電話のコールセンターにイライラした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
「~なら1番…」などと聞いているうちに何番か忘れてしまったり、スマホをいちいち耳から話して操作したり、様々な不満が募るものだった。

しかし、2020年スタート予定の「AI×電話サービス」は、そんな不満を一掃するかもしれない。

1月7日に公開されたデモンストレーション動画では、女性がスマホで電話をかけてレストランの予約をしている。
実はこの電話の相手は、動画の注釈にも書かれている通り「実際のAIとの会話」なのだという。

動画では、女性とAIが次のような会話を行う。

AI 「本日のご用件は新規ご予約でしょうか?」
女性「はい」
AI 「ありがとうございます。個室のご希望はありますでしょうか?」
女性「個室でお願いします」
AI 「かしこまりました。ご希望の日付と時間をいただけますでしょうか?」
女性「来週の水曜日、20時から3名でお願いできますか?」
AI 「かしこまりました」

AIとの会話は、まるで人と話している様に滞りなく進んでいく。
これなら画面を見たり数字を押したりする必要もなく、機械が苦手な人でも使いこなせそうだ。

出典:NTTデータ

動画の後半は、予約したのち今度はAIから電話がかかってくる
無断キャンセルを防ぐため予約に変更がないか確認しているのだが、こちらも不自然なところがない会話が展開する。

この「AI×電話サービス」はNTTドコモとNTTデータが共同で提供するもので、2020年初旬から実証実験を行い、4月以降に企業や自治体へ提供を始める予定だという。

NTTドコモが提供する対話型AIサービスや、NTTデータが提供しているパソコン操作を自動化するRPAツールなどを組み合わせ、今までオペレーターが電話応対しながらパソコン操作をする業務を一貫してAIが代行
自動化することで生産性を飛躍的に向上させることが可能だとしている。

出典:NTTデータ

例えばチェーン展開するレストランで、今まで各店舗が受けていた予約を一括でお任せするという使い方も考えられる。その他にも、宅配時などの在宅確認、一人暮らしのお年寄りの安否確認、社内ヘルプデスクなど、様々な用途が想定されている。

コールセンターだと様々な内容に対応しなければならないが、どの程度細かな対応ができるのか?そして、将来的にはコールセンターの仕事を奪うことにならないのか?
NTTデータの担当者に聞いてみた。

煩雑な作業から人間を解放したい

――サービスを開発した狙いは?

様々ありますが本質的には、働き方改革や、労働力人口の不足、生産性向上などが求められる昨今において、人間によるコミュニケーションが必要とされる電話業務の対応を自動化することで社会に貢献することです。

もともとNTTデータは、パソコン操作の自動化という人間の負荷を軽減する業務に取り組んでいました。
パソコンだけでなく、人間が対応する必要のある電話の自動化にも取り組みを広げることで、ルーチンワークや煩雑な作業から解放したいという思いがあります。

――他にも機械的に電話をかける「自動コールシステム」はあるが、これはどこが優れているの?

第一に応対速度の速さで、喋った内容についてAIが応答するところが優位だと考えています。
また他製品の中には、固定電話でないとAIに電話できなかったりするものもありますが、私たちのサービスにはそのような制約はありません。

――AIが活用されているのはどこ?

自然言語処理です。
人間がしゃべる内容を認識する部分に、いわゆるAIという技術を使っています。

――たくさん話すことでさらにAIは賢くなる?

今のところ、それはAIの学習の範囲として想定していません。

――嫌いな食材を抜いてもらうような、細かな対応はできる?

例えば「アレルギーはありますか?」と聞くなどのロジックを作っておけば、お客様の答えを聞いて対応することができます。

また「他に要望はありますか?」と問いかけて、お客様に自由に話していただき、その内容をお店側に伝えるということもできます。
ただ自由に話していただいた要望に対してAIがレスポンスするような臨機応変さはまだありません。

どのくらい業務の効率化ができる?

――どうしても人に対応してほしい時はどうすればいい?

お店側の希望があれば、例えばAIで判断できないようなお客様の発話があった場合、人間のオペレーターに切り替えるなどの方法を作りこむことができます。

――リリースに書いた以外の活用法は?

今回公表したリリースには、NTTデータの自動化ツールを導入しているお客様などが実際に使っている事例を記載しました。
その他に私たちが考えた予想としては「オフィスの受電」が一番ニーズがあるのではないでしょうか。
例えば、業務時間外にどうしても早急に連絡しなければいけない電話がかかってきたとき、担当者に転送するなど、対応することができます。

また災害の時、一人暮らしのお年寄りなどに電話をかけて、避難指示に気づいてもらうという使い方もあるのではないかと考えています。

あと、コールセンターの待ち時間にAIが必要な情報をヒアリングして、人間のオペレーターと喋る時には、スムーズな会話ができるようにアシストするというユースケースもあるのではないかと考えています。

――このサービスで、どのくらい業務効率化ができるの?

例として、オフィスにかかってくる電話の取次ぎコストで考えます。
1本の電話に5分使うとして、1時間に3本電話があったとします。
1日10時間の月20日勤務だとすると、1か月に3000分間が電話に費やされることになります。
時給3000円の従業員が対応したなら、月15万円の損失です。
さらに、この時間の機会損失まで考えると、もっと大きなコストがかかっていることになります。

仕事を奪うとは考えていない

――でもコールセンターの仕事を奪うことになるのでは?

コールセンターは電話が繋がりにくいという声をよく聞きます。
つまり現状は、オペレーターの数が足りていないのだと思います。
ですので、今の仕事を取るというより、足りないところを補うことになると私たちは考えています。
例えば、繁忙期に合わせて人員を増減する場合でも、私たちのサービスは人と比べて柔軟に、かつ高くない単価でニーズに合わせることができます。

また、督促の電話をかける業務などでは、オペレーターに高い心理的な負荷がかかります。
それを人間ではないAIがやってくれるのはうれしいと、お客様から言われたこともあります。


電話がつながりにくいイメージのあるコールセンターの人手を補ったり、今まで個別にやっていた予約などの対応業務を集約したりと様々な可能性がありそうだ。
今年上旬から行われる検証実験では、このサービスの有用性を検証するという。

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