1月8日、身振り手振りを交えながら、さながら司会者のように会場を仕切り、2時間25分にわたって熱弁をふるったカルロス・ゴーン被告(65)。

会見では拍手が沸き起こる場面もあり、会場はまさに“ゴーン劇場”と化していた。
しかし会場の周りには…、会場には入れなかった世界各国のメディアがあふれ、中でも日本のメディアは3社を除き、ほとんどが会場から締め出されてしまった。

そんな中、すでに「直撃LIVEグッディ!」の安藤優子キャスターは、ゴーン被告を直撃取材すべく日本を飛び立ち、レバノンへと向かっていた…。

安藤優子が見た!“ゴーン劇場”の舞台裏とは?

安藤優子キャスター:
今、このあたりに各国の記者が集まっているんですが、全然会場に入れず、たくさんの人たちがこの会場前で右往左往しています。ここまでに入っている情報ですと、優先的に入っているのがフランスのメディア。さらにはアメリカ、レバノンの地元メディアも入れています。日本のメディアはほぼ排除されている状況です。その理由が何かは分からないですが、日本は当事国です。そのメディアが排除されるというのはどういうことなんでしょうか!

会見場の前には、多くの日本人記者の姿があった。
その後、会見場に入ることが認められたメディアの呼び出しがされたが…。

安藤優子キャスター「安藤ありますか?ANDO」
警備員「どこからですか?」
安藤優子キャスター「フジテレビジョンです」
警備員「フジテレビジョン?」

安藤優子キャスター:
今、入れるメディアは全員呼ばれたんですが、ご覧のようにですね、ほとんど人数が減っていないんです。ということは、集まったメディアの相当数が入れないままということになりました。リストもチェックしたんですが、やはり(フジテレビの)名前はありませんでした。

会見に参加できた報道機関は、12カ国およそ60社。日本のメディアは、朝日新聞、小学館、テレビ東京の3社だけだ。会見で行われた質疑応答でも、日本のメディアを指名したのは会見終盤に入ってからだった。

参加できた日本メディアはわずか3社...逃亡方法については語らず

テレビ東京記者:
あなたは日本で尊敬されたCEOでした。なのに、日本の法律に違反してここにいます。それは間違っていませんか?日本国民に対して説明してください。

ゴーン被告:
まずあなたの質問に答えると、私は今でも日本の中の一定数のビジネスマンたちから尊敬されています。多くのマスコミの取材を受けてきて中には私に好意的でないものもありました。私は日本人も大好きだ。日本で過ごした17年間に後悔はありません。

じゃあ、日本からの2つ目の質問を受けて、それで日本は終わり。
最後にゴーン被告から指名された小学館の記者は、こんな質問をぶつけた。

小学館記者:
個人的に、ここに日本メディアがいないことにとても驚いています。あなたは日本の他のメディアを入れなかったが、なぜですか?

ゴーン被告:
私は日本メディアを差別しているわけではありません。外にはたくさんのメディアが来ていることも知っています。私は事実を分析し、事実を語れる人たちと話がしたい。でも、だからと言って私が逃げているわけではありません。

ゴーン被告は「日本のメディアから逃げているわけではない」ことを強調。除外しているのではないといいながら選別したことを匂わす発言…。

質疑応答では、日本からの逃亡方法についての質問が相次いだが、それについては一切明かすことはなかった。

会見に参加した記者からは…

安藤キャスターが取材した男性記者:
面白かったし、説明もしていたけど、すべてのことは明かしていないね。

ドバイ経済紙記者:
(日本のメディアが排除されたのは)フェアではない。同じジャーナリストとしてそう思う。

スイス新聞記者:
(脱出の方法を語らなかったことに)失望した。それを聞くためにここに来たのに。

逆に、安藤キャスターが取材を受ける場面もあった。

フランスメディア:
日本のメディアが3社しかいなかったわ。どうなのかしら。なぜあなたたちは除外されたと思う?

安藤優子キャスター:
ゴーン被告が考えているのは、私たちは検察のスピーカーだということ。

フランスメディア:
それは事実じゃない?

安藤優子キャスター:
いいえ、事実じゃない。彼は誤解していると思う。私たちが視聴者をだまそうとしていると思う? ゴーン被告は誤解している。私たちは検察のスピーカーではない。

世界のメディアはゴーン被告をどう見た?

自らの正当性を主張し、日本の司法制度や日産について批判を繰り返したゴーン被告。世界のメディアはどう見たのか?

安藤キャスターがレバノンから中継で伝えた。

安藤優子キャスター:
昨日のゴーン被告による記者会見ですが、VTRでもその時の様子をお伝えしましたように、世界の約60社のメディアが参加を許されました。しかしながら日本では私が確認したところでは3社のみを除いて全てのメディアが会見場から締め出される状況となりました。その状況から、レバノンに逃れてきてレバノンで会見をするということは、ゴーン被告にとって、都合のいい部分だけを主張する場になったという印象を私は強く持ちました。

安藤優子キャスター:
きのう(8日)の会見でどのようにメディアの選別をしたかという質問が飛びましたが、ゴーン被告自らが説明したところによりますと「中立的なメディアを選別した」また、「世界のメディアをくまなく参加させるためには日本のメディアの数を制限せざるを得なかった」と説明しました

安藤優子キャスター:
こうした形で当事国である日本の多くのメディアを締め出し、都合のいい主張だけを展開するという今回の会見について、会見に参加して出てきた記者からは「三文芝居だった」、「エンターテインメントだった」という大変厳しい評価がある一方で、「ゴーン被告は有能なビジネスマンだったことについて説得された、説得力はすごかった」という評価もありました。

倉田大誠アナウンサー:
会見場の中に入れた場合に、安藤さんがゴーン被告に一番聞きたかったことはどういったことでしたか?

安藤優子キャスター:
私が会見場に入ることができたなら、自分に正義があるというのであれば、なぜ日本の法廷でその主張を展開することなく非合法な手段でもって出国という道を選んだのか?その理由についてぜひ聞いてみたいと思っていました。箱に入って隠れて出国したという報道がありましたが、きのうの会見では、出国方法についてたくさんの質問が繰り返しされました。しかしゴーン被告は「出国方法を明らかにすると協力者に迷惑がかかる、協力者が明らかになってしまう」という理由から、まったくその詳細を明らかにすることはありませんでした。さらに言えば「今回の出国についてたしかに自分は法を犯したが、日本の検察はそれ以上に法を犯している」。ゴーン被告が「検察は検察の情報を違法にリークしている、それに比べれば1回の非合法な出国は大した問題ではない」と言う主張を展開したことについて、私は心底驚かされました。

田村勇人弁護士:
ゴーン被告の有罪・無罪に関して、レバノンの方はどのような印象を持っているんでしょうか?

安藤優子キャスター:
レバノンの方といっても十把一絡げにするのは大変危険でして、世論はとても割れています。きょう(9日)の地元紙をチェックしましたが、日本での取り調べの際にどのような不当な扱いを受けたか、ゴーン被告の会見に基づいて克明に記している記事もありました。これはゴーン被告に対して非常に同情的な記事です。一方で、ゴーン被告の主張について淡々と述べたことをそのまま報道している記事もありました。街で聞きましても、ゴーン被告に対して「説得はされたものの本当のところは分からないじゃないか」という意見も多数あります。今後レバノンの司法当局がゴーン被告に対してどのような事情聴取をし、どのような処し方をするかによって、レバノンの世論もガラっと変わってくるんじゃないかと思います。レバノンの人たちはゴーン被告に対して一定の尊敬を持っていることも事実なんですが、いまレバノンは大変な状況にあります。経済が破綻しかかり、貧困の問題も大変なものがあります。その中で司法制度自体にも賄賂がまかり通っているんじゃないかといった多くの批判が集まっています。その中でゴーン被告を特別扱いしようものなら、レバノンの世論は一層厳しくなることは間違いないと、私は思います。

(「直撃LIVE グッディ!」1月9日放送分より)

【関連記事】
「ゴーン劇場」にSNS反応 どう見た 2時間半の“独演会”
ゴーン被告が提示した証拠書類は無罪に繋がるものなのか?会見で自身の身の潔白を主張