手作りの標本に意外なものが?

ちょっと大きな木の実やきれいな形の石、あるいは夏ならセミの抜け殻などなど、道で拾った色々なものをポケットに入れ、お持ち帰り…

子どもの頃にそんな“コレクション”をした人もたくさんいるはずだが、それを「標本」に仕上げてしまった、なんともかわいらしい投稿が今、Twitterを賑わせている。



「娘の宝ものに日時や場所を書くと良いですよ、とアドバイスいただきました。娘に伝えたら、標本ラベルが良いと言うので、色々探して植物標本用のラベルを発見、娘がお小遣いで購入。50枚で90円。早速図鑑を見て記入する娘。図鑑に載っていないものは、自分で科を創作してた」

mghnsos(@mghnsos)さんが投稿したのは、7歳の娘さんが拾ってきた“宝物”を入れた、小さなチャック付きのビニール袋。

この記事の画像(9枚)

袋にはひとつひとつ標本用のラベルが貼られており、たとえば、小さなどんぐりには「ブナ科・学名:Castanopsis sieboldii・和名:スダジイ・12月21日採集」など、調べて記入したと思われる正しい情報が添えられ、本格的な標本のように仕上がっている。

丁寧に書きこまれたラベルからとても大事に保管していることが伝わってくるが…そんな中、異色を放ち注目されたのがこちら。

産地は「校庭の雑木林」になっていて、いかにも自然物ですといった顔で紛れ込んでいるヘアクリップ

「ブナ科」のどんぐりに対し、ヘアクリップは「はがね科」とオリジナルの分類がされており、果たして「はがね科」には他に何があるのだろうか…とつい真面目に考え込んでもしまう。

このアイデアには「こんな標本見たことない、もっと見てみたい」という声の他、「我が家でも真似っこしたいです」など、親世代からの反応が続々。

まだ標本ラベルが入れられていない“宝物”を見てみると、木の枝や脱皮したカマキリの抜け殻などに混ざって、プラスチック製の何かがちらほら見えているが…
専門的な雰囲気と、不思議な中身のギャップがかわいいこの標本について、お母さんのmghnsosさんにお話を聞いてみた。

ぶんぼうぐ科、かざり科…オリジナルの標本がいっぱい

――「ヘアクリップの標本」はどうやってできたもの?

ヘアクリップは筆箱に入れて持ち帰ってきました。校庭の雑木林に半分埋まっていたそうで、年季が入っていたので「落とし物じゃないと思う」ということで娘の宝物入りをしました。

標本にするときに「科のところになんて書いたらいいかな?」と聞かれたので、「科はないから書かなくていいんじゃない」と答えたのですが、気付いたら「はがね科」と記入していました。岩石・鉱物の図鑑を読んでいるので、鋼に分類したようですが、ちゃんと鋼の意味を分かっているんだなぁとびっくりしたのと、そんな風に科を創作する柔軟さに子どもらしさがあり笑ってしまいました。


――娘さんのお気に入り標本はどれ?

娘はカマキリの抜け殻が一番のお気に入りです。
私のお気に入りはやはりヘアクリップです。でも「ボール目・ビービー科・和名:ビービー弾」も好きです。


――他にはどんな標本がある?

釣りのおもり(はがね科)、ゴム製の何かの部品?(かざり科)、画びょうの上部分(はがね科亜科)、ボールペンのペン先が出てくる三角錐の部分だと思う部品(ぶんぼうぐ科)などです。

「はがね科」には錆びたヘアクリップも…

拾ってきた“宝物”を小分けにして保管するのは、お母さんがネジなどの細かい部品を袋に入れて保管しているのを見た娘さんが自分から始めたことだそうで、ここに標本用のラベルを貼るアイデアはTwitterで寄せられたもの。
現在までに30個ほどの“宝物”が標本の形になって保管されているという。

“もぐらの道”にはBB弾がよく落ちている様子

たとえば、ヘアクリップが分類されていた「はがね科」の仲間には、錆びてしまったヘアクリップ・釣りのおもり・画びょうのつまみの部分などがあるようだ。
しかし、よくよく見てみると、「はがね」である針の部分が取れてしまった画びょうのつまみには「亜科」とも書かれているなど、とても芸が細かい…

思わず「懐かしい!」と言ってしまいそうになる、エアガン用の「BB弾」はお母さんのお気に入りのひとつ。どうやら「もぐらの道」と呼ばれる場所に多く落ちているらしいBB弾の分類は「ボール目・ビービー科」という響きがなんともかわいらしい。

他にも

「かざり科・和名:なんかのかざり?・産地:もぐらの道」

など正体不明のものや、

「ぶんぼうぐ科・和名:ボールペンの半分・産地:駅前」

など、落としてしまったシチュエーションに想像力が刺激される物が盛りだくさんになっている。

「なんかのかざり?」の正体が気になる

「忘れられたもの」を標本に…

しかし実はこの標本、目に付いた珍しいものを全て拾い集めている、というものではなく、そこには娘さんなりの「基準」があるそうで…


――宝物拾いはいつごろから続けている?

1歳ごろから宝物拾いを続けています。保育園では下駄箱に毎日お散歩で拾ったものが詰め込まれていました。小さなころは葉っぱ、木の実、小石などでしたが、大きくなるにつれ、人工物が増えていきました。最近は、落とし物だけど忘れられてしまった物、が気になるようです。


――拾ってくる宝物にルールはある?

娘の基準があるようです。木の実や葉っぱなどは、つやつや、模様がきれい、今まで見たことないくらい大きい・小さい…など。枝は、まっすぐなもの、何かの形に見えるもの。小石はすべすべなもの、ハート形、卵の形、三角形のもの。人工物は、忘れられたもの。などです。


ヘアクリップなどの人工物が“宝物”として拾われるのには、落とし主がその物をもう探していない、つまり「忘れられてしまったかどうか」という基準があるそう。
娘さんが「これはきっとまだ『落とし物』だろう」と判断したものは拾わずにその場に置いてくるそうで、“宝物拾い”に7歳の娘さんなりの哲学があるというのも、とても興味深い。

こんな大きなサイズの拾い物も

――大きな拾い物はどうやって標本にする?

チャック袋はB8サイズなので、入らないものは机の上に置いてあったり壁に貼ったり吊るしたりしています。拾いすぎた松ぼっくりは、工作教室で使ってもらっています。


――たくさんたまった標本は今後どうする予定?

今後は科ごとに分けて保管するか、1年ごとに箱をつくって保管するか迷っているところです。今のところ、家にある大きな黒板にマグネットでとめています。誕生日パーティーで、家族や友達に見せるそうです。


――大きな反響がありましたが…


反響の大きさに家族でびっくりしています。
我が家とおなじように子供が拾うのが好きだという方や、大人だけど拾ってるよという方から「こうやって保管すると良いんですね」というようなコメントをいただき、収納や子供との過ごし方のアイデアになったのなら嬉しいです。娘が、みんなの拾った宝物を見てみたいと言っているのですが、私もどんな宝物があるのか見てみたいです。



昆虫や深海生物に興味があり、最近は丸めたセロハンテープで水晶や雲母を作ったり、河原で拾った石を観察するなど「岩石や鉱物が気になっている」という娘さん。

実はこの親子を取材するのは2回目。
2018年のクリスマスにリクエストされた「マンマルコガネ」という昆虫のフィギュアをめぐり、お母さんが奔走する、というほっこりエピソードは編集部でも取り上げた。
(関連記事:「皆目見当がつかん…」6歳娘が希望する謎のプレゼント探しにネット上の“サンタたち”が起こした奇跡

「将来は昆虫博士になりたいけど、なれなかったら石を掘る人になる」そうで、この標本制作も、将来の夢に繋がる大事な活動なのだろう。
かわいいアイデアが満載のオリジナル標本には、子供ならではの哲学と将来へのビジョンが詰め込まれていた。

「斜め上!子どもの発想力には敵わない」特集をすべて見る!