「ドサッという音を聞いた・・・」

1日午前10時過ぎ、埼玉県和光市にある施設で1本の119番通報が入った。
「ドサッという音を聞いて外を見たら男性が倒れている。」

男性が飛び降りた場所は、1月31日、中国・武漢から緊急帰国した日本人の滞在先となっている国立保健医療科学院の敷地内だった。その後、消防が現場に駆けつけ救助活動が行われたが、男性は搬送された病院で死亡が確認された。


1日午後7時から埼玉県警捜査一課によって緊急のレクが行われる

埼玉県警捜査一課の幹部はレクの冒頭、強い口調で「中国・武漢から帰国した人が亡くなったのではない。」とした上で、死亡事案の発表をすると話した。

警察によると死亡した男性は内閣官房の37歳の男性職員で、1月31日から帰国者の受け入れ業務にあたっており、遺書は見つかっていないが現場の状況などから、男性職員が建物から自ら飛び降り自殺したとみていると発表した。
また男性職員に関して、「前日から泊まり込みで一生懸命受け入れ業務をやっていて、真面目な人物だった」と聞いていると話した。

男性職員を知る別の関係者によると、男性は一昨年に警視庁から警察庁に出向し、その後、警察庁から内閣官房へ派遣され仕事は内閣官房副長官補(事態対処危機管理担当付)として帰国者の施設担当を行っていたという。

帰国者の要望や対応に疲れていたという話も

帰国者を支援していた男性職員の自殺は新型コロナウイルスの対応をとっている関係者に少なくない衝撃を与えた。
また死亡した男性職員の遺族や関係者の心情は察するに余り有るものだろう。
男性職員を知る警視庁の職員は「将来有望で優秀な警察官だったので、今回の件は非常に残念としか言いようがない…」と語った。

新型コロナウイルスに関する問題は中国では死亡者も出ていることから、帰国者の心労はもちろんだが、医療従事者だけでなく今回のような受け入れ業務に携わる全ての人にとっても多くの負担が生じているだろう。

今回、死亡した男性職員の関係者の話として「死亡した男性は帰国者の要望や対応に疲れていた」という話しもある。
このような誰もが行き場のない気持ちを感じる事故は、今後二度と起きてほしくないものである。警察は現在、当時の状況や動機などを詳しく調べている。


(社会部 埼玉県警担当 河村忠徳)