案内しております。
「定期購入」トラブルだけに限らず消費生活相談を受け付けており、適切な対応ができなくとも、警察などを含めた、より適切な窓口をご案内することもあります。

※電話番号188とは?
消費者ホットライン「188(いやや!)」番。最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号。


話を聞くと、これだという解決法がないのが現状のようだ。
担当者は最後に改めて、一番重要なのは「契約内容」と「解約条件」を確かめる目線を持つことだと繰り返した。

便利なネット通販とスマホの小さい画面ゆえの落とし穴にハマらないために、まずは自分の身は自分で守ることを考えよう。
「注文」のボタンを押す前に、「契約内容」と「解約条件」の二つを思い出していただきたい。