4スタンス理論で田中将大や大谷翔平と同じB2タイプ
ロッテの新人合同自主トレ7日目の日程が19日、ZOZOマリンで行われた。無料開放されレフトスタンドに押し寄せた多くのファンが熱視線を送る“令和の怪物”こと高校史上最速163キロ右腕・佐々木朗希(18)の驚異的な身体能力が少しずつ明らかになってきた。
この記事の画像(13枚)佐々木ら新人7選手は、練習前にゴルフのスイング分析で話題となった「4スタンス理論」の提唱者でスポーツ整体師の廣戸聡一氏(58)から講習を受けた。
4スタンス理論は、体の重心が足裏のどこにあるかの観点から、体の使い方のタイプをA1・A2・B1・B2の4つに分類している。佐々木は「B2」タイプと診断された。B2タイプはかかとの外側に重心があるタイプとされる。
廣戸氏によると、「ヤンキース田中将大(31)やエンゼルス大谷翔平(25)もB2タイプ」だという。廣戸氏は「B2は基本的に膝と肘が柔らかく動かせる。(重心移動の際に)しっかりとタメを作って投げられるタイプ」と話した。
佐々木は憧れの田中や大谷と同じB2であったことに、「実は小学校高学年の時に野球漫画『グランドスラム』を読んで知っていました…」と話した。『グランドスラム』は廣戸氏が監修に関わっており、小学生で既に4スタンス理論を予習していた。
肩甲骨の可動域の広さと体の柔軟性
講義後には約50メートルの距離で行ったキャッチボールを視察した廣戸氏は「肩甲骨周りの可動域がとても広いのが第一印象です。体幹や胴体の使い方がうまいので腕を振り下ろしていくスペースが作れる。無理のない腕の振り方で、このしなやかさをどれだけ維持できるかが育成の鍵」と163キロを投じる右腕を分析した。
視察に訪れた井口監督も「しっかりフォームを固めることを課題に、体作りも順調にできている。あと10日ほどで始まるキャンプ初日でアピールして欲しい」と目を細めた。
佐々木は「人それぞれにタイプが違うことが分かったので、タイプに合った動きを身に付けていきたい。大船渡よりも暖かい環境で練習できたので、ブルペンに入る前になるべく強度を高めてからブルペンに入りたい」と意欲を示した。
NBA級の跳躍力&スプリンター級脚力
また18日には今季からメディカルチェックのため提携する順天堂大さくらキャンパス(千葉・印西市)で行われた最新機器による新人体力測定の結果がチームから公表された。
垂直跳びでは他の新人6選手の平均63・2センチを大きく突き放し、新人トップの73センチをたたき出した佐々木。NBA選手の平均値である約70センチを超えるNBA超級の跳躍力を証明した。
測定を担当した順天堂大スポーツ健康科学部・窪田敦之准教授によると「ハムストリングスなど短縮性の筋力と大たい四頭筋などの伸張性の筋力の測定結果では、100メートルを10秒3程度で走るスプリンターと同等の数値が出た」という。
また、座って上半身を曲げ、柔軟性を測る座位体前屈は21センチ。投球の際に左足を顔の高さまで上げる、持ち前の体の柔軟性も実証された。
一方、肩の筋力は3人の新人投手の中で最も低い数値。多くの場合、肩の動作速度が速くなると筋力は落ちる傾向があるということだが、佐々木の場合は動作が速くなると筋力が増す通常と異なる結果になった。
新人を指導する楠貴彦コンディショニングディレクター兼育成統括(42)は「地面を蹴る力が強いほど、球の速さと比例すると言われています」と説明。「強く柔軟性のある下半身が高校最速163キロを生み出している」と分析する。
体力測定を終え、佐々木は「初めていろいろな筋肉などを計測したりして興味深かったです」とコメント。「弱い部分などをしっかりと把握し、良いところは伸ばして頑張りたい」と意気込んだ。令和の怪物は怪物自身を知ることで更なる進化を遂げる。