立憲民主党と国民民主党の合流協議が“破談”となってから1週間あまり。国民民主党があえて立憲民主党との違いを際立たせる場面があった。それはなぜなのか。

新型肺炎に関して“単独で”官邸に申し入れ

国民民主党の玉木代表は1月30日正午すぎ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、菅官房長官と国会内で面会した。そしてこの場で、新型コロナウイルスを「指定感染症」とする政令の施行日を2月7日から前倒しすることなど、対策強化に関する10項目を申し入れた。

新型肺炎に関して菅官房長官に申し入れに行く玉木代表(30日・院内)

玉木代表は前日の会見で、この申し入れへの熱い思いを語っていた。

感染の恐れのある外国人の入国の拒否、出入国管理法に基づく入国の拒否もできるような対策を早急に講じるべきだと思うので、指定感染症の政令施行の前倒し、これを含む要請を政府に速やかにおこないたい

玉木代表の会見(29日・院内)

突如“国民民主党単独”で、政府に申し入れる考えを示したのだ。しかし立憲民主党内には、この発表に違和感を覚える向きもあった。

新型コロナウイルス

実はこの会見の約5時間前、立憲民主党と国民民主党などは新型コロナウイルスに関する“合同”対策本部を立ち上げ、野党が連携して国会で質問したり、政府に対策を要望すると発表したばかりだったからだ。両党合同の会派として対応すると発表した直後になぜ、国民民主党の代表が単独で申し入れることになったのか?

なぜ国民民主党“単独”で?

玉木代表は申し入れ後、「昨日時点で立憲民主党にも声はかけたが、党内手続きの理由から、今回は単独になった」と、立憲側の党内手続きが間に合わなかったのが理由だと説明した。

申し入れ後の会見(30日・院内)

一方、枝野代表は、「緊急事態で時々刻々変わる状況で政府が対応しているので、あまりいろんなことを表で申し上げるべきではない(31日記者会見)」という姿勢だ。立憲民主党としては、事務レベルで各省庁から状況を聞き取り精査をしている段階であり、トップである代表が急いで申し入れする段階ではないとの考えのようだ。立憲側の一部には玉木代表について「焦っているんだ」「目立ちたいだけだ」と冷ややかな声もある。

立憲・国民はレコードのウラオモテ?

カセットテープもレコードも昔はA面・B面ありましたから

これは、立憲民主党と国民民主党の役割の違いについて玉木代表が語った言葉だ。カセットテープのA面・B面を例にあげて、立憲民主党との間で、「行政監視」と「政策提言」で役割分担をする方が効率的だと持論を展開した。

A面とB面のどちらかと聞かれた玉木代表は「私は常にB面ですから」(1月22日)と控えめともとれる回答をしつつ、政策提言で独自性をアピールしたい本音をにじませた。

イメージ

その意味で、今回の申し入れは、提案型の政党であることをアピールして存在感を高めたい玉木代表の狙い通りといえるかもしれない。玉木代表の側近は「こういうものは早い方がいい」と述べ、立憲民主党との違いを強調している。

合流協議を先送りとしつつも、国会での連携を深めていくことを確認したばかりの立憲・国民両党だが、早くも路線の違いが露骨になっているようにも見える。A面B面のある昔のカセットテープやレコードは味のある音を奏でる。しかし、好きな曲をダウンロードして聞く今の時代に、野党のA面B面戦略はきれいに共鳴するのかどうか、逆に不協和音となる可能性もはらんだ手探りの連携が続きそうだ。

申し入れ後の会見(30日・院内)

(フジテレビ野党担当 大築紅葉・ 高橋洵)