皆さんは「モグラ」に対して、どのような印象を抱いているだろう?

日常ではあまり見かけないことから「土の中を黙々と掘り進んで、ひょっこりと地上に頭をのぞかせる、どこかのんびりとした動物」と思っている人もいるかも知れない。

ところがそんなイメージとは異なるキレキレの“モグラ先輩”をご存じだろうか。



「おしえて!モグラ先輩!」と題したQ&A形式の掲示の画像を投稿したのは梓 尤稀(@azutya)さん。

「モグラの通路は全部つながっているの?」「モグラって日に当たると死んじゃうって本当?」などの質問に、サングラス姿のいかにもこわもてな雰囲気の「モグラ先輩」が「つながってるわけねーだろ!! つながっていたら今頃、大乱闘だぜ」「死ぬわけねーだろ!! あれはたまたま地上で死んだだけだ」などと痛烈な言葉で返しているのだ。

この掲示が貼られているのは、多摩動物公園(東京都日野市)にある「モグラのいえ」。

2008年にオープンし、 日本に生息するモグラのうちアズマモグラ、コウベモグラ、カワネズミ、トウキョウトガリネズミ、オオアシトガリネズミを飼育展示しており、モグラが地面に穴を掘り巡らせる様子もアクリル板越しに鑑賞することができる。

なお、「カワネズミ」「トウキョウトガリネズミ」「オオアシトガリネズミ」は、名称にネズミが入るが、モグラと同じ「トガリネズミ目」に属する。


この掲示は今回投稿された4種類のほか、「あんなにせまい穴の中でいきなり敵が来たらどうするの?」「土の中って暗いから、地上はまぶしい?」など、合計で10種類ある。どうやら、すべてモグラの生態を解説しているようなのだ。

「モグラ先輩」が登場する掲示の一部。

その言葉遣いは「大丈夫だ。俺たちモグラはバック走が得意だからな」「まぶしいもなにも見えねーのよ」とぶっきらぼう。

しかし、モグラ先輩の回答はただキレキレな口調というだけでもない。しっかりと、モグラの知られざる生態についても触れている。

例えば「モグラの通路は全部つながっているの?」という質問に対しては、「つながってるわけねーだろ!! つながっていたら今頃、大乱闘だぜ。俺たちモグラは縄張り意識が強いからな。自分の縄張りにはいってきたやつには、容赦しねーぜ!!」と回答。

モグラというと勝手に穏やかで優しい性格をイメージしていたが、実際は好戦的で、モグラ先輩のように“けんかっ早い”一面があるというのだ。

しかし、なぜそもそも「モグラ先輩」はこんな口調になったのか? そして質問内容はどのようにして考えたのか? 多摩動物公園の担当者に話を聞いた。

「モグラだったらうんざりしているだろうな」と考えた

ーーいつからこの掲示をしている?

5年ほど前からです。


ーーこの「モグラ先輩」はなんという種類?

一応、アズマモグラです。主に本州の関東以北に棲息しており、コウベモグラと比べると体が概して小さめです。コウベモグラは平地に生息していますが、アズマモグラは里山や山地に生息するといった特徴があります。

左がアズマモグラ、右がコウベモグラ。

ーー「モグラって日に当たると死んじゃうって本当?」などの質問は、問い合わせが多かったものなの?

質問を直接受け付けたわけではありませんが、仕事をしていると一番よく聞こえてきたものです。

ーーこの「モグラ先輩」の回答は事実に即している?

事実に基づいた情報を掲示しております。


ーー「モグラ先輩」の言い回しが痛快だが、何を参考にした?

参考にしたものはありません。「モグラ先輩」のキャラになり代わって台詞を考えました。仕事中、モグラの間違った常識を話しているのを度々耳にするので、「モグラだったらうんざりしているだろうな」と考えてこうしたキャラを考えました。

来園者からは「口が悪いけど本質をついてる」という声も

ーー「モグラ先輩」の登場前後で、掲示を見る人の反応はやっぱり変わった?

どうなんでしょうか? 読んでくれる方は割と多いので、少しはモグラの誤解を解く役割を果たしてくれていると思います。

ーー「モグラ先輩」に寄せられた声の中で印象的なものを教えて?

「口が悪いけど本質をついてる」という声が多いようです。しかし、自分では意識しなかったのですが、「意外とお年寄りにはやさしいんだね」というのは言われて気が付きました。

Q&Aの1枚。確かに他の人と比べ、お年寄りの質問にはいくぶんマイルドな口調に…。

ーーSNS上で話題になっていることに対してどう思う?

ありがたいことですね。少しでもモグラに興味を持ってもらうきっかけになればと思います。


ーー最後に、これから多摩動物公園を訪れる人に一言。

「モグラ先輩」の掲示は10種類あるので、実際の生きたモグラたちを観察しながら楽しく学んでもらえたらうれしいです。

口の悪さが話題になった「モグラ先輩」だが、来園者はそのサングラスの裏に隠された、やさしい“素顔”もしっかり見抜いていたようだ。これからも、モグラの正しい姿を多くの人たちに伝えていってほしい。


【関連記事】
「刺されると6時間痛みが…」水族館のクラゲ飼育員の“体張りすぎ”レポートが気になる


「いきものディープランド」特集をすべて見る!