桜を見る会めぐり安倍首相と野党が全面対決 攻防のみどころは

「ヒアリングに出てこない人事課長について、私の部屋に来ることになっていたんですけれども…すっぽかされました」
「人事課に電話すると誰もいない。人事課長の携帯番号もわからんと。誰一人どこに行っているかわからない。ここまで来ましたからね。課長補佐電話に出てくださいといったら拒否。総理案件なんだからでしょうかね。立法府の要請に神隠しのようなことをやっている。すさまじいですよね」(立憲民主党 黒岩宇洋衆議院議員)

1月9日「桜を見る会」野党追及本部会合第21回

あきれ…いら立ち…官僚に向けられたこの言葉は、野党の「桜を見る会追及本部」での出席議員の発言だ。このように追及本部では毎週のように野党と政府の攻防が繰り広げられている。しかし、実際には政府側にのらりくらりとかわされている印象だ。

追及本部での議論が停滞しがちな中で、真相解明の場として注目されるが、やはり国会だ。特に注目されるのが、本会議での代表質問に続いて来週月曜から行われる予算委員会だ。ここで野党と安倍首相が丁々発止のやり取りを繰り広げることになるが、野党がどのように追及し安倍首相はどのように答えるのか。攻防の見どころをまとめた。

みどころ① ずさんな公文書管理 いったいなぜ?

野党側が最近特に追及を強めているのが、ずさんな文書管理の問題だ。この問題では2011年から17年にかけての名簿が、文書管理のルールに則って管理簿に記載されていなかったことが判明。政府側は民主党政権時代の前例が漫然と引き継がれたと説明している。これに対して野党は、当時の桜を見る会は東日本大震災の影響で中止されていると指摘、中止になった会の前例をそのまま引き継いだのはおかしいなどと反論している。

また去年11月に政府が国会に提出した文書では、一部の資料が「白塗り」すなわち消されていたことも判明。政府側は人事課長の判断でありきわめて不適切だったとしつつも、あくまで担当者ベースの問題だと主張、一方の野党側は意図的な隠ぺいだとして政府を追及している。こうした文書管理の問題に安倍首相がどう答弁するかが注目だ。

みどころ② 60番の謎、“総理枠・昭恵夫人枠”

“60-2357”という数字。これはマルチ商法を展開して破綻した「ジャパンライフ」の元会長に2015年に送られたとされる桜を見る会の招待状にふられた数字だ。過去の資料を元に野党は60番が「総理枠」だと主張、桜を見る会の招待状でマルチ商法の被害が拡大したと追及している。しかし政府側は名簿や資料がすでに廃棄されているとして、明確には認めておらず、誰が呼ばれたかは「個人情報で答えられない」という立場だ。安倍首相が国会答弁でこの総理枠についてどのように説明するかも注目だ。

野党側はまた、後段の「2357」の数字は、1番から順番の通し番号になっているのではないかとして調査を要求したが、政府側は明確な説明をしていない。政府側は、去年の総理枠について1000人程度としているが、野党側はこの数字の大きさから、総理枠が数千人だった可能性があると指摘していて、この点も国会で追及するとみられる。

「ジャパンライフ」元会長に送られたとされる招待状

みどころ③ 名簿は本当に削除・廃棄されたのか

こうした多くの疑問の根幹といえるのが、「名簿は本当に残っていないのか」という問題だ。それは名簿や資料が出てこなければ多くの問題が結局は手詰まりになるためだ。政府側の説明によれば、去年5月に名簿などの資料はシュレッダーにかけられ、データも同じ時期に削除された。野党側は廃棄の経緯が不自然すぎるとして、本当に消したのかデータ削除のログなどを提出するよう要求しているが政府側は「これ以上の調査は必要ない」と応じていない。野党側はまた「政治枠」の名簿などを1年以内に廃棄すれば、翌年誰を呼んだかもわからなくなる、不自然だとも主張。本当は名簿が残っているのではないかと疑っている。

このほかにも、安倍首相夫妻が出席した地元後援者向けの「前夜祭」や、昭恵夫人と関連するとされるケータリング会社の選定の問題など、桜を見る会には多くの論点が残されている。

首相の答弁姿勢は?野党の追及どこまで?問われる「政治への信頼」

これまで政府側は「記録が残っていない」「個人情報で答えられない」「担当者の記憶が不明瞭」などという答弁を、判を押すように続けている。国会論戦の焦点は、久々に予算委員会でこの問題で答弁に立つ安倍首相が「対決姿勢」なのか「身かわし戦術」なのか、どのような姿勢で論戦に応じるかだろう。また、「桜を見る会」の見直し策の検討を進めることで批判をかわすことも考えられる。

一方で、安倍内閣の支持率を見ても、一時は桜を見る会や閣僚の相次ぐ辞任などで下落傾向となったものの、下げ止まったり反転したりと、現時点で危機的な状況になってはいない。

対する野党の政党支持率もこの問題で浮上したとは言えない水準だ。これは安倍政権が一連の問題に説明責任を果たしたというよりも、野党側が現政権に代わる受け皿として期待を受けられていない表れに思える。

国民民主党と立憲民主党の党首会談

さらに、この問題を追及すれども名簿や新たな事実などが出てこなければ、桜を見る会の問題の追及はいずれ限界を迎え下火になることが予想される。その中で追及が長期化すれば「桜よりも政策論争をすべき」という声も強まるとみられ、ある野党幹部も「問題には旬がある。いつまでも続けられるわけではない」と認めている。

去年の参議院選挙ではれいわ新選組やNHKから国民を守る党の議席獲得が大きな話題となったが、桜を見る会をめぐる政府与党の不十分な説明と、野党の進展のない追及が続けば、
既存の与野党ともに国民からの大きな不信を招き、次の衆議院総選挙に向けて既存勢力とは異なる勢力の台頭につながるかもしれない。

いずれにしろ、時の政権与党の「特権性」という要素をはらみ、「文書管理」という民主政治の根幹につながっているこの桜を見る会の問題の行方は、政府・与党・野党、すべての当事者にとって「政治への信頼とは何か」という問題を突き付けているように思える。

(フジテレビ政治部 柴木友和)