捜査幹部曰く「この条例での逮捕は聞いたことがない」

かなりめずらしい。この条例で逮捕されるのは聞いたことがない」。

千葉県警の幹部は、こう語気を強めた。千葉県鎌ケ谷市の自宅付近の路上で、ペットのプードルを、リードにつながず放し飼いにした疑いで、水野則子容疑者(59)が逮捕された。

容疑は「千葉県動物の愛護及び管理に関する条例」の犬の係留義務違反

過去に”犬の放し飼い”が事件化したケースを振り返ると、例えば、劣悪な環境で飼育されていれば「動物愛護法」が適用されてきた。近所の人が犬に噛まれてケガをしていれば「重過失傷害」容疑で逮捕されたこともある。

しかし”放し飼い”だけで飼い主が逮捕されるのは、確かに聞いたことがない(3年前に宮城県で逮捕例あり)。その異例の逮捕劇の真相を取材した。

体長1メートルのプードルが襲いかかるように戯れてくることも・・・
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合わせて6回”出頭要請”に応じず…ついに逮捕

今年8月上旬、鎌ケ谷市の住民から「犬の鳴き声がうるさい」と110番通報が入った。

警察官が現場に駆けつけると、一軒家が建ち並ぶ住宅街の路上に、体長1mほどのスタンダードプードル(雄・4歳)がリードにつながれていない状態で徘徊していた。付近には飼い主である水野容疑者の姿もあった。

しかし警察官が事情を聴こうとすると、水野容疑者はと犬とともに、自宅に逃げ込み、聴取に応じなかったという。

その後、5回に渡って出頭要請されるも、水野容疑者は応じず。その度に居留守やインターホンを切るなどしていた。そして鎌ヶ谷警察署は9月6日、ついに逮捕に踏み切った。

犬の飼い方をめぐるトラブルは”放し飼い”だけではなかった

「犬の飼い方」で10年以上トラブルに 近隣住民とは”一触即発”

水野容疑者の自宅付近を取材すると、近隣住民と10年以上に渡り「犬の飼い方」をめぐりトラブルになっていたことが分かった。

水野容疑者は1人暮らし。スタンダードプードルの他にも複数の犬を飼っていて、トラブルは”放し飼い”だけではなかった。

犬の糞の路上放置鳴き声、放し飼いのプードルが襲いかかるように戯れてくることもあったという。

取材に対して、ある住民は「放し飼いにしちゃう。結構大きいから怖くて道路の掃除もできない状態」と怒りを露わにした。また別の住民は「門を開けておくと中に入ってきてウンチした」と訴えていた。

水野容疑者宅の入り口付近には、犬の糞の跡が茶色く広範囲に残っていた。周囲の住宅には「犬の糞尿の始末は飼い主の責任です」と書かれた看板が並ぶ

ただ水野容疑者は、住民の注意を無視し、逆ギレすることも、しばしあったという。

水野容疑者宅の周辺には「犬の糞尿の始末は飼い主の責任です」と書かれた看板が並ぶ

警察への通報は数百件 行政指導が入ると”犯人捜し”

これまで近隣住民から鎌ケ谷署への通報は数百件にのぼる。鎌ケ谷市役所や保健所にも、多数、苦情や相談が寄せられていた。

しかし市の担当者らが注意しても聞く耳を持たず、逆に水野容疑者が市役所にまで乗り込んでくることも。鎌ケ谷署に対しては、毎日のように「なんで警察がくるのか」などと苦情の電話をかけていた。

水野容疑者は一軒家にひとり暮らし。プードル以外にも複数の犬を飼っていた。

さらに、鎌ケ谷市から行政指導が入ると、近隣住民に向かって「あんたが言ったんじゃないか」と強い口調で”犯人捜し”までしていた。

そんな超有名な”トラブルメーカー”として知られていた水野容疑者。

鎌ケ谷署の調べに対しては「犬が勝手にやった」「手が滑ってリードが離れた」などと容疑を否認。飼い犬の話にはほとんど応じていないという

(フジテレビ社会部・千葉県警担当 風巻隼郎)