新日鉄住金に続き三菱重工も日本側敗訴…

太平洋戦争中の元徴用工らによる賠償請求訴訟。韓国の最高裁判所は、10月の新日鉄住金に続き、三菱重工を訴えた2件の裁判でも賠償を命じる判決を言い渡した。この裁判は、日本で強制労働をさせられたと主張する元徴用工5人と、元女子勤労挺身隊5人が、それぞれ三菱重工に損害賠償を求めたものだ。

判決で韓国最高裁は「日本の不法な植民地支配で行われていた強制動員の損害賠償は日韓請求権協定に含まれない」と判断し、三菱重工の上告を棄却した。

この結果、元徴用工らに合わせて9600万円を支払うよう命じた2審判決が確定した。

韓国の裁判所では元徴用工らの訴訟がほかにも12件進行中で、今後同様の判決が相次ぐことになりそうだ。

どうなる日韓関係の今後?

今回の判決に、日本政府は「断じて受け入れられない」として、韓国に厳しく抗議。韓国の大使を外務省に呼び抗議した。

韓国政府は、判決に対し「司法の判断を尊重するとしたうえで、日本政府に対し、過度な反応を自制するよう求めた。

河野外務大臣はこれを受け「日本の外務大臣の発言がきついとかいうレベルの話ではない」と韓国の対応を一蹴し、「日韓両国の関係を維持していくのが難しくなるような影響がある事態でありますから、韓国政府には速やかに、これを是正する措置をとっていただかなければならない」と述べた。

外交文書に“個人への支払いは韓国政府が…”

1965年日本と韓国は国交正常化にあたり「日韓請求権協定」を締結し、日本が韓国に5億ドルの経済援助をするのと引き換えに元徴用工への補償は韓国政府が行うことで合意し、日韓両政府は賠償問題は「完全かつ最終的に解決した。」との立場をとっていた。

当時、日韓両政府の間で徴用工個人の補償に関してどのようなやり取りがあったのか?

FNNでは1961年に行われた、日韓国交正常化交渉を記録した韓国側の外交文書を入手した

記録には、日本側は「韓国人被害者に対してもできるだけ措置しようと思う」という提案に対し、韓国側は「補償は私たちの国内で措置する性質のことだと考える。」とある。つまり、日本は被害者個人への支払いを申し出たが、韓国側が拒否している

さらに、「日本側は責任を感じていて被害を受けた人に対し措置もできずに申し訳ないと考えている。」とあり、これに対して韓国は「私たちは国内措置として私たちの手で支給する。日本側で支給する必要はないのではないか」と、個人への支払いは、あくまで韓国政府側で措置するという立場を貫き、お金は韓国政府に一括して支払うように求めていた。このようなやり取りを経て最終的に「日韓請求権協定」が締結された。

来年3月には「抗日独立運動100周年」を迎えソウルでは様々なイベントが予定されている。韓国政府は積極的に動くのだろうか?
渡辺康弘ソウル支局長:
韓国政府は今日の判決を受けコメントを発表し、その中に注目すべき点があった。

渡辺康弘ソウル支局長:
コメントには「徴用工問題とは“別個で”韓日関係の未来指向的発展のために引き続き努力していきたい。」とある。この別個というのがポイントとなる。10月の徴用工判決以降、韓国政府は4回、声明を出しているが、「徴用工問題」と「未来指向的日韓関係」を、切り離して考えると明言したのは、今回が初めて。これは10月に出た新日鉄住金への判決から1ケ月が経つが、未だに対応策を出せない韓国政府は、徴用工問題が、日韓関係を悪化させない未来志向的な形で解決するのは難しい、または長期化すると判断した可能性がある

“徴用工”賠償判決 事態打開策は?

事態打開策として日韓の関係筋からは、日韓の政府と企業が出資する形で新財団を設立して元徴用工問題に対応するというアイデアも出ているようだがその可能性はあるのだろうか?

渡辺康弘ソウル支局長:
財団設立に関しては、韓国の与党の会合の席でも話が出ていたが、韓国政府は慰安婦問題で日韓合意で根幹的な役割をしていた「和解・癒やし財団」の解散を一方的に宣言したばかり。同じ財団形式での解決策では、韓国政府が約束を絶対にほごにできない担保でもない限り日本側が納得しない可能性が高い


徴用工裁判問題の次の節目は、判決に基づき韓国当局が日本企業の資産の差し押さえに出た場合が考えられる。そうなった場合、日本政府は国際司法裁判所に提訴するなど様々な手段を駆使して日本企業や個人の資産保護に努めると外交筋は話している。とはいえ、日韓関係の悪化は当面避けられない状況で、ある外務省関係者からは「結局、最後はアメリカが韓国にきつく言わない限り事態は動かない」と言った見方も出ている。

(プライムニュース イブニング 2018年11月29日放送分より)