あなたは「架空請求詐欺」の手紙を受け取ったらどうするだろうか?
身に覚えのない請求は無視するのが一番…とよく言われているが、実は無視してはいけない場合もあるそうだ。
なんと本当の裁判所から身に覚えのない請求の訴えが届くという手口が横行しているというのだ。

出典:消費者庁

消費者庁によると架空請求詐欺の相談が急増したのは2004年ごろ。
この年、国民生活センターが発表した資料には、身に覚えがないにもかかわらず出会い系サイトやアダルトサイトなどの情報料を請求される相談、いわゆる「架空請求」の相談が急増している、と書かれている。

その後、相談件数は減少傾向に転ずるが、2011年を境に再び増加し手の込んだ方法も登場。
公的機関に似せた名前を騙ったり、政府の紋章を連想させる桐紋の便箋を使ったり、中には裁判所や法務省の手紙を偽わり、訴訟をちらつかせるものなど、次から次に新たな方法で詐欺行為が行われているようだ。

さらに近ごろは「本物の裁判所」から「本物の支払督促や少額訴訟」の呼出状などが届けられる手口が横行している。
東京都は2018年3月に公式サイトで、裁判所から支払督促状が届いたら無視してはいけないと注意を喚起するページを公開。
法務省や裁判所でも同様の手口を警告しており、さらに去年ごろからテレビ番組でも裁判所の手口を悪用した詐欺行為を取り上げている。

この手口のやっかいなところは、このような手紙などを無視すると、思わぬ被害が出る可能性があるということだ。
(参考記事:12月は詐欺件数が急増 身に覚えがなく無視するとだまし取られる?最新特殊詐欺の手口に要注意!

見分け方は?本物だったらどうする?

法務省では、裁判所からの通知が本当か見分ける3つのポイントを挙げている。
1、本物は「特別送達」という特別な郵便で送られる
2、本物の「支払督促」には振り込み先の預金口座は書かれていない
3、本当の裁判所か、電話帳・消費生活センターなどで確認する

その結果、本物だったらどうすればいいのか?
支払督促の場合は、受け取った日から2週間以内に、裁判所に対して「督促異議の申立て」を行う
少額訴訟手続の場合は、指定期日までに自分の言い分をまとめた「答弁書」を提出し、期日には裁判所に出頭する必要があるという。

これらの行動をおこさず放置してしまうと、詐欺側の訴えが通って支払いの義務が生じる可能性があるというのだ。

警察庁の架空請求詐欺認知件数をもとに作成

警察庁によると架空請求詐欺の件数は、1月が最も低く2月から一気に増えるという。
もしあなたの元に裁判所からの手紙が届いたら…本物か偽物かを見分けるもっと簡単な方法はないのか?そして詐欺を取り締まる方法はないのか?
法務省の担当者に聞いてみた。

封筒や書類で真贋を見極めるのは困難

―― 本当に裁判所からの通知か見分ける一番いい方法は?

封筒に書いてある電話番号は改ざんされている恐れがあります。
「○○裁判所」などと書いてあれば、NTTの電話帳や裁判所のホームページなど、他の公的な情報元で裁判所の電話番号を調べて問い合わせてください。
通常は書記官が出るので、何を受け取ったのか、なに部と書いてあるか、さらに事件番号などを伺います。
そこで本物かウソかが分かります。

送られてきた封筒や書類には、「特別送達」という判が押してあるなど外形的な特徴がありますが、真贋を見分けるのは非常に困難です。

―― 「支払督促」や「少額訴訟」は詐欺側も簡単にできる?

申し立ての仕方などは裁判所のホームページでも案内しています。
また書店では、書き込んで使える裁判文書付きの書籍も売られていますので、やろうと思えば誰でもできます。

少額訴訟と督促手続きは、いずれも裁判所で行う手続きです。裁判所の手続きは、普通の人ならだれもが利用できるようになっています。

――ウソの訴状や督促で訴えられたらどうすればいいのか?

法律の手続きにのっとって少額訴訟が提起された、または督促手続きが申し立てられた場合、身に覚えがなくても通常の被告と変わりません
もし訴えられたら通常の訴訟と同じように対応していただくことが必要です。

先ほど申した方法で裁判所に電話をかけ、書記官にどうしたらいいか尋ねれば、「反論があれば書面を出してください」などと言われますので、それに合わせて反論書や答弁書を用意してください。

――ウソの督促などをしたら、すぐ取り締まれないの?

なにが「ウソ」になるのでしょうか。
裁判になる前の、何が「ウソ」か決まっていない段階では何とも言えません。
相手側から反論があって争いになれば、裁判所が本当かどうか判断・審議します。
ですので反論していただく必要があるわけです。

――他にどんな対策があるの?

先ほど申し上げた、届いた手紙に書いてある裁判所の電話番号を、他の情報源から調べて電話をかけるという方法は、最も簡便な自衛策のひとつです。
自分だけではなく、専門家の応援を活用する方法としては、国民生活センター、法テラス、弁護士会、司法書士会への電話など様々な相談窓口が用意されています。
裁判所から本物の督促や訴状などが届いた場合、反論書などを出すことになるので、弁護士など専門のもとに駆け込むことも効果的です。

担当者は、大切なのは手紙に書かれた裁判所の電話番号は信用せず、自分で調べて連絡することだと何度も繰り返した。
本当に訴えられるのは何とも恐ろしいが、この方法は訴えを起こす手数料がかかるので、爆発的に増加することはないかもしれない。だが、「架空請求詐欺は無視すればいい」という対処法の裏をかいた詐欺もあるということは知っておいた方がいいだろう。