“鼻マスク”注意されるも無視・・・押し問答のすえ退席

コロナ禍の今、マスクをめぐるある議員の振る舞いが物議を醸している。

“鼻マスク”姿の若林議員
“鼻マスク”姿の若林議員
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渦中の人となっているのは、大分・臼杵市の若林純一議員だ。

9月21日に開かれた臼杵市議会の決算委員会。若林議員はマスク姿で現れた。
しかし、目を閉じて席に座る若林議員の口元をよく見ると、マスクから鼻が出た状態だ。

撮影していたカメラマンも「鼻マスクか・・・」と、思わずぼそり。

議会ではマスクを正しく着用することを申し合わせていることから、委員長から若林議員に対し注意が与えられた。

臼杵市議会の委員長:
適切なマスクの着用の徹底が議会運営委員会で決定しております。
本委員会でも適切なマスク着用ルールの遵守をお願いいたします。

しかし、委員長から注意を受けた後も、若林議員は鼻を出したままだ。
そのため、委員会は紛糾した。

委員長に注意受けるも“鼻マスク”のままの若林議員
委員長に注意受けるも“鼻マスク”のままの若林議員

委員長:
若林議員、マスクを正しく着用してください。
若林議員:
このままでお願いします。
委員長:
それでは、発言の許可はできません。

若林議員は挙手をして「委員長」と呼びかけ発言を求めたが、委員長からはマスクの着用を求める注意が続いた。

若林議員に注意を繰り返す議会委員長
若林議員に注意を繰り返す議会委員長

何度も「適切なマスクの着用」を促されたにも関わらず、それに従わなかった若林議員。
委員長は、注意を無視する若林議員の発言を一切認めなかった。

その後も・・・。

若林議員:
発言の許可をお願いします。
委員長:
許可しません。マスクを着用・・・。
若林議員:
発言の許可をお願いします。
委員長:
許可しません。

押し問答を繰り返したすえ、若林議員は自ら退席した。

発言許可得られないなら“法的手段”

その後、退席した理由について、若林議員は次のように説明した。

若林議員:
発言の許可を得られない審議でしたので出させてもらいました。

今後もマスクを正しく着用しなければ議会で発言できないことについては、次のように反発した。

若林議員:
この進め方はやはり議会としてまずいと思います。最終日の本会議において同じ対応をして同じことになるのであれば、法的手段を検討します

“鼻マスク”姿で取材に応じる若林議員
“鼻マスク”姿で取材に応じる若林議員

“ノーマスク”でワクチン停止求めるチラシ配布

若林議員をめぐるマスクのトラブルは、これが初めてではない。

若林議員は8月、市内の中学校周辺などでマスクを着けずに新型コロナワクチンの接種停止を求めるチラシを配布。市には、子どもからチラシを受け取った保護者などから苦情や抗議の電話が殺到した。

配布されたチラシ
配布されたチラシ

これを受けて市議会は、市民に不安を与える行動だとして若林議員を「厳重注意」とした。

若林議員:
子どもにワクチンを打つ意味。私は子供たちには必要ないと思っていて。理由は子供たちはほとんど重症化もしないし亡くなってもいない。

マスクを適切に着用している若林議員
マスクを適切に着用している若林議員

しかし、この発言の6日前、大阪では全国で初めて未成年者の死亡が確認されていた。不安に思う市民からの苦情をどう考えるのか。若林議員は次のように主張した。

若林議員:
私としては間違った情報を出しているつもりはありませんので、苦情を言われる方は自分の考えと違うということもあろうかと思いますけれども、私は恣意的に何かを曲げたりとかじゃなくて今の現状をきちんとお伝えしたいということだけをやってきたつもりです。

市民の反応は・・・

若林議員の一連の行動や言動について、臼杵市の市民はどのように受け止めているのか。

10代女性:
鼻まで(マスクをしないと)意味ないかなって思います。
50代男性:
あれはちょっといけんかな。
60代女性:
市民の恥というか、ちょっとやっぱり憤りは感じますよね。これだけ市民が頑張ってマスクをちゃんとしてるのに、なんで市民の代表がそういうことするのかちょっとわかんないですよね。

マスクを着けずに議員活動。マスクをつければ“鼻出し”姿。

さらに議会で発言が許可されなければ「法的手段も検討する」と発言した若林議員に対し、議会側は「適切に対応していきたい」とコメントしている。

“法的手段”は認められない可能性高い

加藤綾子キャスター:
特段の事情がないのであれば、議員として会議の場で発言する際は指示に従うべきだと思います。『法的手段も検討する』と言っていますが、“鼻マスク”が認められるということになるのでしょか。

住田裕子弁護士:
そもそも「鼻マスクはいけない」というルールがあるわけです。議場の秩序を守るためには「静止させる」「退席させる」「発言させない」など、議長に大きな権限があり、地方自治法の法律があります。それに違反したための懲罰や違反しているから発言させないとした場合、裁判で訴えたとしても、地方自治の自律権の問題であるという形で棄却される可能性が高いと思います。

(「イット!」9月22日放送分より)