4か月に及んだ緊急事態宣言が今日で終了します。

爆発的に感染が拡大した第5波の経験をどう生かし、次の波にどう備えればいいのか。県の政策参与も務める感染症が専門の高山医師に聞きました。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「緊急事態宣言がずっと出しっぱなしという状態になっていて、ブレーキを踏んでいるんだけどそのブレーキその物が壊れていた」
Q収束に向かった要因について
「1日800人超えをしてきた辺りから、行政が旗を振っているからというわけではなく、『これはまずい』と県民が気づいてかなり自粛に協力して頂けるようになった」

県内の新型コロナウイルスの累計患者数は29日までに4万9551人で、約7割を占める3万5000人が緊急事態宣言が適用された5月23日以降に感染しています。

県内では今年6月に感染力が強いデルタ株が初めて確認され、7月に入ってからは置き換わりが進み感染者が急増。

先月には1日当たりの新規感染者が809人、療養者数は6910人にものぼりました。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「すべての入院が必要な患者さんたちが入院できたかというと実はそうでなくて、入院が必要なのにできなかったというのは、ある意味医療崩壊が起きたと言わざるを得ない。県民にとっての負荷であり起きてはならない事が起きた」

〈医療体制の危機〉

急増する患者に県内の医療体制はひっ迫。

県は入院先を調整している患者を一時的に受け入れる入院待機ステーションを2か所設置しました。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「本来であればCT検査とか様々な血液検査や迅速に行う事が出来る医療機関に来ていただいて適切な医療に繋げることが必要で、入院待機ステーションをもっと拡充すれば医療ひっ迫は回避されるのではないかと考えられる方がいるとすればそれは違う。入院待機ステーションみないなものが出来なきゃいけない状況がすでに医療崩壊なんです」

第5波ではデルタ株によって未成年の感染も増加。

子ども達のほとんどは大人が家庭に持ちこんだことによる感染でした。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「今回の流行の特徴として小学校、中学校の感染がかなり多かった。この世代はワクチンを打つことができないのがほとんどですし、そういう意味で子ども達をどう守るかということは大きな課題だった」

〈感染予防の”切り札”ワクチン〉

県内でも4月から始まったワクチン接種。

県のデータでは65歳以上の高齢者は85%以上が2回の接種を終えています。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「第5波で3万人近くが感染されたわけですけど、65歳以上の高齢者の方はその内の7%に過ぎませんでした。実際、私たちが高齢者施設などで感染者が出たというと支援に入るんですけど、この施設の皆さんがワクチンを接種していると広がりにくくなっているなという実感があります」

一方、全世代の接種率を見ると1回目の接種でさえ70%を超えている市町村は中南部ではほとんどなく、全国の都道府県と比べても接種率の低さが指摘されています。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「『接種券がどこに行ったか分からない』という方が多い。受け方が分からなくなっている人たちに対するサポートがあっても良いのではないか。接種会場に行くとそこに免許証をもってきたりとか手続きをワンストップで接種券を発行してもらえる方法とか、ショッピングモールとかで接種できる。接種を受けたらそこでドリンク券がもらえると。そういった工夫をしていくことが今後接種率を上げていく上で大事なのではないか」

県内の感染状況は小康状態となり緊急事態宣言は今日をもって終了しますが、次の感染の波は人の動きが活発になる年末年始にも押し寄せると予想されています。

〈第6波への備え〉

▽県立中部病院・高山義浩医師
「沖縄でも地域流行は続いている。ただいわゆる活動自粛を求める段階ではなくなってきた。会食についても全てがダメというわけではない。大勢で集まって長時間で宴会すれば、そこで大きなクラスターが起きて伝播して広がっていくということが起こってしまいかねない。県民の皆さん自身が心掛けて頂く段階になっているということです」

新たな流行の兆しを即座に捉え行政が判断する事も必要です。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「判断の遅れは大きな流行しかもたらしません。一手先に宣言を出して、県民のみなさんに『一旦ちょっと活動を自粛してください』という呼びかけを、躊躇なく行政が出していくということは重要」

全国で最も長い4か月間に及んだ緊急事態宣言。

沖縄の医療を守り経済を回復させるために第5波の経験を踏まえた行動が県民一人一人に求められます。

▽県立中部病院・高山義浩医師
「以前のような生活を取り戻せるかというと、なかなか難しいというところは率直に申し上げなければならない。ワクチンを打ったから大丈夫、マスクを着けているからもういいだろうではなく、やった方が良いと言われる事を積み上げてやっていくこと。これを皆さんが心がけていくだけで流行は本当に起こりにくくなってくる」