「白菜は内側から食べるのが正解」
冬の時期に鍋料理などで大活躍する、白菜。
4分の1や半分にカットした状態で売られているものを、外側の葉からはがして料理する人も多いと思うが、実はこの食べ方は正しくないのだという。
これを指摘したツイートが今、1万8000以上の「いいね」がつくなど、話題になっている(1月24日現在)。
ツイートをしたのは、「新しい料理の教科書」などの著書がある作家・料理家の樋口直哉さん。
「白菜は外側から使いがちですが、内側から食べるのが正解」としたうえで、その理由は「収穫後も外側の葉は養分を内側に送り続けるので、内側から食べるとおいしさが長持ちする」というのだ。
このツイートに対し、「これは知らなかった」「びっくり」などと驚きの声が多くがあがっているが、おいしさが長持ちする理由として挙げた「収穫後も外側の葉は養分を内側に送り続ける」というのはどういうことなのか?
ツイートの投稿者、樋口直哉さんに詳しく理由を聞いた。
内側にある成長点を切り離すことでおいしさが長持ち
――「白菜は内側から食べるとおいしさが長持ちする」。この理由をもう少し詳しく教えて?
前提として、これはカットされた状態で売っている白菜についてです。
白菜は生命力が強く、カットしても成長を続けます。
白菜の成長点は内側、芯の上にあります。ハーフカットの白菜を購入して、外に放置しておくと真ん中が盛り上がってくるのは、成長しているからです。成長させるために養分が集中している部分ですから、栄養価や糖度、旨味が最も高い部分です。
そのため、中心部の若い葉をまず食べると、成長点が切り離されるので、外側の葉の栄養分が奪われるのを防ぐことができます。
――この方法で白菜を食べた場合、白菜は買ってから何日ぐらい、おいしさが保たれる?
冷蔵庫で1週間ほどです。
――では、カットされていない丸ごとの白菜はどうやって食べればよい?
丸ごとの白菜を購入した場合は、物理的に内側から食べるのは不可能なので、外側からはがして食べます。ただ、収穫後も成長を続けるのは、カットした白菜と同様なので早めに食べきりましょう。
――食べきれなかった白菜はどうやって保存すればよい?
ラップに包んで、冷蔵庫で保存してください。これによって、乾燥を防ぐためだけではなく、切り口が空気に触れて痛むのを防ぐことができます。
白菜の最適な保存温度は0度〜5度なので、野菜室ではなく冷蔵庫に入れるのがおすすめです。
野菜ソムリエも「内側から食べると、おいしさが長持ち」
「白菜は内側から食べるとおいしさが長持ちする」は、一般にはあまり知られていない気がするが、やはり専門家にとっては常識なのか?日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエプロ、中沢るみさんにも話を聞いた。
――白菜は外側ではなく、内側から食べるとおいしさが長持ちする?
はい。カットした白菜の場合、内側から食べる方が、おいしさが長持ちします。
理由としては、白菜の内側(中心部)に成長点があるからです。白菜は収穫後も成長するため、内側の成長点に向かって白菜全体の栄養や旨味が送られます。
半分にカットした白菜をしばらく置いておくと、内側が成長するので盛り上がってくるのはそのためです。外側の葉にある栄養や旨味成分(グルタミン酸)が内側に送られるため、外側の葉の栄養や味が落ちていきます。
内側から使う(=成長点のある中心部を取る)ことで、外側の栄養が内側に送られなくなり、外側もおいしさや栄養を落とさず、最後まで外側の葉もおいしく食べきることができます。
――白菜を長持ちさせる「保存法」は?
「丸ごとの白菜」と「カットした白菜」では、保存の仕方が違います。
「丸ごとの白菜」は、1玉を丸ごと新聞紙に包み、冷暗所(または野菜室)で立てた状態で保存。芯の部分が下になるようにして、外側の葉から使います。
芯の部分に爪楊枝をさしたり、芯に包丁で切れ目を入れるなどして、成長点を止めることも有効です。
「カットした白菜」は、ラップで包み、冷蔵庫で保存。「内側の葉→外側の葉」の順に使うと長持ちします。
取材した2人ともほぼ同じ回答で専門家には常識の食べ方のようだ。
今が旬の白菜。ちょっとした工夫で美味しさを保つことができるようなので、次に白菜料理を作る際には試してみてほしい。