映画や舞台鑑賞の際に「携帯電話の電源をお切り下さい」とマナーを呼びかけるアナウンスを聞くが、とあるお芝居でのユニークな注意書きがTwitterに投稿され、話題となっている。

それがこちらだ。


本日の『まじめが肝心』、これはなかなか見ない注意事項だと思いました。リハーサルで発生したのかな?」

とのコメントとともに劇評家の北村紗衣さん「saebou」(@Cristoforou)がTwitterに投稿したのは、演劇を鑑賞する観客向けと思われる注意書きだ。そこには、

また、劇中『セシリー』という名の登場人物がおります。iPhoneをお使いの方は『Siri』機能をお切りいただけますようお願いいたします。高確率で反応いたします

と下線が引かれ書かれている。
使っている人ならわかると思うが、「Siri」とはiPhoneやiPadに搭載されている便利な機能で「Hey Siri」と呼び掛けると起動して、通話やメッセージ送信などをアシストしてくれる優れものだ。
ただ、たまに「Siri」と発音が近い言葉も認識して、反応してしまうというお茶目な部分もあり、そう考えると、「セシリー」「Hey Siri」は似ている。

実際に配られた注意書き
実際に配られた注意書き
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この投稿についてTwitterでは「本読みでさっそくカオスになったことでしょうねー」「可愛いセシリーに反応しちゃうSiriさんも可愛い」などの声があり話題となっている。(2月5日現在)

この注意書きが配られたのはオスカー・ワイルドの喜劇最高傑作を現代版にアレンジした『まじめが肝心』という恋愛コメディのお芝居。

本当に上演中に「Siri」がセリフに反応することがあったのか?演じる側にとっては迷惑な話だが、その様を想像すると可笑しくもある。
このお芝居を主催している公益社団法人日本劇団協議会の担当者に話を聞いた。

稽古中に「Siri」が起動してしまった

ーーなぜこのような注意書きを入れた?

稽古中に「セシリー」というセリフにiPhoneやiPadが反応し、「Siri」が起動してしまったからです。


ーーSiriの声が一斉にあちこちから聞こえた?

稽古中なのでマナーモードにしています。声が聞こえたのではなく画面上に「なにかご用でしょうか」という文言が表示されました。
一斉ではなく、それぞれの別のタイミングでした。


ーーこの注意書きの文章は誰が考えた?

演出家からのオーダーがあり、アシスタントプロデューサーが文章を考えました。


「セシリー」はメインキャストの一人

ーー「セシリー」は主役?

「セシリー」は主役ではありませんが、メインキャストの一人のため何度も役名はでてきます。


ーー劇中何回くらい名前を呼ぶセリフがある?

かなりの回数があるので数えていません。セシリーが登場する前から彼女の噂話をしたりするので、10回以上はあるんじゃないでしょうか。


「セシリー」はメインキャストの一人ということで、『まじめが肝心』のあらすじをみてみると

嘘から始まるまじめな恋のドタバタコメディ!
田舎に住むジャックは架空の弟「アーネスト」を訪ねる名目で、たびたびロンドンへ遊びにでかけていた。ロンドンでは「アーネスト」と名乗り、友人アルジャノンのいとこであるグウェンドレンに恋い焦がれるジャック。
あることからアルジャノンはジャックの嘘を見抜き問いつめると、田舎ではジャックと名乗り若い娘セシリーの後見人であることを打ち明ける。
これを知ったアルジャノンはセシリーに興味を持ち、ジャックの弟「アーネスト」になりすましてセシリーを訪ねるのだが…。
(日本劇団協議会HPより)

劇中の「セシリー」 撮影:日高仁
劇中の「セシリー」 撮影:日高仁

確かに名前が多く出てきそうで、「Siri」機能を切っていないとが度々反応してしまいそうだ。この注意書きを見た観客の反応も聞いてみた。


上演中は一度も反応はありません

ーー上演前に携帯についてのマナー呼びかけはしている?

通常、携帯電話のマナーモードのアナウンスがありますが演出の都合上、今回はアナウンス無しで始めたので、全ての注意書きについてはプリントアウトしたものを席に置いています。


ーーこのような注意書きを入れたのは初めて?

「Siri」についての注意書きは初めてです。


ーー上演中に反応してしまったことは?

劇場に入ってからは、お客様がマナーを守ってくださっているため、一度も反応はありません。


ーーお客さんからこの注意書きに関する反応はあった?

お客さんの反応としては、そこまで大きく無かったです。


ーーこの舞台の見所を

残念ながら1月30日で『まじめが肝心』は終演です。伏線をすべて回収する王道のコメディです。
100年以上前の戯曲でも笑いが通用するんだなあと実感しました。 再演の予定はありませんが、いつかまた上演できたらと思います。また、これを機に海外で学ぶ演劇人が増えることを期待しています。


画像はイメージ
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上演中には一度も「Siri」がセリフに反応することはなかったということだった。
遊び心のある、いかにもいまどきの注意書きでマナーは守ってほしいが、今回話題になったことを考えると、あえて「Hey Siri」「OK Google」に似せたセリフで、観客の携帯電話が一斉に反応するという演出も見てみたい気もする。