埼玉県熊谷市のアパートの一室から、27歳の女性が遺体で見つかった事件。捜査本部が設置されて1週間が経過したが、いまだ犯人逮捕には至っていない。これまでの取材メモから、事件の経緯を振り返ってみたい。

「布団の上で冷たくなっている」知人からの110番通報で事件発覚

発端は1本の電話からだった。「布団の上で冷たくなっている」。9月6日正午ごろ、女性の知人男性(29)から110番通報が入った。男性は、ここ数日、女性と連絡がとれないことから不審に思い、現場を訪れたという。警察官が現場のアパートに駆け付けると、女性が死亡しているのが確認され、亡くなったのは、この部屋に住む宮崎英美さん(27)と判明した。

亡くなった宮﨑英美さん(27)
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遺体には目立った外傷が見当たらなかったものの、その後、首には、圧迫されたような痕が確認された。7日午後から行われた司法解剖で、死因が頚部圧迫による窒息死と特定されたことから、埼玉県警は殺人事件と断定。刑事部長を長とする捜査本部を設置し、80人態勢で捜査が開始された。

犯人は玄関から侵入か コンビニ弁当は手つかずのまま

これまでの取材で判明したことを挙げてみよう。例えば、現場の状況。室内には、特段、争ったような跡や、物色されたような形跡はなかった。また、室内には、現金の入った財布や部屋の鍵が残っていたという。部屋への侵入経路となりうるのは2カ所。玄関とベランダだが、いずれも鍵は開いていたとのこと。

現場の部屋の玄関とベランダの鍵は開いていたという(埼玉・熊谷市 9月8日)

現場検証の結果、ベランダや、外から侵入する際に足場となるような部分にも、第三者の侵入を示すような形跡は確認できず、現状、犯人は玄関から侵入したとみられる。

捜査本部によると、宮崎さんの最終生存確認は、9月3日午後。その直前の3日午前2時ごろには、近くのコンビニの防犯カメラに、1人で買い物をする宮崎さんの姿が映っていた。ちなみに、その時買ったと思われる弁当は、ほとんど手つかずのまま部屋に残っていたということだ。

「空白の3日間」に被害女性はどこで 何を?

一方で謎の残る部分も多い。死亡推定時刻は不明だが、最後に生存が確認された3日午後から、遺体で発見される6日正午まで、宮崎さんの足取りは分かっていない。この「空白の3日間」に何があったのか。

宮崎さんは「空白の3日間」にどこで何をしていたのか?(画像は現場検証に入る鑑識課員 9月8日)

また、現場からは宮崎さんの携帯電話が見つからず、何者かに持ち去られた可能性が高いとみられる。犯行へとつながる何らかの証拠隠滅が目的なのだろうか。事件から1週間。この事件がどういう性質の事件なのか、犯人像は絞り込めているのか。顔見知りによる犯行なのか、それともいわゆる「流し」なのか・・・。

これらの点について、ある捜査幹部は「財布が見つかっているなどの点から、物取りの線は薄いとみている」と語る。「流し」の線はないのか尋ねると、「ただ、捜査に予断はゆるされない。あらゆる可能性を視野に入れつつ、必ず犯人を逮捕する」と慎重な見方を崩さないものの、犯人逮捕への静かな決意をにじませていた。

埼玉県警は殺人事件と断定し捜査本部を設置した(9月7日)

事件発生当初、夏の暑さがしつこく残っていた現場周辺では、この頃では、夜になると秋の虫の鳴き声が聞こえ始めた。被害者の無念を晴らすためにも、1日も早い解決を願いたい。

(フジテレビ社会部・埼玉県警担当 金子聡太郎)