通学路の安全確保強化図るも...見守りには限界が

2019年12月の定例会見で、「登下校時をはじめ、児童・生徒を犯罪から守りたいという市民の強い思いが高まっている」と話した新潟・長岡市の磯田達伸市長。

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その背景にあるのが、2018年、新潟市で当時小学2年の女子児童が、下校中に連れ去られ殺害された事件。
事件後には、通学路の安全確保の強化が図られたが、共働き世帯の増加や高齢化など、地域の人による見守りには限界があるのも事実...。

活動に参加する人からは、こんな声が上がっていた。

新潟市西区で見守り活動を行う西山町子さん:
下校時は、時間が学年によって早い帰り・遅い帰りというのがあるので、なかなか、その時間を見計らって見守ることができない

全国初 紛失防止用タグを子どもの見守りに活用

こうした課題を解決しようと、長岡市で先月始まったのが、スマホのアプリと「MAMORIO」というIoTタグを利用した見守りの実証実験。

長岡市 磯田達伸市長:
紛失防止用タグとして、すでにサービス化している「MAMORIO」というIoTタグを子どもの見守りに応用する

近距離の無線通信を行うBluetoothを搭載した「MAMORIO」は、小型で2.4グラムと軽いため、子どもでも負担なく付けることが可能。
子どもに持たせるこのタグを、無料アプリをインストールしたスマホにかざして登録。
タグを持った子どもが、アプリをインストールしている人の半径60メートル以内に入ると、保護者だけに通知が届く仕組みとなっている。

MAMORIO 守谷圭祐さん:
MAMORIOアプリのユーザー同士でタグの場所を探すという機能、その機能を活用して子どもの見守りに活用できないか、取り組んでいる

これまでは鍵などの紛失防止用に使われてきたMAMORIOだが、今回 全国で初めて子どもの見守りに活用することになった。
東京に本社を構えるMAMORIOの守谷圭祐さんには、期待感もあるが...

MAMORIO 守谷圭祐さん:
「ユーザーがどれくらいいるか」で、見つかりやすさが変わる。今の時点だと不安も若干あったりする...

児童の親だけでなく、地域の人がアプリをインストールすることで、その見守りの精度が上がるため、地域全体の協力が不可欠となる。

そして...
12月23日 長岡市から、地域で見守り活動を行う団体にIoTタグが渡されると、実証実験のモニターとなった児童約40人に早速タグが配られた。

希望が丘コミュニティセンター 長谷川則雄センター長:
見守りをしていただく方々が、高齢化してきていることが地域課題。それをIoTで解消できるなら、どんどん利用していくべき

IoTタグはどのように活用? 課題も浮き彫り

では、IoTタグは実際、どのように活用されているのか。
小学生の子どもが2人いる佐藤香鶴絵さん。子どもの登下校時の安全確保に不安を抱え、実験に参加した1人。

実証実験に参加した佐藤香鶴絵さん:
帰り道での事件とかもあるので、そこで少し心配は感じていた

この日は、小学1年生の長女・みいなちゃんの下校の様子をアプリを使いながら見せてもらうことに。

佐藤香鶴絵さん:
今、学校の玄関を通った
(Q.ちゃんと通知が来た?)
そうですね

学校の玄関に設置されているアンテナ付近を通ったことで、タグを持っているみいなちゃんの現在地がリアルタイムで通知される。
みいなちゃんは、その後も友達と歩いて自宅に向かったが、通知がぱたりとやんでしまった。

佐藤香鶴絵さん:
まだアプリを入れている人がいないみたいで、どこも(タグの情報を)拾わない...

結局、ほかに通知は来ないまま、みいなちゃんが自宅へ到着。

佐藤香鶴絵さん:
学校を出たのがわかれば、あとどのくらいで帰ってくるというのもわかるので、安心していられる

一方、履歴が自宅と学校以外になかったことについては...

佐藤香鶴絵さん:
もう少し地域の方々が賛同して、アプリを入れてくださると、ピンポイントでどこを通過しているかがよりわかるので、効果的に使える

家の中にいながら、アプリをインストールするだけで子どもの見守りに参加できるこの取り組み。
地域全体で子どもを守るという意識作りが重要と言えそうだ。

(NST新潟総合テレビ)

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