2020年9月、福島・猪苗代湖で8歳の男の子が大型ボートに巻き込まれ死亡した事故。
業務上過失致死傷の疑いで逮捕されたのは、東京都の会社役員の男(44)。

逮捕された東京都の会社役員の男
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男は操縦する大型ボートで湖面に浮いていた男女4人を巻き込み、当時8歳の豊田瑛大くんを死亡させるなどした疑いが持たれている。

事故で亡くなった豊田瑛大くん(写真提供:家族)

事故の発生当時、警察が男や同乗者に話を聞くも、一様に「気づかなかった」などと話していた。
しかし捜査関係者によると、男は事故の後、ボートの同乗者に口止めをしていたことがわかった。
男は「身に覚えがない」などと容疑を否認しているが、事故の前後には同乗者が航行の様子を撮影した動画もあり、警察では男が事故を認識した上で隠そうとしていたとみて調べを進めている。

湖の上では交通ルール適応できず

容疑者は、被害者と衝突後もそのまま航行を続けていたとみられている。
道路上では、被害者と衝突して走り去り死傷させた場合は「ひき逃げ」となり【過失運転致死傷容疑】と【道路交通法の救護義務違反】での逮捕となるが、今回は【業務上過失致死傷】の容疑での逮捕。

ーー何が違うのか?

取材を担当する福島テレビ・阿部加奈子記者:
道路には「道路交通法の救護義務違反」、海には「海上衝突予防法」などが定められているが、湖では交通ルールに関して適用できる法律がなく、4人を巻き込んだ「過失」だけが問われることになります

取材を担当する福島テレビ・阿部加奈子記者:
量刑も異なり、道路上のひき逃げでは最大15年の懲役が科されるのに対して、業務上過失致死傷罪は5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金と大きく差があります

「湖でのルールづくり」についての議論を

こうした現状に、法律の専門家も新たな議論が必要だと指摘する。

鈴木芳喜法律事務所・佐藤貴洋弁護士:
湖によっては大きさも大小様々、利用状況も様々で、法律という統一的ルールは作りづらい状況ですので、各自治体でそれぞれの湖の利用状況にあった条例を作って整備しているというのが現状

鈴木芳喜法律事務所・佐藤貴洋弁護士:
モーターボートとなると、自動車と同じくらい危険な乗り物であるのは間違いないので、交通事故と同じように事故が発生した場合の報告の義務であったり、救護の義務を課す方向で議論しないといけないんだろうと

福島テレビの取材では、猪苗代湖の関係者からも「一部でルールを守らない人もいる。罰則などは厳しくした方がよい」「利用上の問題点はたくさんあり、行政も含めてルール作りが必要」などの声が上がっている。

水難学会の斎藤秀俊会長は、「レジャー化が著しく、モーターボート・水上バイクの馬力が上がってスピードが高速化している中で、操縦者の能力が追いついていないと感じる。その中で、例えば最高速度の規制など今後議論が必要」と指摘する。

船舶免許取得者のモラルが、今 強く問われている。

(福島テレビ)