まもなくピークを迎える受験シーズン。イライラモヤモヤと焦るのは受験生本人だけでなく親もそうだろう。

少子化の中、受験者数が増えているのは中学受験だ。大手中学受験進学塾によると、2020年首都圏(1都3県)の私立中学受験者数は推計5万1千人あまりで、ここ5年増え続けている。受験率は推計17.3%、東京23区でみるとなんと3割近い26.1%にも上る。

2月1日の首都圏私立中学受験ピークまでいよいよ2週間を切った。受験が迫る中、親としてはもはや体調管理を兼ねた食事面メンタル面で応援するしかない。どういう料理を出して、どういう心構えでサポートすればいいか両方の専門家に話を聞いた。


オススメは「煮魚」

受験フードマイスターの資格をもち、「ウカル飯ゼミナール」を2018年から開催している中原麻衣子さんは、これまで1700組以上の親子の食と関わってきた。

料理研究家 中原麻衣子さん
料理研究家 中原麻衣子さん
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ーー本番まであと少し。どんな食事を出せばいい?

目的はウイルスに負けない抵抗力と体力をつけることです。
規則正しい生活を保ち、バランスのとれた食事をとる。毎食に、たんぱく質(肉・魚・大豆・卵など)・ビタミンA(緑黄野菜など)・ビタミンC(みかんなどの果物など)・乳酸菌(ヨーグルト・牛乳など)を取り入れてもらいたいです。体の粘膜を丈夫にし、細菌やウイルスが侵入しにくくするからです。

豚の生姜焼き(タンパク質のほか ビタミンB1も豊富)
豚の生姜焼き(タンパク質のほか ビタミンB1も豊富)
豆腐ハンバーグ(タンパク質に “脳活性化”のレシチンなど)
豆腐ハンバーグ(タンパク質に “脳活性化”のレシチンなど)

ーー毎食ですか?

毎食です。できれば毎食にこの4つの栄養素を入れたいです。そして一日通してみれば毎日魚と肉両方とってほしいです。例えば学校のお昼の給食が肉なら夜の弁当は魚にするとか。

脳の活性化には肉より魚がいいと言われています。DHA(魚油)には、“シナプス”と呼ばれる神経細胞のつなぎ目を発達させる動きがあり、集中力や学習能力を向上させる効果が期待できるので、肉より魚を多めに食べさせた方がいいです。さらにいうと焼き魚よりも煮魚がおすすめです。焼き魚は空気に触れて酸化しやすいのですが、煮魚は煮汁も飲んでOK!染み出たオメガ3系脂肪酸(脳の神経細胞の発達を促す)も取り入れましょう。

ぶりの煮付け(DHA豊富)
ぶりの煮付け(DHA豊富)
さばの味噌煮(DHA豊富)
さばの味噌煮(DHA豊富)

毎日味噌汁を飲ませよう

ーーずばり、受験生にはこの食べ物!という物を一つあげるとしたら?

それは、味噌汁!
毎日味噌汁を飲ませてください!大豆なのでタンパク質がとれるし、中に色々な冬野菜をいれれば体を中から温めてくれます。

豆腐の味噌汁
豆腐の味噌汁

ーー受験当日の食事は何がいいですか?

暖かいスープと、手で食べられるものです。暖かいスープは心も落ち着かせてくれます。移動があることを考え、おにぎりやサンドイッチなど手で食べられるものが便利です。
また、途中チョコレートなど軽食を食べる場合のタイミングとしては、2科目終えた中休みではなく、3科目と4科目の間が良いです。すると最後まで眠くならずに比較的集中できますよ。

おむすび(左から):海の塩、薄焼き卵巻き、鮭、かぶの葉、豚巻き
おむすび(左から):海の塩、薄焼き卵巻き、鮭、かぶの葉、豚巻き

ーーウカル飯ってあるんですか?(笑)

ウカル飯とは、頑張っている我が子を合格に導くご飯、母の愛が詰まったご飯のことです。食事が持つ効果は「癒やし」。受験当日を元気に迎え、最高のパフォーマンスを発揮できる健康状態にしてあげられるのは親しかいません。そして、頑張っている子どもたちとのさりげないスキンシップで心も落ち着けてあげてください。


とにかく「親がご機嫌でいること」!

食事だけではなく、メンタルも安定しないと本番に力を発揮できない。特に小学生は親の影響がとても大きいので、親のメンタル状態も非常に重要だという。
中学受験メンタルトレーニングコーチとして活動している神西美佐さんは、長女の中学受験で“親子バトル・合格判定率30%”の状態から見事第一志望に合格したことでメンタルの重要性を痛感、それからコーチとしてセミナーや勉強会を通じて約500人の受験ママをサポートしてきた。個人サポートした親子は3年間で全員合格を勝ち取っているという。

メンタルトレーニングコーチ 神西美佐さん
メンタルトレーニングコーチ 神西美佐さん

神西さんがいうには、とにかく「親がご機嫌でいる」こと!

受験が近づくと子どもよりも親の方がイライラしたり緊張したりすることが多い。
しかし人間にはされたらそう返すという習性があり、疑われたら疑い返す、逆に信頼されたら信頼し返すので、とにかく親が明るく振るまい、子どもを「信じて見守る」ことが重要だという。子どもが合格してその学校に通い、楽しそうに学校生活を楽しむことを常にイメージすることで、子どもにも伝わり、本番発揮力がアップすることになる。

また、物事は「結果」より「感情」が残る。どんな結果になっても、親子“機嫌よく”受験を終えれば、その後も子どもは自己肯定感をもったままその後の人生を歩むことになる。

受験は多くの子どもにとって人生最初の大試練になる。また多くの親にとっても大きな試練となる。2人3脚で乗り越えれば、きっとその後の人生の大きな“糧”となるだろう。

「世界に負けない教育」特集をすべて見る!
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崔 雋
崔 雋

フジテレビ 報道局国際取材部所属 中国杭州市出身。一橋大学卒業後、フジテレビで新卒採用された最初の外国人留学生に。報道局経済部記者(民間企業・農水・財務・経産…)を経て、国際局やCSR推進室など報道局外の部署も経験。東日本大震災発生時、経産省と原子力安全保安院担当であれだけ福島の原稿を書いた自分が最初に現地に行ったのは被災地支援のCSR活動だった。