親から子 そして孫へ... 選ばれた1人だけが技を受け継ぐ

宮城県と山形県の県境に位置する秋田・湯沢市。
夏は「サクランボ」、そして冬には、秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」に欠かせない「セリ」の栽培が盛んな食の宝庫。
「食」が豊富な湯沢市を象徴するものの1つが、強いコシとのどごしが特徴の「稲庭うどん」。

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現在 湯沢市には、稲庭うどんの店が約30店舗あるが、その中で最も歴史が深いのが「佐藤養助商店」。
1860年に、2代目が稲庭うどんの宗家から技法を受継ぐ形で創業した。

最大の特徴は、“一子相伝”。つまり、選ばれた1人だけが技を受け継ぐことができる。
親から子へ、そして子から孫へと伝えられ...、現在は8代目。

8代目 佐藤養助・佐藤正明社長:
稲庭うどんというのは、手作りである。手で自分の感性を感じながら、手で延ばす。こういったこだわりは、全国の中でも珍しい技なので、これをずっと守り続けてきてやっている。

伝統のうどん製法…完成までに3日間

こだわりのうどん作りには、3日間を要する。
1日目は、小麦粉や塩で作った生地を練り、一晩寝かせる。
2日目は、生地を2本の棒に巻いていく。これが、稲庭うどんの出来を左右する最も重要な工程「手綯い(てない)」。
機械を使わず、手作業で丁寧に...。これが、うどんの滑らかでつるんとした食感を生み出す。
伸ばした生地を1日かけて、しっかりと乾燥させれば完成!

秋田テレビ・佐藤春佳アナウンサーが、伝統の製法に挑戦した!

8代目 佐藤養助・佐藤正明社長:
引っ張ってください。左親指で押さえながら右手を押さえる...。そうそう、そんな感じのリズムですよ

佐藤春佳アナウンサー:
一度にやることが多すぎて、ついていけません。

熟練の職人は20秒ほどで仕上げるということだが...3分もかかってしまった。

そのあとは、延ばしたり乾燥したりを繰り返し、30cmほどの生地が約4倍に!
うどん作りは、予約すれば誰でも体験でき、完成したものは、1週間ほどで自宅に郵送してもらえる。

体験の後は、伝統の味を実食!
一番の人気メニュー、しょうゆとごまだれの「二味(ふたあじ)天せいろ(1,760円 税込み)」。
しょうゆは、舌触りが滑らかで、つるつる。でもコシがあるので、食べ応えは十分。
ごまだれは、細麺によくからみ、濃厚なので、また違ったおいしさが楽しめる。

「稲庭うどん」を全国へ そして世界へと発信

「より多くの人にこの味を届けたい」。
8代目が奔走した結果、現在、都内など全国に加え、台湾や韓国といった海外にも出店。
秋田の「稲庭うどん」を全国へ、そして世界へと発信している。

一方で、佐藤養助商店は“一子相伝”が原則。
8代目自らが作るうどんは特別であり、“本流”とも言える。

8代目 佐藤養助・佐藤正明社長:
令和(の時代)も新たな進化と継承、そして代々受け継いできた技を次世代につなぐ準備をどのように行うか。
(Q.後継ぎは?)
今、東京で修行中。一子相伝の技を受け継ぐ。受け継いだら、自分のブランドをどのように出していくか考えてほしい。

160年にわたり受け継がれてきた技と味は、歴史を守りながら、令和の時代も進化を続ける。

(秋田テレビ)

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