富山の海に、熱い思いをもって活動する魚津水族館の稲村館長の思いに迫ります。

現存する水族館では、日本で最も歴史が古い魚津水族館。
その館長、稲村修さんです。
館長になって10年、展示する生き物を見て回るのは楽しみを兼ねた日課です。
*魚津水族館 稲村修館長「クロウシノシタが(砂に)潜っているんですよ。これ出会わないと撮れないからね。これこそ、水の中に近い状態なんですよ。僕らが見せたい部分なので」
魚津水族館が展示する生き物は、北アルプスの渓流から水の流れを追うように日本海の深海に生息するものまで多彩です。
解説板には、生き物の特徴だけでなく、飼育員が実際に海や川に出て調べた情報を事細かに紹介していて、お客さんにもそのマニアックさが受けています。
*魚津水族館 稲村修館長「水族館で見せているものって実物だけど、環境とすればフェイクなわけですよ。こんな大量に(魚が)いるとこなんかないし。その中に少しずつでいいから、自然界の状況、沿岸の生物だったら僕らが潜ってみてきた生物の話を加えていく。今、その方向にどんどんシフトしていきたいなって考えているんですよね」

この日、稲村さんの姿は魚津市の海岸にありました。
海の状況や生き物を調べるフィールド調査と呼ばれる活動です。
*魚津水族館 稲村修館長「昔の多くの水族館は、海が近くにあるからお昼休みとか仕事終わったら海に入って泳いだり、網まいたりだったんだよね。30何年か40年前とは違う。生き物が違う。やっぱり海は変わってきているんだわ」
稲村さんが40年も前に自主的に始めたフィールド調査。
60歳を過ぎた今も欠かせない仕事として、若い飼育員と一緒に海に潜り続けています。
この日、海中は濁っていましたが、多くの小さな魚が見られました。
*魚津水族館 稲村修館長「きょうは濁ってたわ。ここがね、富山湾が急激に深くなるところなんですよ。泥地なんであんまり変わったものとかはいないんだけど」
採取した生き物を見せてもらうと…。
*魚津水族館 稲村修館長「海ケムシです。海の中にケムシがいる。40年ほど前とかにはあんまり見なかったけど、最近はたくさんいて、釣りに行っても釣れてきちゃうからね」
この他、ヨコスジフエダイとみられる幼魚やイシガニ(子ガニ)とみられる生き物が採れました。
*魚津水族館 草間啓飼育員「今潜ってみたものはわかるんですけども、(稲村館長に)こうだったって話をすると、昔はこうだったって2つのチェックができるので、すごくありがたい。生き字引のようにいろいろ教えてくれます」
*魚津水族館 稲村修館長「一回一回の記録はそんなに意味がないかもしれないけれど、この後、10年、20年、50年と経ったら、あの時こんなのいたんだって、今いなくなったとか、あの時いなかったのに今はたくさんいるよとか、海の中の変化がわかるんだと思うんですね。魚津水族館とすれば宝になっていくんじゃないかって思って」
8年前の水族館開館100周年には、フィールド調査の内容を盛り込んで富山の水辺の生き物に特化した図鑑を出版しました。
生き物の情報がイキイキと描かれています。

稲村さんがもう一つライフワークとしているのが、子どもを対象にした生き物観察会です。
県内には生き物に触れられる磯が少なく、その機会を作ろうと毎年企画しています。
水族館の飼育員が、採取した生き物の名前や生態についても解説し、子ども達はどのような環境の中で生き物が暮らしているかのを学びました。
*魚津水族館 稲村修館長「最近言っているのは、お魚のふるさと教育。本当に(生き物の)もともといるところの環境を水族館でどうやって伝えていけるかというのはいま大きな課題です。理想はみんなを連れて海の中に行きたいんですよ。とりあえずは水族館でやっている調査をもとに、魚のふるさと教育を進めて行きたいっていうのが今の希望ですね」
富山の水辺に住む生き物が、どのような環境で暮しているのかを伝える稲村さんの活動は続きます。