神奈川から移住し、20年以上空き家になっていた父親の実家を自ら改修している夫妻がいる。南越前町の山際にたたずむ2階建ての納屋。まだ「家」とは言えない状態のこの納屋に住もうと、自ら改修工事に励んでいる。

吉田智彦さんと妻・かおりさん。東京で生まれ育った2人。智彦さんは、人の生き方や自然に関する本を執筆するフリーライターで、かおりさんは会社務めをしていた。しかし、2019年、智彦さんの仕事相手だった出版社が倒産し、さらにその後、新型コロナウイルスが全国で猛威をふるい始めた。

移住先を探していて思い浮かんだのが、空き家になっていた南越前町にある父親の実家だった。しかし、築63年、20年以上空き家になっていた母屋はとても住める状態ではなかった。基礎や梁の状態が良かった納屋を、自分たちで修理して住むことに決めた2人。資材を調達し足場を組み立て、外壁の工事からスタート。大工仕事をするのは初めてだった。

取材した日は、水道管を引き込むため、外のコンクリートを砕いていた。改修工事に追われる日々だが、この場所に既に魅了されているという。2人は、「川の流れや夜空など聞こえる音や見える景色がこの家の魅力。最終的には、自分で野菜や米をつくって狩猟をして完全な自給自足をして、その様子を本にしたい」と話している。

地域の人の協力もあり、現在、工事は8割ほど進み、年内には完成予定とのこと。完成後は自然の中での暮らしを発信していきたいと意気込んでいる。

自分たちの幸せを見つけつつある吉田夫妻。「家」ができてからが二人のスローライフの本番だ。